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生井 明治 院長

成子 浩 院長プロフィール

 1965年に東京に生まれる。1991年に東京大学医学部を卒業後、第三外科(消化管外科)に入局する。入局後、都内、静岡県、群馬県の病院に勤務する。第三外科時代には癌研究会附属有明病院に国内留学し、2年間、病理学を学ぶ。2003年に開業するが、2007年に現在地に開業する。日本外科学会所属、産業医、スポーツ健康医。

 成子クリニックは消化管を専門にするクリニックである。病理学に基づいた胃がんの早期診断を最も得意とする成子浩院長が開業したのは7年前で、東急東横線の中目黒駅から徒歩10分ほどの住宅街でプライマリケア医としてのスタートを切った。しかし、3年前に同じ中目黒駅前に移転する。場所柄からサラリーマンやOLの患者さんが多いが、電車やバスを乗り次いで、胃内視鏡検査を受けに来る受診者も少なくない。苦しくない内視鏡検査が評判を呼んで、胃内視鏡施行件数が右肩上がりで伸びているという。


開業前後

病院風景02  成子院長が東京大学医学部附属病院第三外科(消化管外科)に入局した当時、がんは宣告できない疾患だった。治癒の確率が低かったからだ。その中で唯一、治癒を期待できるのが外科治療だったので、外科を選択した。

  「医局あるいは派遣先の病院での診療経験を通じて感じたことの一つは患者様は病気が治ることだけを期待して受診しているのではないということでした。手術が成功して無事退院すると、多くの方がこれまでの来し方を振り返ってライフスタイルを変え、穏やかな人生を望みます。そのとき、患者様は私たち医師に、これから歩む人生のサポーターであってほしいと願うのです。ところが、勤務医には転勤があり、同じ施設には数年しか在籍しないことも珍しくありません。経過を長年に渡って観察し、ともに病を克服していこうという実感が乏しくなってしまうんですね。」

病院風景03  「がんは治療に成功しても、長い経過観察が必要です。もっと患者様の身近にいて、心身両面で医師としての専門性を発揮したい」という気持ちが開業の大きな動機になった。

 開業資金は5000万円で、自宅や友人宅のリビングをイメージして待合室を作ったという。

 「広いスペース、高い天井、白を基調とした内装、明るい照明を意識しました。延べ床面積は42坪です。中目黒の駅前という一等地でこれだけのスペースを維持するのは大変ですが、電車やバスを乗り継いで来院される患者様に少しでもくつろいだ雰囲気を提供したかったのです。」

 経鼻、経口内視鏡、デジタルX線、超音波内視鏡のほか、心電図など基本的な医療機器を装備するが、間口を広げて日々の診療密度が薄くなるのは潔しとしない。だから医療機器も必要十分なものだけにとどめたそうだ。

 1日の患者数は約30名で、新患は随時受け付けているが、再診は予約制となっている。成子院長が心がけていることの一つは、全ての患者さんに最低でも15分は時間をかけて診察することである。患者さんの声に耳を傾け、寄り添う医療を実践したいとの思いからだ。

クリニックの内容と特徴

病院風景04 標榜科目は消化器科、内科、肛門科となっている。

 「とは言え、糖尿病などのいわゆる生活習慣病の患者様も多数受診されます。様々な患者様に適切に対応し、気持ちよく受診していただくためにはスタッフの存在が大きいですね。」

 スタッフは看護師1名、看護助手1名、事務2名である。受診してまず患者様が接するのは受付であるが、受付上部の天井だけは蛍光灯ではなく、軟らかい光を用いている。受付の気持ちのよい応対が不安感を軽減する。受付を済ませると、看護師が血圧を測定し、問診表を手渡す。このとき、必ず患者様との会話を心がけているという。成子院長だけでなく、スタッフ全員が病を得た者の身になって応対する。

病院風景05  旧クリニックでも、新クリニックでも、内覧会など目立った宣伝はしなかった。成子院長は「やっておけば、もう少し認知度が高くなったかもしれませんね」と苦笑するが、成子クリニックの特徴は口コミでの受診者が多いことである。

 「胃内視鏡を受けた患者様が『あのクリニックはよかった』と言って、新しい患者様を紹介してくださるんですよ。近隣のクリニックから消化器疾患の患者様が紹介されることも少なくないですね。クリニックから紹介された方が主治医のところに戻って、『先生が紹介してくれた成子クリニックはよかったです。いいクリニックを紹介していただきました』と報告してくだされば、次の紹介に繋がるようですね。一人一人の患者様を大切に診ることが大事だと思っています。」

 成子院長が力を注ぐ胃内視鏡検査は検診目的の受診者に好評である。多様な受診者に対して、適切な対応を取ると同時に、絶えず自身の専門性に磨きをかけてきた努力の賜物である。

