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ひろ内科クリニック

鈴木 広和 院長

鈴木 広和 院長プロフィール

神奈川県横浜市で生まれる。千葉大学を卒業後、千葉ろうさい病院で研修を行う。千葉大学消化器内科に入局し、千葉医療センター、千葉大学医学部附属病院、千葉県済生会習志野病院などに勤務する。2014年5月に千葉市花見川区にひろ内科クリニックを開業する。


日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本消化管学会胃腸科専門医など。

 千葉市花見川区は千葉市の西部に位置し、区の中心を区名の由来となった花見川が流れている。花見川区は千葉県天然記念物であり、千葉市の花でもある古代ハス、「大賀ハス」発祥の地であり、大賀ハスは千葉のシンボルキャラクターである「ちはなちゃん」のモデルになっている。大賀ハスは今では世界各地に植栽されているが、花見川区ではしらさぎ公園などで夏の早朝に開花しているのを見ることができる。
 ひろ内科クリニックは千葉市花見川区天戸町のアウリイクリニックモール内に2014年に開業したクリニックである。開業地は京成電鉄本線の八千代台駅からバスで13分の住宅街で、5500世帯数を超える花見川団地を背後に控える。ひろ内科クリニックでは鈴木広和院長の専門である消化器内科のみならず、プライマリケア全般を診療している。
 今月はひろ内科クリニックの鈴木広和院長にお話を伺った。


開業に至るまで

◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
 父と祖父が医師なんです。父は大学人で、大学病院の分院で呼吸器内科の教授を務めており、祖父は千葉県内で開業医をしていました。そういう家庭でしたので、私も小さい頃から「将来は医師になるんだろうなあ」と漠然と考えていたんです。きちんと決めたのは高校2年生のときですね。進路の選択にあたって、改めて医師になろうと思いました。


◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
 医学部のバレーボール部に入っていました。先輩の時代は強くて、黄金期だったのですが、私の学年は「谷間の世代」と呼ばれていました(笑)。でも、そのためか、大学から始めたにも関わらず、レギュラーになることができました。大学時代は部活動しかしていなかったとまでは言い切れませんが、部活動中心の日々ではありましたね。


◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
 趣味は特にありませんでした。友達と遊びに行ったり、世間一般の学生と変わらなかったです。


◆ 専攻を内科に決められたのはいつですか。
 医師になるなら内科だと、大学入学直後には決めていました。外科で手術をするのも良かったのですが、患者さんとじっくり向き合える内科の方が私には合っていると思いました。


◆ 初期研修はいかがでしたか。
 手に職をつけられるのが消化器内科の魅力です。頭よりも手を動かしてみたかったんですね(笑)。消化器内科は内科の中では外科に近い診療科ですし、内視鏡や手技を学びたいと思いました。初期研修は千葉ろうさい病院に行ったのですが、そこで指導医の先生方の影響を受けたことも大きかったです。


◆ その後、千葉大学の消化器内科に入局されたのですね。
 大学に所属するという形をとって、勉強を続けたかったんです。医師としての将来像を作り上げるうえで、医局から色々な病院に行って、経験を積んでおくことが必要だと考えました。


◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
 楽ではなかったですし、大変でしたね。休日に呼ばれることもありましたし、同僚の中には旅行先から帰ってきた人もいました。開業後は休みは増えましたし、オンとオフがはっきりしています。でも、開業後の今と比べると、勤務医の方が良かったと思う点もあります。開業すると、人やお金など、全てが自分の問題になります。身体を壊すと収入も途絶えます。そういったことを分かったつもりで開業したはずですが、開業後はその重みが異なりましたね。


開業の契機・理由

◆開業の動機をお聞かせください。
 もともと開業志向があり、勤務医時代の後半から開業についてのセミナーに出席したりしていたんです。そこで開業資金や物件などの話を聞いていたのですが、物件探しに2、3年かかることが分かりました。そこで、開業支援のコンサルタント会社に相談し、物件探しを始めたところ、思いのほか早く物件が見つかったんです。物件との出会いはまさに一期一会で、同じ物件は二度と出ません。コンサルタント会社の担当者からも「これ以上ない物件ですよ」と言われたこともあり、開業を決めたというよりも物件を決めたから開業することにしたといった感じで進んでいきました。


◆ 開業地はどのように探されたのですか。
 当時は千葉市中央区に住んでいましたし、子どもが小さかったこともあって、自宅から通える範囲で探しました。千葉市内のみならず、四街道市や勤務していた病院があった習志野市なども候補に挙がりましたね。でも、エリアにはそれほど固執していませんでした。経営あっての良い医療ですから、集患が見込めるところという観点の方を重視していました。


