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えのもとファミリークリニック

榎本あき矢 院長

榎本あき矢 院長プロフィール

1969年に東京都渋谷区で生まれる。1994年に日本大学医学部を卒業し、日本大学医学部附属板橋病院で初期研修を、駿河台日本大学病院で後期研修を行う。2000年に日本大学大学院医学研究科を修了する。大学院在学中に南カリフォルニア大学に留学を行う。2000年に相模原協同病院、2004年に日本大学練馬光が丘病院に勤務を経て、2006年に東松山市立市民病院に外科医長として着任する。2008年に東京都世田谷区に桜丘クリニック院長に就任する。2014年に東京都足立区にえのもとファミリークリニックを開設する。
日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医など。日本外科学会のほか、日本消化器内視鏡学会、日本ヘリコバクター学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本消化器外科学会、日本臨床外科学会、日本小児科学会にも所属する。

 東京都足立区千住橋戸町は京成本線の千住大橋駅前に広がる街で、北千住、南千住、隅田川、荒川に繋がる千住エリアの中心地である。千住大橋は江戸時代、日光街道の起点として隅田川に初めて架けられた橋であり、「奥の細道」の旅立ちの地としても知られている。近年、ここに「千住大橋駅周辺地区計画」が持ち上がり、「ポンテグランデTOKYO」が開発された。その中の商業施設が「ポンテポルタ千住」であり、2014年4月18日にグランドオープンした。ポンテポルタ千住にはスーパーマーケットや大型家電量販店など44店舗が出店し、賑いを見せている。
 えのもとファミリークリニックはポンテポルタ千住4階のクリニックモールに入居するクリニックである。榎本あき矢院長が消化器内科、榎本院長の奥様である榎本由貴乃副院長が皮膚科を専門とした診療を行っているほか、内科や小児科のプライマリケアにも対応している。
 今月はえのもとファミリークリニックの榎本あき矢院長にお話を伺った。

開業に至るまで

◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
 子どもの頃から人の体に興味があり、人間の体に小宇宙のような神秘性を感じていました。人体のみならず、自然科学全般が好きだったんですね。手塚治虫の『ブラック・ジャック』のファンで、憧れてもいました。父は法律家で、親戚にも医師はいませんが、私は漠然と医師になりたいと思っていました。高校2年生のときに将来の進路を決めるテストを受ける機会があり、文系と理系両方の要素を持っていると言われ、医師が適していると判定されたんです。そこで昔の「医師に憧れていた記憶」がよみがえり、医師を目指すことにしました。


◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
 専門分野の勉強が始まってからは勉強が面白くなりましたね。知識を面白いように吸収していきました。人間を対象にする医学は理系一辺倒では理解が難しくなります。その意味で文系の感覚も必要ですので、私に向いていたのかもしれません。


◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
 テニス部に入っていました。医学部はどこもそうなのですが、部活動が盛んですね。私は中学の頃に始めたテニスを選びました。テニスのほかには特に趣味はなかったです。遊びもほどほどでした(笑)。


◆ 専門を循環器内科に決めたのはどんな理由からですか。
 単純に興味があったのは内科や整形外科、外科で、最後まで迷いはありました。親族にも医師がいませんでしたから、誰にも相談できませんでしたね。その中で外科にしたのは目に見えて悪いところを取ることのできる診療科だからです。患者さんが治っていく姿を見たかったんです。


◆ 母校に入局されたのはどうしてですか。
 外科の中では消化器を扱いたかったので、消化器に強みがあった第三外科を選びました。当時はほとんどが母校に入局していましたね。外に出ようという学生は下級生時代から病院見学を頑張っていましたが、私は国家試験に通るのに必死でしたから外部の研修を考える余裕がありませんでした。医局では臨床のほか、肝細胞がんの発がんメカニズムとC型肝炎の感染疫学を研究しました。第三外科は症例が豊富でしたし、研究生活も充実していました。


◆ 留学もなさったのですね。
 医局の研究班の上司に勧めていただいたのがきっかけです。留学先も上司のコネクションの中で決定しました。アメリカでは研究のみならず、オフも楽しく過ごしました(笑)。


◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
 医局人事で様々な病院に勤務できたのは有り難かったです。しかし、外科医ですから、呼び出しも多く、仕事尽くめの毎日でしたね。月に3分の2は病院に泊まっていた時期もありましたし、辛かったことも多かったです。


開業の契機・理由

◆ 開業の動機をお聞かせください。
 勤務医として充実した毎日ではありましたが、このまま一生、外科医でいるのか、年をとったあとも仕事ができるフィールドに進路変更するのかと悩んでいました。ちょうど、医局の教授が交代することになり、私が所属していた研究班も解体となったんです。そこで、一歩引いて考える機会ができ、開業することを決意しました。


