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梅ヶ丘ひかり眼科

中田光紀 院長

中田 光紀 院長プロフィール

1973年に東京都中野区で生まれる。1999年に日本大学を卒業し、日本大学医学部視覚科学系眼科学分野に入局する。1999年5月に駿河台日本大学病院に勤務する。2001年に国立病院機構東京災害医療センターに勤務する。2004年に駿河台日本大学病院に勤務を経て、2005年に白鬚橋病院に眼科医長として勤務する。2007年に高砂眼科に副院長として着任する。2013年8月に東京都世田谷区に梅ヶ丘ひかり眼科を開業する。日本眼科学会専門医。

 東京都世田谷区梅丘は世田谷区の中心地に位置する住宅街である。駅前は賑やかな商店街が伸びているが、近くには羽根木公園もあり、毎年2月には「せたがや梅まつり」が行われている。
梅ヶ丘ひかり眼科は小田急小田原線の梅ヶ丘駅前に2013年8月に開業したクリニックである。網膜光干渉断層計(OCT)などの高性能の機器を揃え、白内障の手術も日帰りで対応している。また、オルソケラトロジーも実施し、多くの患者さんを集めている。
 今月は梅ヶ丘ひかり眼科の中田光紀院長にお話を伺った。

開業に至るまで

◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
 私は東京育ちで、両親は会社を経営しています。それで、小さい頃から留守番をすることが多かったんですね。そんなときはいつも近所に住んでいた高齢のご夫婦が私の遊び相手として、面倒を見てくださっていました。おじいさんとキャッチボールをして遊ぶのが大好きだったんですが、おじいさんの様子が段々とおかしくなってきたんです。ボールを投げても、こちらに届かなくなったり、私が投げても受け取れなかったりします。おじいさんは少しずつ目が見えなくなっていたんですね。恐らく、病名は網膜色素変性症だったと思うんですが、私に心配させないように、誰もおじいさんの目のことを教えてくれなかったんです。おじいさんが亡くなったあと、おじいさんが「最後にもう一度、みっちゃんの顔を見たかった」と話していたと家族から聞き、強いショックを受けました。それ以来、私は眼科医になって、目が見えない人を助けたい、ひかりを取り戻してあげたいと思うようになりました。


◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
 昔から身体を動かすのが大好きで、大学時代はサッカー部に所属し、勉学よりも熱中していました(笑)。


◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
 やはりスポーツですね。サッカーのほかは子どもの頃から習っていたスキーを続けていましたし、水泳などもやっていました。


◆ 専門を眼科に決めたのは子どものときの思いからなのですね。
 私の場合は医学部に行くことは眼科医になることだったんです。大学時代の試験でも眼科学だけは点数が良かったです(笑)。


◆ 母校に入局されたのはどうしてですか。
 眼科の中でも特に網膜に興味があり、母校の駿河台日本大学病院はその分野を専門としていたこともあって、入局しました。


◆ 大学病院のほか、白鬚橋病院や高砂眼科に勤務なさっていますね。
 白鬚橋病院は墨田区、高砂眼科は葛飾区と、どちらも下町の中にある病院やクリニックです。毎日、多くの患者さんを対象に、診察から手術までを何でもこなしていました。患者さんと医師との距離が近く、下町の雰囲気がとても親しみやすかったですね。


◆ オルソケラトロジーとの出会いも勤務医時代ですか。
 高砂眼科は昔からオルソケラトロジーを導入していましたので、多くの方がお越しになっていました。オルソケラトロジーを行うと、翌日には視力が向上し、裸眼で日中を過ごせますので、とても喜ばれていたのです。そこで、私も開業の際にはオルソケラトロジーを導入しようと思っていました。


◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
  勤務医はモチベーションを維持していくことが難しいと思います。雨の日は患者さんの数が少ないのですが、それでもお給料は出ますしね。一方で、開業医は患者さんがいらしてくださらないと生活できませんし、来てくださることでモチベーションが上がります。そのため、勤務医時代は患者さんの少ない日でもモチベーションが下がらないように努めていました。

開業の契機・理由

◆ 開業の動機をお聞かせください。
 私は「地域の開業医」といった存在に憧れがあり、40歳になる前には開業しようと思っていましたし、医局に入るときに教授に将来は開業したいと伝えていました。医局に入局後、まずは専門医資格を取得しようと大学病院で症例を積みました。そして、一人で何でもできるようになるために「一人出張」の関連病院に行かせていただいたんです。出張が終わったときに開業してもよかったのですが、経営について学びたくて、高砂眼科にお世話になることにしました。高砂眼科には6年、勤めましたが、地域に根づいて、患者さん一人一人との関わりを大切にしながら、自分の納得のいく診療をしたいと思ったので、開業を決意しました。また、子どもが3人いますので、家族と過ごす時間を増やしたかったという理由もありますね。