◆ 開業地の第一印象はいかがでしたか。
 到着するまで迷いました(笑)。着いてみると、クリニックモールはまだ建っておらず、更地の状態で看板だけが出ていました。土地勘がない場所だと思い込んでいたのですが、実は勤務先の病院からとても近いことが分かりました。勤務先の病院の近くでの開業にこだわる方もいらっしゃいますが、私にはそのこだわりはなく、「落下傘」の開業でもいいと考えていたんです。でも、結果的に勤務先の病院から近くの場所が見つかり、そちらからの患者さんもいらっしゃるようになりました。こちらから患者さんをご紹介することも多く、病診連携ができていますので、良かったです。


◆ 開業にあたって、マーケティングはなさいましたか。
 診療圏調査を行いました。既存のクリニックもありますが、花見川団地をはじめとする住宅街であること、高齢者人口が多いことが有利に働きました。コンサルタント会社の担当者からも「こんなにいい数字が出ることはないですよ」と言われましたね。


◆ 開業までに、ご苦労された点はどんなことですか。
 資金の融資やスケジュール管理はコンサルタント会社がしてくれましたが、苦労は色々とありました。子どもが生まれたばかりで、まだ保育園に預けてもいなかったので、育児しながら準備を進めていくのが大変でしたね。打ち合わせでは細かいことまで決めないといけませんし、本当は私がイニシアティブを取るべきところですが、業者さんに丸投げにならざるを得ないこともありました。例えば、設計は設計会社に依頼しましたが、電気や医療機器に関することは別の業者さんだったりします。そこで電源コンセントのトラブルが起こったときに、電源コンセントの位置の問題なら設計会社に言わないといけないですし、配線の問題なら別の業者さんにといった連絡が煩雑でした。


◆ 医師会には入りましたか。
 千葉市医師会に入りました。


◆ 開業当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
 看護師はフルタイムのパートさんが1人、パートさんが1人、受付スタッフが3人です。すぐに多くの応募があり、2回の面接を経て、決定しました。決定までは問題なかったのですが、開業後は大変だったこともありました(笑)。


◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
 上部内視鏡、エコー、レントゲン、HbA1cの測定機器などを揃えました。最初からこのぐらいのものは備えたかったんです。直前まで勤務医をしていますと、開業にあたっては色々な機械を入れたくなるものです。私としては生化学検査機器も入れたかったのですが、初期費用や維持費がかかりますから、コストパフォーマンスが悪いと指摘されました。勤務医は検査結果がその日のうちに出ることに慣れていますし、それで診療レベルを維持しています。しかし、開業後は検査を外注せざるを得ません。外注だと機器のコストはかかりませんが、診療レベルが落ちてしまうんですね。診療レベルの維持と利益とのバランスを考えることが大切ですし、私どもの今の医療設備はその意味ではちょうどいいと思っています。


◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
 予算が限られていますので、医療機関に特化した設計会社を選びました。その会社の方がいくつかパーツを作ってきてくれたので、それらをもとに打ち合わせを重ねていきました。白を使うと病院のような雰囲気になってしまいますから、待合室では白を使わず、温かみを表現しました。バリアフリーであること、患者さんとスタッフの動線を分けていることもこだわりです。スタッフが患者さんの動線にどうしても入ってしまうことはありますが、基本的には分けていますから、スタッフがお手洗いに行くときに患者さんと会うことはないですね。


クリニックについて

◆ 診療内容をお聞かせください。
 一般内科を診ています。街のかかりつけ医といった感じですね。消化器内科を専攻していましたが、メインに置いてはいません。高血圧、糖尿病、高コレステロール、痛風といった生活習慣病も診ますし、近隣に耳鼻咽喉科がないこともあって、春先は花粉症も多いです。
 外科的なことで患者さんが駆け込んでいらっしゃることもあります。指先を切って血だらけになっている方にはできるだけの外科処置をしましたし、棘が刺さった、蜂に刺された、猫に引っかかれたといった方もいらっしゃいました。「車に轢かれた」という患者さんには救急車を呼んで、他院を紹介しました。どこに行けばいいのか分からなくなった患者さんが私どもを思い出してくださるのは認知されているようで有り難いですね。


◆ どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
 病気のことも、ときにはそうではない悩みなども、「あのクリニックに行きたい」、「行けば安心する」と思ってもらえるようなクリニックにしたいです。また、一人一人の患者さんに対して、「自分の家族だったら」と常に考えて、診療にあたっています。