◆ 開業にあたってはどんなことをメインにしようと考えていらっしゃったのですか。
 消化器内科を中心にやっていこうと思っていました。私は外科医のときから内科の診療もできないと、患者さん相手の仕事ができないと考えていたんです。患者さんは内科で病気を見つけてもらったあとで、外科に来ます。しかし、そのときには既に進行したがんであることも少なからずあります。どうして、それまで発見できなかったのかという思いから、患者さんに近い立場で医療を展開したかったのです。外科の医療スタイルは内科に比べると、やはり患者さんから遠いですしね。ただ、ずっと外科医でしたから、内科を診療することには不安がありました。開業にあたっては、生活習慣病のことや総合内科的なことなどを猛勉強しました。


◆ 開業地はどのように決められたのですか。
 最初の開業にあたっては、私自身に勇気がなく、医療法人を作りたいという経営者と一緒に開業することになったのです。開業地はその医療法人の経営者と開業コンサルタントが世田谷区桜丘に決めました。


◆ えのもとファミリークリニックを開業しようと思われたのはどうしてですか。
 前のクリニックでも院長という立場でしたが、経営者が別にいるわけですから、自分がしたい医療を十分に展開できるわけではありませんでした。そこで、私を慕ってくださる患者さんのためにも、自分で開業するしかないと思うようになったんです。2013年の1月から開業地を探し始め、3月に決定しました。このモールが2014年4月にオープンすることは分かっていたので、1年をかけて開業準備をすることができました。


◆ こちらの開業地はどのように探されたのですか。
 開業地を探していたときに、マツモトキヨシの市場開発部門が開業医と組んで、ショッピングモールへの出店を行っているということを聞いたのがきっかけです。この場所は以前、ニッピの工場だったのですが、ニッピとUR都市機構と足立区が共同で再開発を行うことになったんですね。それがポンテグランデTOKYOであり、私どもはその中核となる商業施設のポンテポルタ千住のクリニックモールに開業することになりました。


◆ 開業地をご覧になっての第一印象はいかがでしたか。
 当時はまだ更地の状態で、周囲にも何もありませんでしたから、患者さんがいらっしゃるのかどうか不安でしたね。ただ、足立区を含め城東地区は勤務医時代のアルバイトでよく来ていたので、土地勘がありましたし、知っている開業医の先生方も大勢いらしたので、その点は良かったです。開業するときに、その先生方が歓迎会を開いてくださったんですよ(笑)。


◆ マーケティングはなさいましたか。
 一応、行ったのですが、そこまでいい結果ではなかったです。更地が多かったですし、将来性の把握は難しいみたいですね。しかし、建築中のマンションが2棟ありましたし、さらに3棟が建つということでしたので、楽観視できる材料ではありました。


◆ ご苦労された点はどんなことですか。
 設計ですね。前のクリニックを開業するときも設計の段階から携わったのですが、まだ右も左も分からない状態でしたから、使い勝手があまり良くなかったんです。今回の開業にあたっては色々なクリニックに見学に行きましたし、妻である副院長とじっくり話し合って、設計を進めていきました。


◆ 医師会には入りましたか。
 足立区医師会に入りました。特に問題もなく、先輩会員の先生方にお世話になっています。


◆ 開業当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
 看護師1人、事務スタッフが2人で、今も変わっていません。事務スタッフのうちの1人は知人の医療事務経験者を採用しました。ですから、新たに看護師1人と事務スタッフ1人を求人し、以前からの事務スタッフと一緒に選考にあたりました。看護師の求人は若干、苦労しましたね。アイデムや『とらばーゆ』に出稿し、2度目の掲載で決まりました。


◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
 メインにしたかったのが消化器内科ですから、内視鏡は上部だけでなく、下部も備えました。大腸内視鏡に関してはコストを回収するのは難しいですが、一つの特徴になればと思ったんです。そのほかはエコーや生活習慣病に関する設備を完備しました。また、血圧脈波や健診のためのレントゲンなどを揃えました。


◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
 動線を考慮した設計であることと収納スペースの確保でしょうか。前のクリニックでの経験が活きていますね。床にモノを置いてしまうと掃除がしにくいですから、モノを収納するためのスペースは大事だと思います。


クリニックについて

◆ 診療内容をお聞かせください。
 内科に関しては消化器内科が中心ではありますが、今のところ風邪などの一般的な疾患や生活習慣病が多いですね。
 皮膚科も一般的な保険診療がメインです。また、美容相談へのニーズが大きいので、薬や機械を使った美容皮膚科も行っています。


◆ 皮膚科の標榜は最初から考えていらしたのですか。
 妻と一緒に開業するつもりでしたから、最初から考えていました。内科と皮膚科の両方にかかる患者さんもいらっしゃいますよ。


◆ 小児科も標榜されていますね。
 再開発計画の時点で小児科標榜のクリニックを誘致することが決定していましたので、小児科も標榜することにしました。クリニック名に「ファミリー」と入れたのも、家族ぐるみで受診していただきたかったからなんです。実際に近隣にお住まいの方は若い世帯が中心で、親子での受診は多いですね。


◆ どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
 敷居の低い医療を行いたいですね。患者さんが話しやすい、相談しやすい雰囲気のクリニックであるための環境整備に気を配っています。


