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二子玉川ライズひろ内科クリニック

水口 泰宏 院長

水口 泰宏 院長プロフィール

1964年に東京都江戸川区で生まれる。1990年に東京医科大学を卒業し、東京医科大学第4内科(消化器内科)に入局する。1997年に栃木県立がんセンターに医長として勤務する。2006年に東京労災病院に第2消化器内科部長として着任する。2010年に二子玉川ライズひろ内科クリニックを開院する。
日本内科学会認定内科医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・関東支部評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・関東支部評議員、日本肝臓病学会専門医、日本医師会認定産業医など。

 東京都世田谷区の二子玉川は東急田園都市線、大井町線の二子玉川駅を中心に栄えているエリアである。近年は再開発が進み、約11.2haという総開発面積の二子玉川ライズが完成しつつある。これは民間の再開発としては都内最大のスケールを誇り、二子玉川駅と連絡する街の中に商業施設や高層マンションのある住宅街区をレイアウトするものである。
 二子玉川ライズひろ内科クリニックは二子玉川ライズの一角を占める二子玉川ライズプラザモールの2階に2010年に開業したクリニックである。二子玉川ライズひろ内科クリニックはひろクリニックグループを運営する城南はじめ会の傘下に入っており、ひろクリニックグループが強みを見せている在宅医療を行っているほか、水口泰宏院長の専門である消化器内科にも積極的に取り組んでいる。また、クリニックの隣には水口院長の奥様である水口泰代院長が二子玉川ライズファミリー歯科を開業し、調剤薬局とともに医療モールを形成している。
 今月は二子玉川ライズひろ内科クリニックの水口泰宏院長にお話を伺った。

開業に至るまで

◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
 父は会社を経営しており、医療には縁がない家庭環境で育ちましたが、私は小さい頃から人に感謝される仕事に就きたいと考えていたので、小学校の卒業文集には既に「医師になりたい」と書いていました。中学、高校が獨協で、医師の子弟や医師や歯科医師を目指す同級生が多かったことも影響を受けました。中学3年の頃、水泳部の先輩が2人して家に来られたことがあったんです。ちょうど大学に合格されたばかりの先輩方から「とにかく勉強した方がいいよ」と言われ、やる気になりましたね。勉強が嫌な時期は親から注意されても、なかなかその気にならないものですが、そういう励ましをくれる先輩方に出会えたことは有り難かったと思っています。結果として、医師になりたいという夢が揺らぐことはなかったですね。


◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
 ゴルフ部に入っていましたが、あまり才能はありませんでした(笑)。初心者なりに楽しく過ごしていたという感じですね。東京医大はバンカラな雰囲気で、体育会系なのですが、先輩、後輩たちと賑やかに過ごせました。


◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
 ゴルフをする機会は多かったですが、ゴルフ以外に趣味と言えるものはなかったですね。勉強は程々で、試験の前だけ真剣にやっていました(笑)。


◆ 専門を消化器内科に決められた経緯をお聞かせください。
 高学年になり、ポリクリが始まったときに面白さを感じたからです。もともと消化器には興味があり、内科か外科かを決めかねていました。消化器内科にしたのは内視鏡の存在です。ポリクリで内視鏡、CTや胃カメラなど、ビジュアルで判断できる分かりやすさに惹かれました。入りやすい分野だなと思ったんです。内視鏡を使って、こんな治療までできるんだと感動しました。先生方の雰囲気も良かったですし、学問への興味と先輩方の雰囲気の両方が良くて、消化器内科に決めました。


◆ 母校に入局を決められたのはどうしてですか。
 当時は母校への入局は当たり前のことでしたし、迷わずに決めました。


◆ 栃木のがんセンターにもいらしているんですね。
 医局人事なのですが、早期胃がんや大腸がんをはじめ、多くの症例のある病院でしたので、経験を積むことができました。勉強会の機会も豊富でしたよ。


◆ 東京労災病院での勤務が長いのはどうしてですか。
 入局して2年目に行ったときに一緒に行った先生がそのまま東京労災病院に残られて、部長になられていたんです。医局の方は教授が代わるところで慌ただしかったですし、私もしばらく労災病院にお世話になることにしました。東京医科大学の関連病院は全ての診療科が東京医科大学のジッツであるというところが多いのですが、私が行った東京労災病院と栃木県立がんセンターは消化器内科だけが東京医科大学関連だったのです。他科は全て他大学の関連ですから、甘えられないんですね。緊張感や厳しさがありましたが、他大学出身の医師との人脈もできましたし、今となってはそういう環境で仕事ができたのは良かったです。東京労災病院では新しい臨床研修制度のプログラム責任者も務めました。


