育児との両立を図りながら、一生の仕事として開業
上井 文瑛 院長プロフィール
1971年、東京都に生まれる。1997年に日本大学医学部を卒業し、日本大学医学部附属板橋病院に勤務する。その後、都立府中病院、海谷眼科、東高円寺眼科等を経て2011年1月、東京都世田谷区に深沢眼科を開設し、現在に至る。日本眼科学会認定眼科専門医。
深沢眼科は東京の世田谷区深沢で、2年間閉院していたクリニックをテナントとして買い取り、2011年1月に開業した。小学2年生と3歳のお子さんを持つ上井院長は、育児をしながら勤務医を続け、定年のない一生の仕事としてできる開業医の道を歩み始めたところだ。「クリニックを育てていくのは、育児と似ている」と話す院長に、開業までの経緯や、クリニックの特徴などを伺った。
開業に至るまで
◆ 医師を目指された経緯
祖父が外科と循環器の医師をしていて、親戚にも医者が比較的多かったです。両親からは「資格を取得して、その資格が役立つ職業につきなさい」とも言われて育ち、医師になる事を特別意識することもなく、純粋に『人の役にたてる仕事』”イコール”『医学の道』に進むことを決めました。
◆ 大学時代はどのような学生でしたか
大学在学中は、陸上部に所属していました。主として中距離800m走に力を注ぎ選手として勉強とクラブ活動に忙しい日々を過ごしました。在学中夏は、伊豆で合宿に明け暮れていました。春はよく家族で海外旅行に出かけました。とても良い思い出です。
主人と初めて出会ったのも大学2年生の時でした。今思うと学業、スポーツ、恋愛と三拍子揃った学生生活だったかも知れません。(笑)
◆ どのような基準で専門を選ばれましたか
大学卒業後は日本大学医学部附属板橋病院に勤務しました。2年間、内科と外科そして救命救急センターで研修を受け、その後日本大学医学部附属駿河台病院(現・駿河台日本大学病院)の眼科に入局しました。もともとは外科に興味があったのですが、女性として将来結婚して家庭を持ちながら、医業に携わるには眼科がBESTと判断して眼科を専門に選びました。現在、医業、育児両方共に家族、周囲の協力も得られながら全力で取り組んでいます。一生懸命取り組むことが支えてくださる方々への恩返しであると思っています。
開業の契機・理由
◆ なぜ開業を決心されたのでしょうか
日本大学医学部附属駿河台病院では主に白内障手術などの経験を積み、2001年からは関連病院の都立府中病院に勤務しました。その頃、大学の同級生で医師をしていた主人と結婚しました。その後、再び駿河台病院に勤務しているときに、長男を出産しました。その後、浜松の海谷眼科を経て東高円寺眼科に勤めながら2人目を出産し、両親やベビーシッターの力を借りて、仕事を続けてきました。
開業については薄々ながらも、早い頃から選択肢の一つとして頭の中にありました。
勤務医には定年がありますが、開業すれば定年もなく、自分なりのスタイルで患者さんとお付き合いできます。仕事はずっと続けたかったので、いずれは開業することも考えていました。
そんな折、本当に偶然なのですが、担当していた患者さんの知人が、以前眼科を開業されていて、「閉院してしまったが、後を引き受けてくれる眼科の先生を探している」という話を聞きました。
これが開業の契機・きっかけだったと思います。自然とやってみようという気持ちになりました。
開業資金は物件の購入や改装に約3500万円、運転資金に1500万円ほどかかり、全額借り入れで調達しました。眼科の医療機器は高額になるため、すべてリースで揃えています。
◆ 開業にあたってのコンセプトは
気軽にかかれるクリニックを目指しました。今もそうです。
クリニック内は、白とグリーンを基調とした明るい雰囲気を演出させています。レイアウトも患者さん一人一人のプライバシーを考慮して、検査室・診察室に入る患者さんと検査室・診察室から出てくる患者さんが出会わないように、導線が一つになる工夫をしています。
どうぞ、気軽にご来院下さい。
◆ 開業する土地を選んだ理由
ここ世田谷区深沢は自宅から通える範囲だったんです。正直言って、詳細な事前調査は行いませんでした。でも、ブランクはありますが、前任の方がこの場所で長い間、眼科クリニックを継続・経営されてきたわけですから、潜在的な需要はあるだろうと予測はしていました。