 「胃内視鏡検査件数をもう少し増やしたいですね。臨床の最前線で早期がんを発見するのは私たちの大きな使命です。早期がんを発見して、優れたがん専門医を紹介することが臨床の最前線では求められています。」

成子院長は病院を紹介するのではなく、医師を紹介する。胃がんで手術が必要なら、優れた識見と外科治療に秀でた技量を持った外科医を紹介し、内科治療が必要なら薬物治療に秀でた腫瘍内科医を紹介している。


 「どのような医師を紹介できるかは私にとっての生命線です。より多くの優れたがん治療医を知るためにがん拠点病院の医師との定期的なコンタクトは欠かせません。」

 成子院長は紹介先の医師と、お互いの顔を知り、気心を通じ合えれば、個々の患者さんに最もふさわしい医師を自信を持って紹介できると考えている。

診療姿勢

 「苦しくない胃内視鏡検査が僕の診療姿勢」と成子院長が話すように、従来の胃検診では胃X線検査が多かったが、近年は胃内視鏡検査を行う施設も多くなり、現在は移行期にあたる。胃X線検査の場合はバリウムと発泡剤を服用するので、より簡便な胃内視鏡検査を望む受診者も少なくない。

 成子クリニックでは患者さんが眠っている間に検査を行う。軽い睡眠導入剤で眠ってもらい、10分程度の間に胃内をくまなく検査するのである。のどに局所麻酔をするとはいえ、胃内視鏡検査はどんなに優れた内視鏡医がやっても多少の苦痛をともない、それが年1回の検査をためらう理由の一つにもなっているが、眠っている間に終わってしまう成子院長の内視鏡検査は症状がない検診者には特に喜ばれている。

 「通常、胃内視鏡は5分程度ですが、眠っているので、倍の時間がかけられます。その間に胃を洗浄して、食道、胃を検査します。胃の場合は必要に応じてブルー染色を行い、場合によっては組織を採取して病理検査に回すこともあります。」

 癌研有明病院で病理学を研究した経験があるので、病理学に基づいた正確ながん診断は、成子院長の得意分野の一つだ。これにより早期診断した患者さんを自信を持って専門医に紹介できる。当然、治癒率も高くなり、それが評判を呼んで、胃内視鏡件数は右肩上がりで伸びている。

 成子クリニックのような「苦しくない胃内視鏡検査」が普及しない理由を、成子院長は次のように語る。

 「私の方法では検査後、リカバリーの時間が必要で、私は1時間程度ベッドで休んでいただきますが、大きな病院で1日40人に胃内視鏡をしたら、ベッドを確保できません。手間も労力もかかるので、この方法は大きな病院では物理的に不可能なのです。」

病診連携、診診連携

 消化器以外を標榜するクリニックとの関係も良好で、近隣のクリニックから紹介されるケースも多い。成子院長はがん専門医に知己が多く、がんの場合は利便性よりも癌研有明病院、虎の門病院、国立がんセンター中央病院、東京大学医学部附属病院などに所属しているがん専門医を紹介する。一方、慢性疾患で緊急性より長くつきあう必要があると思われる患者さんには、自宅に近くて、信頼できる医師を紹介する。クリニックの医師は優れたゼネラリストでなければならない。優れたゼネラリストの重要な要素の一つは、患者さんを預けることができる信頼に足る医師を数多く知っていることである。通常、病診連携は病院とクリニックとの交流を指すが、成子院長は病診連携のさらに先を行く医師との連携、すなわち病院の枠に捉われないチーム医療を実践している。

院長のプライベート

 「娘2人がまだ小さいので、子どもと過ごす時間が至福の時です。そのうち『親父なんか』と見向きもされなくなるでしょうが、それまでは楽しみたいですね(笑)。それから読書に時間が割けるようになったのも開業してよかったことの一つです。勤務医時代は月に2冊くらいしか読めなかったのですが、今は10冊は読めています。最近、健康促進を兼ねて、社交ダンスを始めました。近くにダンス教室があるので、月に数回通っています。『Shall we dance』に影響されたわけではありませんよ(笑)」

開業に向けてのアドバイス

病院風景06 都市部で開業するなら、高度な専門性が要求されると思います。消化器なら内視鏡、糖尿病ならその分野での専門性を磨くことが必要です。また地方で開業する場合には幅広い守備範囲が求められることになるので、どのような患者様が受診されても対応できる態勢を整えるべきではないでしょうか。漫然と開業するのではなく、開業地の特性を考えて、開業を考えるとよいと思います。

タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図

クリニック概要

成子クリニック

  院長 成子 浩 氏
  住所 〒153-0051
東京都目黒区上目黒3-3-14
アサヒ電機朝日生命中目黒ビル2F
  医療設備 -
  物件形態 -
  延べ床面積 42坪
  開業資金 5000万円
  URL -

2010.06.01.掲載 (C)LinkStaff

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