千葉県四街道市は千葉市に隣接し、都心まで40キロの圏内にあるため、1960年代から旭ヶ丘グリーンタウン、千代田団地、みそら団地などの大型団地の開発が始まり、首都圏のベッドタウンとして発展してきた。市内には桜の名所が点在し、福星寺の樹齢370年を超えたしだれ桜が特に有名である。
四街道森山クリニックはJR総武本線の四街道駅北口から徒歩1分の場所に2015年に開業したクリニックである。精神科と心療内科を標榜し、認知症、うつ病から発達障害まで幅広い診療内容をカバーしているが、採血や心電図などの検査も行い、心身ともに行き届いた診療を行っている。
今月は四街道森山クリニックの森山美紀院長先生にお話を伺った。
森山 美紀 院長プロフィール
1996年に産業医科大学を卒業後、産業医科大学精神医学教室に入局する。1997年に浜松労災病院に勤務を経て、1998年に産業医科大学精神医学教室専修医となる。2000年に日立製作所に産業医として勤務する。2001年に東京都立松沢病院で研究医となる。2002年に産業医科大学実務研修センターで研修を行い、2003年にカネボウに産業医として勤務する。2005年に日立システムアンドサービスに産業医として勤務する。2009年に中村古峡記念病院に勤務後、2012年古峡みはまクリニックに勤務する。2015年に千葉県四街道市に四街道森山クリニックを開業する。
医学博士。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本精神神経学会指導医、日本医師会認定産業医などの資格を取得している。日本臨床精神神経薬理学会、日本女医会にも所属している。
開業に至るまで
◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
小学生の頃に、母が「これからの女性は手に職を持った方がいい」と医師になることを勧めてくれたのがきっかけです。高校生のときには既に精神科に興味を持ち、フロイトやユングなどを読んでいました。
◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
勉強を中心にしながらも部活動や友人との付き合いを楽しんでいました。成績は比較的よく、再試にはあまりかからず進級しました。
学生会の役員などをしていました
◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
バドミントン部の副部長、茶道部部長、華道部部長をしていました。長期休暇には友人とイギリスやフランス、イタリアなどへの海外旅行を楽しんでいました。イギリスに語学留学したのも思い出に残っています。
◆ 専門を精神科に決めたのはどんな理由からですか。
医師になると決めたときに、「医師になるなら精神科」と思っていたのです。高校生のときに決め、大学時代も精神科の研究室に配属され、迷いはなかったです。
◆ 産業医科大学に入局されたのですね。
産業医科大学は特殊なので、3割ぐらいしか大学に残らないのですが、私は医局に入りました。医局人事で毎年のように転勤していました。大学では臨床精神神経薬理の研究を行い、同学年で1番に医学博士号を取得しました。
◆ 東京都立松沢病院にも勤務されています。
精神保健指定医を取得する症例を集めるために、自分で希望を出して勤務しました。以前から憧れていた病院で、一度は勤務したかったので良かったです。松沢病院での精神科救急やアカデミックな経験はほかでは得られないものでした。
◆ 産業医として、長いキャリアをお持ちです。
日立製作所やカネボウ、日立システムアンドサービスで産業医としてのキャリアを積みました。産業医として、うつ病の復職支援についてのプログラムを作り、ハンドブックの作成に携わったこともあります。
◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
人の2、3倍は働いた勤務医時代でした(笑)。大体のことはできるという自信を得られましたね。スピードが求められる診療や救急も経験できましたので、開業後も診療に困ることはないだろうと思っていました。
開業の契機・理由
◆ 開業の動機をお聞かせください。
勤務医時代に出産しましたが、産後3カ月で復帰しました。医局長のほか、看護学校の講師の仕事、学会発表もしていました。それでも子育てと両立させていたのですが、さすがに大変でした。そこで夫からの勧めもあり、開業することにしました。
◆ 開業地はどのように決められたのですか。
開業する数年前から四街道市に住んでおり、気に入っていたのです。開業するなら自宅の近くでしたいと考えていたので、四街道市内で探していました。何軒か見て回っていたのですが、四街道駅前のビルの1階が空いていると知り、それまで見た中ではスペースが広かったこともあって、こちらに決めました。現在は千葉県内各所のほか、茨城県、東京都などからも患者さんが来ます。
◆ この物件をご覧になっての第一印象はいかがでしたか。