クリニックについて
◆ 経営理念を教えてください
患者さんに丁寧な説明をと心がけています。
病気が何であるかということを患者さんにしっかり理解していただくために、その疾患について分かりやすく丁寧に説明するようにしています。患者さんが納得してくださった上で行う治療が治癒全快への一番の早道であると考えています。
当クリニックへの思いですが、私にとってこのクリニックは3人目の子どもです。いろいろと手がかかり、気をもませる事ばかりですが、毎日毎日ゆっくりと大切にはぐくみ育てています。
現在、屈折異常や眼精疲労、結膜炎、ドライアイ、白内障、飛蚊症などの疾患を扱っています。眼圧検査、視野検査、シルマー検査、アムスラーなどの検査も行っています。医療機器は、目の基本診察を行うスリットや、目の屈折や硬さを見る眼圧計、視力検査機等が揃っています。
オープンしてまだ日が浅いですが、今後はレーザー機器を導入することも検討しています。
◆ スタッフ教育はどのようにされていますか
スタッフは、1名の常勤と5人のパートタイマーが受付を交替で担当しています。
採用・育成に関して特筆するものはありません。『良識』さえあればどなたでも勤まるお仕事であると考えています。
開業にあたっての採用も『良識』ある皆さんに恵まれましたのでとても良かったです。教育・育成で苦労することはなかったですし今もありません。
◆ 増患対策についてどのようなことをされていますか
開業時についてですが、前の眼科クリニックは40年以上開業されてきましたが、閉院後2年程度のブランクがありました。カルテの引継ぎもなくつまりは新規開業でした。
ポスティング、電柱の看板、ホームページの開設、内覧会などのPR活動を行いました。
来院患者数はオープン当初は1日5~10人で、2ヶ月後の今1日15人前後と少しずつ増加しているようです。
現在、具体的な増患対策は施してはいません。当たり前の事ですが、毎日、一人一人の患者さんと真剣に向い合い、常に最善の治療を施す事に全力を尽くしています。その結果がクリニックの今後に繋がってゆくのではと考えています。
院長のプライベート
◆ お休みの日は
小学2年生の長男、3歳の長女、そして夫と4人で暮らしています。休日は子どもと遊んだり、買い物やたまっている家事をしていることが多いですね。
◆ ご趣味は
宝塚の鑑賞です。もうすぐ退団してしまいますが、花組の真飛聖さんのファンです。歌も踊りも華やかで、夢のあるところが、とても好きですね。
開業に向けてのアドバイス
まだオープンしたばかりでアドバイスできることもあまりないのですが、《経営理念》でもお話ししましたが、このクリニックは、私の3人目の子どものような感じです。子どもはすぐには育たないし、いろいろと手がかかっても、徐々に手を離れて成長していきます。開業も育児と一緒で、最初は手がかかって試行錯誤ですが、育てていけば自分のカラーに染まって成長していくのだと思います。
今、周囲の内科の先生などが、患者さんを送ってくださるので、「人とのつながりはとても大事だな」と思っています。他にも育児に協力してくれる方など、自分を支えてくださっている方がたくさんいて、とても感謝をしています。
タイムスケジュール
クリニック平面図
クリニック概要
深沢眼科 |
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院長 | 上井 文瑛 | |
住所 | 〒158-0081 東京都世田谷区深沢5-2-9 ニューライフ等々力116号 |
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医療設備 | スリット / ハンディスリット / 眠底カメラ / 眠圧計 / 視野計 / 視力検査機 | |
物件形態 | ビル診 集合住宅(マンション)1F部分 | |
延べ床面積 | 20坪 | |
開業資金 | 5,000万円 | |
URL | http://www.fukasawa-ganka.com |