◆ プログラム責任者として、どういう臨床研修にしようと思っていらっしゃったのですか。
 国が考えている意図を考慮しながら、どういう医師に育てていくべきか、腐心しましたね。研修医がやる気になって、勉強し続ける気持ちを持てるような教育を行おうと考えました。国の方針の詳細は少しずつ変わりましたが、最低限の手技を身につけてもらうこと、患者さんのためになりたいという考えを研修医に持たせることの大切さは変わりませんので、そういう思いを伝えていました。


◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
 大変でしたし、忙しかったですね。外来や検査が多かったですし、病棟業務やカンファレンスもあります。しかし、安全対策の委員会などの会議が多かったことの方が大変でした。特に2004年に部長職に就いてからはマネージメント業務に忙殺されていました。

開業の契機・理由

◆ 開業の動機をお聞かせください。
 東京労災病院は地域の病院ではありますが、臨床のみならず、学会発表などにも力を入れていますので、非常に忙しい毎日でした。会議などもありますしね。私としては頼まれるということは必要とされていることなのだから、断らないようにしようと思っていたのですが、限界になってきたのです。それで、開業へと気持ちが傾いていきました。


◆ 開業地はどのように決められたのですか。
 開業しようか、どうしようかと迷っていたときに、妻とこのあたりを散歩していたら、この物件を見つけたのです。桜新町に住んでいましたので、二子玉川は身近なエリアですし、再開発されるなら、いい場所なのではないかと考えました。無理かもしれないと思いながら問い合わせをしたら、たまたま空いていたので、幸運でしたね。


◆ 最初から奥様の歯科医院と隣り合わせで開業しようと考えていらっしゃったのですか。
 妻は最初はあまり開業志向ではなかったのです。この場所を見て、開業を決めたという感じですね。偶然にも隣の物件が空いていましたので、隣での開業になりました。


◆ 開業地をご覧になっての第一印象はいかがでしたか。
 新しい街ですし、浮き浮きとした気持ちでした。しかし、まだマンションができていなかったので、人がいないリゾート地のような雰囲気だったんですよ(笑)。今はマンションもほぼ完売となり、人通りも増えてきました。今後は隣の区画にシネコンやホテル、スポーツクラブができ、オフィスエリアには楽天の本社が移転することになっていますので、さらに活気が出てくると期待しています。


◆ マーケティングはなさいましたか。
 診療圏調査を行い、ニーズがあることは掴んでいました。ただ、診療圏調査は通常はクリニックの回りに円を描いて行うものですが、このエリアの西側は多摩川があるので、円を描けないんですよ。しかも、マンションの入居人口や入居者層も読めませんでしたし、完璧な手応えはなかったですね。しかし、近隣を歩き、どういう競合があるかなど、自分の目で確かめたりしました。


◆ 開業するまでにご苦労された点はどんなことですか。
 私どもは法人所有のクリニックなんです。法人が資金を提供していますので、資金面の苦労はなかったですね。設計は高校の先輩にお願いし、徹底した打ち合わせを行いました。苦労と言えば、開業自体が初めてのことですから、物品や医療機器の選定ぐらいでしょうか。


◆ 医師会には入りましたか。
 玉川医師会に入会しました。入会金や年会費の負担はありますが、検診や予防接種などのことを考えると、入った方がよいと判断しました。


◆ 当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
 勤務医時代に知り合った看護師さんに来てもらい、当初は看護師1人、非常勤の事務スタッフが1人という体制でスタートしました。その後、在宅医療に力を入れるため、副院長に来てもらうようになりました。溝上俊朗副院長は大学時代の同僚で、お誘いしたんです。


◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
 私も溝上副院長も内視鏡が専門ですので、内視鏡や腹部エコーは最初から完備しました。また、大学の同級生の循環器内科医に週に1度、来てもらっていますので、心エコー、頸動脈エコー、ホルター心電図なども揃えています。循環器のスペシャリストですので、心電図の読影など、心強い存在です。


◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
 ビル診ですから、窓の位置や大きさなどは選べないのですが、内装に関してはかなりこだわっています。特に木材ですね。クリニック的でなく落ち着いた雰囲気になり、気に入っています。

クリニックについて

◆ 診療内容をお聞かせください。
 消化器内科と内科がメインで、内訳は半分ずつですね。最近は消化器内科の内視鏡検査や治療が右肩上がりに増えています。流れ作業にしてしまわず、患者さんにお声をかけたりして、楽に受けられるような工夫をしています。胃内視鏡は鎮静下と経鼻内視鏡で、大腸内視鏡では大腸ポリープを積極的に切除しています。
 回復スペースがあるので、患者さんからも好評をいただいています。患者さんが「楽だった」とおっしゃったら、看護師と一緒に喜んでいますね。
 内科は風邪のほかは、高血圧、高脂血症、糖尿病といった慢性疾患が多いです。各種の予防接種も行っています。


