泌尿器科のイメージを変えた、女性も気軽に受診できるクリニック
間宮 良美 院長プロフィール
1954年に神奈川県に生まれる。1980年に東京医科大学を卒業後、同大学病院の泌尿器科に入局し、講師、助教授などを歴任する。2002年に新都心南新宿ビルクリニック泌尿器科部長に就任ののち、2005年に間宮泌尿器科クリニックを開院する。日本泌尿器科学会認定専門医、指導医。日本Endourology・ESWL学会評議員。
世田谷区下北沢は若者の街として知られる。飲食店やショップが並ぶメインの通りから、数メートル入った静かな場所に、間宮泌尿器科クリニックはある。待合室には観葉植物が置かれ、大きな窓からは明るい光が差し込む。シンプルでモダンなインテリアがお洒落なホテルのような雰囲気を醸し出し、クリニックというイメージをあまり感じさせない。大きな看板をあえて出さず、泌尿器科でも女性も受診しやすいクリニックを目指している。
間宮良美院長は大学病院などでの20年以上の臨床経験を生かし、専門医として質の高い医療を提供している。「患者さんとの心のつながりを大切にして、分かりやすく、思いやりのある診療を心がけている」という院長にお話を伺った。
開業前後
間宮院長は東京医科大学出身で、卒業後は大学に残り、20年以上もの間、大学病院に勤務した。
「大学ではとにかく忙しかったですね。外科系は手術をして、病棟を診て、外来の対応をします。さらに研究も行い、学生の教育もするから、とにかく時間がなく、生活は仕事第一になってしまいます。家庭を振り返る余裕もありませんでしたね。」
そんなとき、新都心南新宿ビルクリニックから誘いを受け、同クリニックの泌尿器科部長に就任する。大学病院を辞めて、すぐ開業という気持ちはなかったが、同クリニックに2年ほど勤務した頃、開業の計画を具体的に思い描くようになった。
「大学のときに何に興味があったかと言うと、外来で患者さんと向き合うのが最も好きだったんです。開業医は仕事の中心が外来ですから、自分に向いているかなと思いました。」
それからは行動が早く、半年後くらいに家族に話をすると、奥様もすぐに賛成してくれたという。結婚後、世田谷区の梅が丘や経堂に住んだことがあり、開業地となった下北沢には土地勘があったうえ、下北沢には泌尿器科の専門医もいないということが開業地を決定するにあたり、大きな要因になった。
「家内が『私が物件を探してくる』と言って、たちまちここを見つけてきました(笑)」。
開業資金は国民生活金融公庫から借り入れた。当初から電子カルテを導入し、前立腺高温度治療器やデジタルX線撮影装置、膀胱ビデオスコープ、硬性膀胱鏡など、先端機器を揃えた。
PRの方法としては、チラシや駅看板を出し、開業1週間前に内覧会を行った。クリニックのホームページはプロの業者に作成してもらい、開業当初から開設している。
「来院する患者さんは現在のところ、ホームページを見て来る人が一番多いですね。」
1日の患者数は、最初の3カ月が15人程度で、半年後には20人、今では50人と着実に増えている。
「ただ、数が伸び悩んでいた最初の2年間は辛かったですね。その間、特別な増患対策は行いませんでしたが、口コミやホームページなどから少しずつ来院される方が増えてきました。」
間宮院長は「世田谷区若手医師の会」など、いくつかの会に所属しているため、そうした会のメンバーである医師や医療機関からの紹介も多い。
地域の医療環境
間宮泌尿器科クリニックでは、前立腺肥大症などの男性排尿障害や女性排尿障害、膀胱炎、尿路感染症、尿路結石症から、前立腺がん、膀胱がんなどの悪性腫瘍、血尿、蛋白尿などの精密検査、ED、男性不妊、包茎、性病までを扱っている。
「最も多いのは、男性は前立腺肥大症、女性は排尿障害の患者さんです。診断と内科的治療を中心に行い、外科的な治療は大学病院などを紹介するようにしています。最近、前立腺がんが増えていて、生検を開業医が行うことも多いようですが、生検は前立腺に針を刺すことになります。昔は針は6本程度だったのですが、今は12本くらいなので、下手をすると大出血を起こすケースもあり、ベッドもないクリニックで無理に行わない方がいいですね。そういう処置は大きな病院に任せるべきだと、私は考えています。」
後方支援病院は、出身大学である東京医科大学病院や、東邦大学医療センター大橋病院、関東中央病院などとなっている。