◆ どのようなクリニックにしようと思っていらっしゃいましたか。
 目が見えなくなるというのは人間にとって最大の恐怖です。そうした不安を抱える方々に「来て良かった」、「先生に診てもらって良かった」と明るい気持ちになって帰っていただけるような治療を心がけたいと思っていました。目という器官は人間にとって非常に大切なもので、生活の80%は目に依存しているとも言われています。そのため、目にトラブルを抱えていらっしゃる患者さんは心理的にも大きなストレスを抱えていますから、皆さんの心に明るい光を灯すような、温かみのある診療が理想です。


◆ 開業にあたっては手術も行おうと考えていらっしゃったのですか。
 近辺に白内障手術を行っているクリニックが少なく、このあたりの患者さんは大学病院に行かれていたそうなんですね。そこで、患者さんの利便性を考え、日帰り白内障手術を行うことにしました。もし、近くにそういったクリニックがあっても、手術はしようと思っていました。私は手術が大好きなんですよ(笑)。


◆ 開業地はどのように決められたのですか。
 下町の病院やクリニックに勤務していましたので、私が開業するときも、街に活気があり、子どもから高齢者の方まで幅広い世代が暮らしているところがいいと考えていたんです。もともと梅ヶ丘近辺は大学時代からよく訪れていて馴染みもあり、駅前から続く商店街が賑わっていることなども知っていましたし、妻の実家もこの近くにあることから、開業するなら梅ヶ丘がいいと早くから決めていました。でも、空いている土地がなかなかなく、数年待ちましたが、縁あって、この土地に開業することができました。


◆ 開業地をご覧になっての第一印象はいかがでしたか。
 闊達という印象でしたね。駅前から商店街が続いていて、世田谷区でありながら、どこか下町的な雰囲気が漂っていますし、近くに保育園があり、いつでも子どもたちの元気な声が響いています。開業後、家族で商店街を歩いていますと、「先生、こんにちは」と挨拶をしてくださるんです。都心では薄れがちな、人と人とのコミュニケーションがしっかり根づいている街だと思います。


◆ マーケティングはなさいましたか。
 2社で無料の診療圏調査を行いましたが、まずまずの結果を得ました。でも、2社の結果には差がありましたね。国勢調査は5年に一度ですし、正確なところは分かりにくいのかもしれません。ただ、開業地を決めていたので、どんな結果であっても頑張っていこうと思っていました。


◆ 開業するまでにご苦労された点はどんなことですか。
 全てが新しいことでしたので、何もかもが大変でした。特に融資の交渉ですね。私どもでは医療機器と土地建物で違う銀行から融資を受けたのですが、資金調達の難しさを実感しました。それから広告でしょうか。ホームページの作成には力を入れました。


◆ 医師会には入りましたか。
 世田谷医師会に入っています。白内障は糖尿病との関係が深いですから、近隣の内科の先生方とは情報交換が必要です。医師会のメリットは検診だけでなく、先生方との交流でもありますね。先生方には色々なことを教えていただき、勉強させていただいています。


◆ 当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
 非常勤勤務のスタッフが4人いました。募集には苦労しませんでしたが、経験者が1人しかいなかったので、開業前の1カ月は教育をきちんと行いました。その後、常勤を希望したスタッフもいますし、手術を夜に行うため、スタッフを増員しました。今は常勤が2人、非常勤が3人という体制です。開業当初のスタッフは皆、退職せず、頑張ってくれています。


◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
 開業にあたり、私どもの特徴は立地の良さに加え、高性能の機械を揃えることと、専門性を重視して精密に測定し、高度な医療を提供することだと考えました。そこで、網膜の断面を拡大して撮影したり、網膜の厚さを精密に測定することができるOCTや、角膜の内側の細胞の数や形を測定する角膜内皮細胞計測装置を導入したのです。また、白内障の日帰り手術を行うための超音波白内障手術装置も揃えました。カールツァイス社製の手術顕微鏡も使用しています。


◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
 私の好きなグリーンで統一し、光がふんだんに入るように設計しています。検査の機械や椅子にもグリーンを取り入れましたが、これは特別オーダーなんですよ。周囲には「そこまでやるのか」と驚かれてしまいました(笑)。また、お子さんが待ちくたびれないように、キッズコーナーも完備しています。


クリニックについて

◆ 診療内容をお聞かせください。
 眼科全般を診ています。屈折異常、ドライアイ、アレルギー性結膜炎、前眼部疾患、眼瞼痙攣、白内障、緑内障、目のできもの、網膜疾患、斜視などですね。


◆ どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
 大学病院と同等の治療を、可能な範囲で提供することです。日帰りで白内障の手術を受けられることは患者さんの負担を軽くしますし、私どもであれば手術後の定期検診などにも気軽に通っていただけます。こうした点で、地域医療に貢献していきたいと考えています。