駅から徒歩1分という距離なのが良かったですね。1階ですから、高齢者や足の悪い患者さんにも来ていただきやすいと思いました。精神科や心療内科の場合は通院するところを人に見られたくない患者さんも少なくありません。その点、この物件は駅に近いのに、大通りに面しているわけではないので良かったです。
◆ 開業にあたり、マーケティングはなさいましたか。
コンサルティング会社が無料でしている診療圏調査を行いました。近隣に競合がほとんどないこと、50代の人口が多いことから、良い結果が出ました。
◆ 開業にあたって、ご苦労された点はどんなことですか。
一級建築士である担当者と意向を合わせていくのに思ったより時間がかかりました。図面案作成、支柱の選択、壁紙の選択、洗面台の選択、エアコンの選択、コンセントの配置など、細かいところまで打ち合わせを重ねました。
◆ 医師会には入りましたか。
入っていません。
◆ 開業当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
私のほかは事務スタッフが1人です。すぐに決まりましたが、現在はほかのスタッフに変わっています。現在は看護師2人、事務スタッフが4人、医師が2人いますが、皆と意思疎通が図れて、仕事をしやすいです。
◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
心電図計、採血、注射、心理検査、医療カート、ベッド、パソコン、電子カルテ、予約システムなどです。精神科、心療内科なので、シンプルです。
◆ 移転後の設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
グリーンを基調にしています。精神科や心療内科ですから、防音にはこだわり、特殊なドアを採用しています。壁紙は白い塗り壁風のものにして清潔感を出しました。洗面台は外国から取り寄せました。
クリニックについて
◆ 診療内容をお聞かせください。
精神科と心療内科を標榜しています。認知症、うつ病、不安障害やパニック障害などの神経症、ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害の患者さんが多いです。
◆ どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
患者さんが治療を続けていけるように、最初に希望をよく聞くようにしています。薬物療法に不安を持っている患者さんは少なくないので、薬を受け止めることができるタイミングを見定め、寄り添いながら診療することを心がけています。
また、患者さんを待たせないように予約制にしています。
◆ 患者さんの層はいかがですか。
幼稚園、保育園に行っている子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が来ますが、40代から50代が一番多いです。
◆ 病診連携については、いかがですか。
頭部CTや脳波検査、知能検査などを下志津病院にお願いしています。カウンセリングは志津クリニック、入院は八千代病院、合併症や思春期外来希望の方は千葉市立青葉病院を紹介することが多いですね。また、成田赤十字病院、東邦大学医療センター佐倉病院、千葉大学医学部附属病院とも連携しています。
◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
休憩時間に昼食を食べながら話をしています。クリニックでの勤務経験者がほとんどですので、患者さんへの対応もできています。
◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
以前はグーグルでの広告もしていましたが、今はホームページだけで十分です。
開業に向けてのアドバイス
開業するとなると、一から自分で作っていかなくてはいけません。自分の診療スタイルやどういうクリニックを作っていきたいかを考えておきましょう。
プライベートの過ごし方(開業後)
子どもと過ごすことがほとんどです。子どもは小学生で、スイミングとバレエ、サピックスに通っているので送り迎え、準備、サポートなどをしています。私は現在は四街道市の学童保育の副会長をしていて、会議が多いです。
タイムスケジュール
クリニック平面図
四街道森山クリニック | ||
院長 | 森山 美紀 | |
住所 | 〒284-0005 千葉県四街道市四街道1-2-8 和田ビル1階 |
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医療設備 | 心電図、採血、注射、心理検査、医療カート、パソコン、クラウド型電子カルテ、予約システムなど。 | |
スタッフ | 9人(院長、理事長、非常勤医師1人、非常勤看護師2人、非常勤事務4人) | |
物件形態 | ビル診 | |
延べ面積 | 約50m² | |
敷地面積 | 約50m² | |
開業資金 | 1,000万円 | |
外来患者/日の変遷 | 当初15人 → 3カ月後20人 → 6カ月後30人 → 現在40人 | |
URL | http://www.yotsukaido-moriyama-clinic.com/ |