医療機器類は前立腺高温度治療器やデジタルX線撮影装置(単純・造影)、膀胱ビデオスコープ(診断用)、硬性膀胱鏡(処置用)、超音波画像診断装置(前立腺エコー)、尿失禁低周波治療装置、尿流量計・残尿測定エコー、心電計・遠心分離器などを揃える。
画質が鮮明で膀胱腫瘍などの診断に優れ、泌尿器科専用に開発された膀胱内観察用の軟性ファイバースコープ「VISERA」や、レントゲン撮影した画像をコンピュータ処理して、鮮明で高画質な画像を得られる「REGIUS」など、最先端の機器類を完備している。
「医療機器は質のいいものを導入しているので、他の医院で膀胱鏡の検査を受けて、痛い思いをした方がうちでは『あまり痛くなかった』と言ってくださったりします。患者さんの男女比は6.5対3.5くらいでしょうか(笑)。男性の方が多いですが、女性の患者さんもたくさんいらっしゃいますね。」
泌尿器科というと、やはり女性には入りづらい雰囲気があるが、診療所のコンセプトが「女性も気軽に受診できるクリニック」であるため、内装や雰囲気はこだわりぬいた。奥様がインテリアデザインに関心があり、開業時に設計者と多くのアイディアを出し合い、内装を決めていったという。
ビルの4階でエレベーターを降りると、明るい光が差し込む待合室となっている。観葉植物とシンプルでモダンなインテリアがクリニックというよりお洒落なホテルのような雰囲気を醸し出す。診察室や検査室なども明るく清潔感溢れる造りとなっている。
「ただ、モダンでも冷たい感じにはしたくなかったので、外廊下には木を使用しています。温かみのある雰囲気になり、患者さんにも好評をいただいています。」
トイレには花を生け、廊下に森林の香りを放つ空気清浄機を置くなど、細かいところにも心配りを欠かさない。奥様が考えるというBGMは、日によってポップスやオペラなど、様々な音楽がかかっている。
「そのほか、内装でこだわったのは患者さんがプライバシーを保てる造りでしょうか。例えば、待合室で待っている人から、診察の様子や患者さんの動きが分かりにくいように、気を配っています。」
また、女性も入りやすいよう、ビルの外には「泌尿器科」という大きな看板は出していない。
「3階には美容室もあるので、エレベーターに乗ったときには、美容室に行くのか当院に来るのか分からず、入りやすいと思います。」
院長のプライベート
今の一番の楽しみは、妻や娘と食事をしたり、お酒を飲むことですね。お酒については、一時ホテルのワイン教室へ通ったこともありましたし、今はウィスキーに凝っています。あとは旅行も好きですが、最近は海外となると、私はお留守番が多いですね(笑)。今年は広島や京都、淡路島などの国内旅行をしました。
開業に向けてのアドバイス
下北沢は繁華街のイメージが強いようですが、少し奥に行くと、住宅地が広がり、内科などの医療機関も多くあります。私も最初は泌尿器科だけではなく、内科や皮膚科も標榜することを考えましたが、そうすると逆に「内科の先生方からの紹介を受けづらくなるのでは」と思い、泌尿器科だけの標榜にしました。ですから、開業する前にプライマリーケアでいくのか、専門性を打ち出すのか、ビジョンをはっきりしておく方がいいと思います。
タイムスケジュール
クリニック平面図
クリニック概要
間宮泌尿器科クリニック |
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院長 | 間宮 良美 氏 | |
住所 | 〒155-0031 世田谷区北沢2-2-3エルサント北沢4F |
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医療設備 | 前立腺高温度治療器・デジタルX線撮影装置(単純・造影) 膀胱ビデオスコープ(診断用) 硬性膀胱鏡(処置用) 超音波画像診断装置(前立腺エコー) 尿失禁低周波治療装置 尿流量計・残尿測定エコー 心電計・遠心分離器 電子カルテシステム 空気清浄機 (抗菌作用のある最新のものでクリニック内をクリーンに保ちます。) |
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物件形態 | ビル | |
延べ床面積 | 93.75㎡ | |
開業資金 | -万円 | |
URL | http://www.mamiya-cl.com/ |