◆ 患者さんの層はいかがですか。
 駅前ですから、若い方は駅から歩いていらっしゃいますね。以前から二子玉川にお住まいの高齢の方々も最近は増えてきました。最後の勤務先だった東京労災病院の近くで開業したわけではありませんでしたし、いわゆる落下傘開業ですが、患者さんの質には恵まれたと思っています。患者さんとじっくり向き合って、病気の話のみならず、生活のことなどのお話をする時間は楽しいです。


◆ 産業医も標榜されていますが、どういう診療をされているのですか。
 二子玉川駅の近くにある企業と契約し、月に一回、健康に関するお話をしに伺ったりしているほか、何かあれば連絡がありますので、私どもで診察をしています。


◆ 自由診療もなさっていますね。
 大きな病院で勤務医を長く続けてきましたから、患者さんからにんにく注射やプラセンタと聞いても、最初は何のことか分からなかったんです(笑)。しかし、患者さんからのご要望が強い、にんにく注射やプラセンタ、プロペシア、シアリスといったものに関しては私どもでも取り入れています。


◆ 検診はどのような内容で行っていますか。
 いわゆる人間ドックのような内容です。レントゲン、心電図、胃カメラ、超音波などの検査が中心ですね。大きな病院では技師さんが行いますが、私どもでは医師が行いますので、臨床家が直接説明をするのが強みです。副院長もいますから、ダブルチェックも可能ですし、質の高い検査を行えていると自負しています。


◆ 訪問診療の患者さんはどのように増やしていかれたのですか。
 もともと法人が持っていた患者さんに加え、知り合いからの紹介などもありましたが、私どもが老人ホームから依頼を受け、信頼に応えていった結果、増えていきました。現在は100人ほどの患者さんを受け持っています。24時間体制で、緊急時の対応や入院先の確保を行っています。


◆ 病診連携については、いかがですか。
 東京医療センター、日産厚生会玉川病院、関東中央病院といった近隣の病院が中心です。都内の場合は紹介先の病院に困らないのが有り難いですね。患者さんが希望されるところがあれば、ご紹介しています。逆紹介も多いですね。


◆ 経営理念をお教えください。
 法人からの縛りも特にありませんので、経営に関しては勉強が足りていません。これから勉強を重ね、理念を作っていけるようにしたいと思います。


◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
 安心をモットーにしていますので、まずはモットーの徹底ですね。そして、人に優しくするということです。自分がその立場だったら、どういう対応を望みたいのかを考えて接していれば、必ず自分に返ってくるものだと伝えています。

◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
 高校の先輩がサイトの制作や運営を行う企業を経営していますので、全面的にお願いしています。ページの作成も低価格でしたし、SEO対策もサービスしてくれているんです。お蔭様で「二子玉川 胃カメラ」で検索しますと、当クリニックは上位に来ます。
 電柱広告や駅の看板などの広告はしていませんが、最近はドクターズ・ファイルに出稿しています。

開業に向けてのアドバイス

 開業にあたってはやはり場所とスタッフが大事です。開業当初一生懸命患者さんに対応すれば高齢の方も順調に増えていくだろうと甘く考えていました(笑)。若い患者さんはネットを見ますが、高齢の患者さんはネットをご覧にならず、口コミが中心になりますので、周知には時間がかかります。また、何十年も通ったクリニックをほかのクリニックに簡単に変えることはなかなか難しいですので、できるのなら勤務していた病院の近くに開業した方がいいと思います。

プライベートの過ごし方(開業後)

 趣味はクラシック音楽の鑑賞です。東京都交響楽団の定期会員になっているので、サントリーホールの公演では決まった席で聴けるんですよ。子どももヴァイオリンを習っているので、子どもの演奏を聴くこともありますね。好きな作曲家はやはりチャイコフスキーでしょうか。
 また、気候がいい日には自宅から30分かけて歩いて通勤する日もあります。自転車も好きですね。最近、新しい自転車を買ったので、楽しんでいるところです。

タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図

クリニック概要

二子玉川ライズひろ内科クリニック
  院長 水口 泰宏
  住所 〒158-0094
東京都世田谷区玉川1-15-6 二子玉川ライズプラザモール2F
  医療設備 レントゲン、心電図、ホルター心電図、腹部エコー、心臓エコー、頸動脈エコー、上部消化管内視鏡、大腸内視鏡、電子カルテなど
  スタッフ 9人(院長、副院長、非常勤医師1人、常勤看護師3人、常勤事務2人、非常勤事務1人)
  物件形態 ビル診
  延べ面積 約30坪
  敷地面積 約30坪
  開業資金 約3000万円
  外来患者数の変遷 開業当初 40人 → 3カ月後 15人 → 6カ月後 20人 → 現在 100人
  URL http://www.hiro-cl.net/

2013.10.01 掲載 (C)LinkStaff

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