◆ 患者さんの層はいかがですか。
 皮膚科が半分。残りは小児科と内科が半々ずつといったところでしょうか。小児科は10歳以下、内科はその親御さん世代がほとんどで、高齢の患者さんは少ないです。


◆ 検診はどのような内容で行っていますか。
 足立区の特定健診を行っています。後期高齢者、乳幼児、がん検診などですね。企業健診はこれからお受けできればと思っています。


◆ 病診連携については、いかがですか。
 日本大学医学部附属板橋病院、駿河台日本大学病院、東京大学医学部附属病院、東京慈恵会医科大学葛飾医療センター、東京女子医科大学東医療センター、日本医科大学付属病院、東京医科歯科大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、国立がん研究センター中央病院、がん研有明病院、虎の門病院、三井記念病院などと連携しています。
 近くの病院を希望される患者さんには、このあたりからアクセスの良い東京慈恵会医科大学葛飾医療センターと東京女子医科大学東医療センターをご紹介することが多いですが、基本的には患者さんの病状やニーズに合わせて、ご紹介しています。


◆ クリニックモール内の眼科や歯科との連携はいかがですか。
 現在のところ、特に目立った連携は行っていませんが、足立区の特定健診には眼科が入っていますので、健診でいらした患者さんにはモール内の千住町眼科さんを真っ先にご紹介しています。そういったご紹介はお互い、頻繁にありますね。


◆ クリニックモール内に開業することのメリットはどんなところにありますか。
 衛生的で、清潔が保たれることですね。道路に面した、いわゆる「路面店」は埃が入ってきやすいですから、風除室が必須ですが、クリニックモール内は通路が屋内ですから、患者さんにとっても優しい環境です。


◆ 経営理念をお教えください。
 ファミリークリニックですから、小さい子どもからお年寄りまで、気兼ねなく相談できる医療体制を維持することです。また、消化器内科と皮膚科は専門医療を展開すること、内科、小児科はプライマリケアを重視することも挙げられますね。大きな病院に行く前に、私どもにいらして、相談していただけるような存在でありたいです。


◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
 適宜、ミーティングを行っているのか、薬についての勉強会も開催しています。また、外部のセミナーにもスタッフを派遣しています。そういった勉強の機会を多く確保できるように、努めているところです。


◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
 開業前はチラシのポスティングや新聞への折込チラシを行いました。折込チラシは南千住駅あたりまで、かなり広範囲に広告しましたよ。当時は「患者さんは川を渡っては来ないだろう」と予測されていましたが、実際に開業してみると、川の向こうからもいらしているので、広範囲に広告しておいて良かったですね。
 開業後はホームページがメインです。また、ポンテポルタ千住の壁面に看板を出しています。千住大橋駅に向いている側の壁ですから、駅のホームにいる人の目に止まればと思っています。ただ、私どもはショッピングモール内での開業ですから、ショッピングモールの集客力がそのまま増患になるようですね。
 ほかには、無料で登録できるクリニック検索サイトにも登録しています。今後はアドワーーズの利用を検討中です。アドワーズを利用すれば、この地域で私どもの標榜する診療科を探したときに、グーグルマップに私どもが表示されるので、患者さんへのサービスになりそうです。


開業に向けてのアドバイス

 専門性を磨くことに重きを置くべきです。「何でも診ますよ」という姿勢だけでは専門性が薄れるので、軸がぶれてしまいます。軸をしっかり持ち、何かに特化できる医療を展開できるようにイメージされるといいと思います。
 それから、開業場所も大事です。東京23区内であれば駅に近いところがいいですし、郊外であれば駐車場の確保ができるところがいいですね。ショッピングモール内の開業は商業施設の駐車場を使えることがメリットです。


プライベートの過ごし方(開業後)

 まだ開業したばかりで、ばたばたしているので、日曜日や祝日もクリニックに必要なものを買い物に行ったりするなどで潰れてしまったりしています。そんな中で、娘と遊んだり、娘の友達のご家族と一緒にバーベキューに行ったりするのが楽しみです。


タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図

クリニック概要

えのもとファミリークリニック
  院長 榎本 あき矢
  住所 〒120-0038
東京都足立区千住橋戸町1-13
ポンテポルタ千住4F メディカルモール内
  医療設備 内視鏡(上部、下部)、レントゲン、超音波装置、心電図、血圧脈波検査装置、COスモーカライザー、呼吸機能検査、聴力検査装置、電気メス、脱毛レーザー、光治療装置、イオン導入器、電子カルテ、CR装置(画像ファイリングシステム)など。
  スタッフ 5人(院長、副院長、常勤看護師1人、常勤事務2人)
  物件形態 ビル診
  延べ面積 約48坪
  敷地面積 約48坪
  開業資金 約4000万円
  外来患者数の変遷 開業当初50人→1カ月後50人→現在50人
  URL http://www.enomoto-fcl.jp/

2014.08.01 掲載 (C)LinkStaff

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