◆ 患者さんの層はいかがですか。
 3分の2が60歳以上の方々です。冬場は風邪が流行りますので、20代、30代の方々が増えますね。


◆ どのような内容の健診を行っていらっしゃいますか。
 千葉市の健診や個別の企業の健診を行っています。特定健康診査や健康診査では肝炎ウィルス検診、大腸がんや前立腺がんの一次のがん検診をお受けしています。定期的な予防接種は65歳以上の方のインフルエンザ、任意の予防接種は成人用肺炎球菌などを行っています。若い方を対象にした健診にはあまり力を入れていません


◆ 病診連携については、いかがですか。
 千葉県済生会習志野病院が中心です。そのほかは東邦大学医療センター佐倉病院、最成病院、千葉医療センター、千葉市立海浜病院です。


◆ 経営理念をお教えください。
 細く、長く続けていきたいです。長く続けていくためには無理をせず、ときには私自身も大切にしながら、手広く地域に貢献できたらと願っています。


◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
 毎日、朝礼、午前中の診療後の終礼、午後の診療後の終礼を行っています。朝礼や終礼は連絡事項の申し送りが中心ですね。勉強会は1カ月か2カ月に1回の割合で開催していますし、製薬会社主催の勉強会も不定期に行っています。労務管理にあたってはコンサルタント会社に依頼して就業規則を作成し、勤務時間や有給休暇などを明確化したのですが、そのような堅苦しいものとは別に、院内のルールを書いた手帳も配っています。「患者さんと話すときは目を見ましょう」、「開始5分前には準備を終えましょう」といったものですが、教育ツールとしての効果があるようです。


◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
 ホームページのほかは京成バスのアナウンス広告です。最寄りのバス停である「第二中学校」がアナウンスされるときに私どもの名称もアナウンスされます。開業初年度は「かもめ~る」を使って宣伝しましたが、これは効果がありました。しかし、一番は口コミですね。高齢者が多い地域ですし、特に女性の患者さんはご家族やご友人に勧めてくださいます。今後も「お母さんからおばあちゃんまで」の世代の患者さんに来ていただけたらと思っています。


開業に向けてのアドバイス

 「子どもが小さいときに開業するのは大変です」とまず申し上げたいです(笑)。夫が仕事で、妻が家事や育児と割り切っているのならいいのでしょうが、イクメンが当然の時代ですし、妻にも開業準備を手伝ってもらっていたので、育児との両立は大変でした。
 勤務医と開業医の感覚は色々な意味で違いますが、それは開業しないと分からないんですね。勤務医時代は看護師に言いたいことがあれば師長や部長に言えば済みますし、事務スタッフには事務長がいます。でも開業したら、院長がスタッフ全員の直属の上司なんです。スタッフは院長に不満があれば退職しますし、スタッフが退職したら診療できず、患者さんを診られないといったリスクが出現します。借金して開業しているのに、スタッフを補充するための時間とお金もかかりますから、身を滅ぼしかねません。
 診療スタイルにしても、やりたいことを追求するために薬や機械を入れるのではありません。薬を入れても使わないと無駄になります。勤務医ではこの感覚が培われないんです。病院には薬があるのが当たり前ですし、薬がなくなったら、誰かが補充してくれることも当たり前です。勤務医は患者さんを診ることに集中できるのがいいですね。
 開業は考え過ぎるとできなくなります。私も「もう一回、開業しますか」と聞かれたら、二の足を踏みますね(笑)。勤務医の方が良かったと思うこともなくはありませんが、それでも開業して良かったことの方が多いです。若気の至りや「思い立ったが吉日」といった勢いで開業しましたが、決して後悔はしていません。

プライベートの過ごし方(開業後)

 特に趣味はありませんが、周りからはゴルフに誘われているところです。休みの日は家族と過ごすことがほとんどです。夏休みは北海道に旅行に行きました。日頃の休日は東京ディズニーランドに行ったり、近所の公園に行って子供と遊んだりしています。

タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図
ひろ内科クリニック
  院長 鈴木 広和
  住所 〒262-0043
千葉県千葉市花見川区天戸町1467-7
  医療設備 上部内視鏡、腹部エコー、血液検査機器、レントゲン、電子カルテなど。
  スタッフ 8人(院長、常勤看護師1人、非常勤看護師1人、非常勤事務5人)
  物件形態 ビル診
  延べ面積 40坪
  敷地面積 40坪
  開業資金 6,000万円
  外来患者/日の変遷 開業当初10人→3カ月後10人→6カ月後20人→現在60人
  URL http://hiro-naika.jp/

2017.01.01 掲載 (C)LinkStaff

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