◆ オルソケラトロジーについて、お聞かせください。
 寝ている間にハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状をゆっくり矯正することによって、視力を回復させる治療法です。軽度から中程度の近視の方に有効で、個人差もありますが、一晩で視力が回復するケースもありますね。回復した視力は一定時間、維持されます。日中は裸眼でもよく見えるようになりますから、コンタクトレンズや眼鏡が煩わしかったり、裸眼でスポーツを楽しみたい方に向いています。レーシックなどの外科的手術に抵抗のある方の間でも注目されていますよ。まだ、この治療を行っている眼科はそれほど多くありませんので、インターネットで検索して、私どもにいらっしゃる方も増えてきています。


◆ 小児眼科もなさっていますね。
 月に1回、診察日を設けています。乳幼児は言葉で「見えない」と伝えることはできませんし、片目だけ視力が悪い場合は異変に気づくのは困難です。しかし、小児の視力異常は早期発見が大切です。なぜなら、6歳になる頃までに視力は飛躍的に上昇するのですが、それ以後はあまり上がらなくなってしまうんですね。したがって、6歳までのうちに最大限、視力を伸ばしておくことが大切ですから、私どもでは小さいお子さんをお持ちの親御さんにはお子さんの視力に常に注意するように呼びかけています。


◆ 患者さんの層はいかがですか。
 ご高齢の方が多いですが、幅広い年齡の方々が来院してくださっています。


◆ 検診はどのような内容で行っていますか。
 世田谷区からの依頼である前眼部検査、眼圧測定、眼底検査です。


◆ 病診連携については、いかがですか。
 東邦大学医療センター大橋病院と駿河台日本大学病院が中心です。東邦大学医療センター大橋病院は眼瞼下垂の手術など、私どもで行っていないことをお願いしています。駿河台日本大学病院の眼科は網膜専門ですので、網膜の手術に関してはご紹介しています。


◆ 経営理念をお教えください。
 地域密着の姿勢を持ち、患者さんに笑顔で帰っていただくことです。患者さんが「明るくなったわ」とおっしゃることが目的と言ってもいいぐらいですね。そのため、患者さんの不安を煽るようなことを言わず、楽しく、癒される眼科でありたいと思っています。


◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
 経営理念にも通じることですが、スタッフには「私だけではなく、あなたたちも診療に携わっているのだから、誇りを持って仕事をしてほしい」と言っています。採用にあたっては色々な職場を経験してきた人を選びました。眼科のクリニックの患者さんは高齢の女性が多いので、話しかけやすいスタッフでないといけませんし、「患者さんを自分の親や身内だと思って接してください」ということも伝えています。
 眼科の場合は目薬を30分間つけて瞳孔を開かせる必要があるなど、診察の順番がかなり前後するんです。待ち時間も発生せざるをえないのですが、そこで患者さんのご不満が出ないように、待合室の様子が見えるモニターを診察室に設置し、声かけの指示なども行っています。


◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
 ホームページは現代ではやはり必要ですし、地域外の方もご覧になるので、充実させています。クリニックの様子がリアルに伝わるように、私の顔写真をはじめ、クリニック内の写真も出すなどの工夫をしています。
 梅ヶ丘駅の上下線ホームには看板を1枚ずつ出しています。また、梅ヶ丘から渋谷まで東急バスが走っているので、車内広告にも出稿しています。しかしながら、私どもは駅のすぐ前ですから、建物が駅から見えることが一番の広告だと思っています。
 一方で、高齢の患者さんはまだインターネットに馴染みがないからか、来院動機はほとんどが口コミです。


開業に向けてのアドバイス

 開業医の仕事はモチベーションが上がりますし、楽しいですよ。ただ、全ての責任を自分で負っていかないといけないことが勤務医時代とは大きく異なります。また、開業医は井の中の蛙になりがちです。勤務医は同じ科の医師はもちろん、他科の医師とも常に話し合える環境にありますが、開業医は意識していないと孤立しそうです。私は医師会に参加したり、学会で勉強したりするなど、常にアンテナを張っておくことを心がけています。


プライベートの過ごし方(開業後)

 3人の子どもがいますので、休日は子どもたちと遊んだり、家族で出かけることが多いです。自然の豊かなところが好きなので、広い公園でのんびりくつろぐこともあります。以前はスポーツに熱中していましたが、子どもが生まれてからは時間を取れなくなってしまいました。でも、これからは健康管理のためにも時間を作り、スポーツを再開したいと思っています。


タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図

クリニック概要

梅ヶ丘ひかり眼科
  院長 中田 光紀
  住所 〒154-0022
東京都世田谷区梅丘1-32-2
  医療設備 網膜光干渉断層計(OCT)、角膜内皮細胞計測装置、超音波白内障手術装置、手術顕微鏡、レーザー光凝固装置、ハンフリー自動視野計、オート無散瞳眼底カメラ、角膜形状解析装置など
  スタッフ 6人(院長、常勤スタッフ2人、非常勤スタッフ3人)
  物件形態 戸建て
  延べ面積 約50坪
  敷地面積 約50坪
  開業資金 非公開
  外来患者数の変遷 開業当初20人→3カ月後30人→現在40人
  URL http://hikari-ganka.jp/

2014.05.01 掲載 (C)LinkStaff

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