常盤台らいおん整形外科
東京都板橋区常盤台は「板橋の田園調布」と呼ばれている。これは東武東上線のときわ台駅の北口がロータリーから放射状に道路を伸ばし、並木道が続いている風景が大田区の田園調布に似ているからである。1935年に東武鉄道初の住宅地として分譲された歴史を持つが、今もプラタナスの並木道が続く閑静な高級住宅街となっている。
常盤台らいおん整形外科はときわ台駅北口から徒歩1分のマンション1階に2009年に開業したクリニックである。小﨑直人院長は一般的な整形外科のほか、小児整形外科、スポーツ整形外科、骨粗鬆症、関節リウマチなども得意としており、リハビリにも力を入れている。
今月は常盤台らいおん整形外科の小﨑直人院長にお話を伺った。
小﨑 直人 院長プロフィール
1975年に千葉県千葉市で生まれる。2000年に慶應義塾大学を卒業後、慶應義塾大学整形外科教室に入局し、下肢班に所属する。2000年に慶應義塾大学病院、2001年に静岡赤十字病院、2002年に済生会横浜市南部病院に勤務を経て、東京大学整形外科で客員研究員を務める。また、藤田保健衛生大学整形外科(助教)、 東京歯科大学市川総合病院(麻酔科)、埼玉社会保険病院(医長)、都立大久保病院、高須病院(愛知県)に勤務する。2009年に東京都板橋区に常盤台らいおん整形外科を開業する。平成24年度の板橋区医師会第6支部支部長を務める。
日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本骨粗鬆症学会認定医など。日本運動器リハビリテーション学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会、日本股関節学会、日本足の外科学会、日本靴医学会、日本整形外科スポーツ医学会にも所属する。
開業に至るまで
◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
いわゆるおじいちゃんおばあちゃんっ子で、母方の祖父母の近くで育ちました。高校生のときにその祖父が亡くなったことがきっかけで医師を目指しました。それまでは通院といっても小児科に行く程度で、病院には縁のない環境でしたね。
◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
水泳部に入りました。高校はボート部でインターハイに出場し、6位入賞したこともあります。でも大学ではボート以外のことがしたくて、水泳を選びました。水物という点では共通かもしれませんが、大学入学時点ではカナヅチだったんです(笑)。先輩方に浮かび方から教えていただきましたよ。それでも関東医歯薬大会で8位に入るまでに上達しました。
◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
部活動中心の大学生活でしたので、趣味はなかったですね。勉強もそれなりにしていました。
◆ 専門を整形外科に決めたのはどんな理由からですか。
運動器が好きでしたし、患者さんが動けるようになっていくところに魅力を感じたからです。整形外科は感染すると大変なのでクリーンに保たれているのですが、それも良かったです。臭いがきついわけでもないですしね(笑)。決めた時期は遅くて、6年生のぎりぎりのタイミングでした。
◆ その中で下肢を専攻されたのはどうしてですか。
手の外科にも興味があったのですが、腰痛や膝痛などを診たいという理由からです。
◆ 東京大学や藤田保健衛生大学でも研究なさったのですね。
関節炎や骨折の研究をしていました。ネズミを使って、関節炎のなりやすさを実験したり、面白かったです。
◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
8年ほどの勤務医時代でしたが、忙しかった思い出しかありません(笑)。飲み会も激しかったですし、睡眠時間がなかったですね。下っ端のまま終わった勤務医生活でした。
開業の契機・理由
◆ 開業された経緯をお聞かせください。
父が不動産関係の会社を経営しており、この隣の土地にマンションを所有していました。ちょうど、この場所にマンションが建つことになり、父の土地と等価交換することになったのです。それで、このマンションの1階で開業しないかということになったのがきっかけです。私としてはまだ開業する時期ではないと思っていましたし、研究にも打ち込んでいましたので迷いはありましたが、折角だからということで、開業を決意しました。
◆ 開業地の第一印象はいかがでしたか。
常盤台は「板橋の田園調布」と言われている地区で、裕福な方が多くお住まいになっています。いいところだなと思いましたね。物件もときわ台駅から徒歩1分でしたし、好印象でした。
◆ 開業にあたり、マーケティングはなさいましたか。
コンサルタント会社に診療圏調査をしていただきましたが、まずまずの結果が出ました。以前はときわ台駅の駅ナカに競合物件がありましたが、今はないですし、競合がないと診療圏調査は良いみたいですね。
◆ 開業にあたって、ご苦労された点はどんなことですか。
開業1カ月前に両足のアキレス腱を切断し、開業準備に支障を来したことです。完治に2カ月かかるところでしたが、装具したまま外来に出るわけにはいきませんし、大変でしたね。スタッフの面接なども何とかこなしました。スタッフ集めも苦労しましたが、良い人材に恵まれました。開業後はスタッフの方がクリニックの仕事に慣れていて、私は開業医としては素人でしたから、スタッフとのコミュニケーションに難しさがあり、勉強になりました。
◆ 医師会には入りましたか。
板橋区医師会に入りました。ただ、怪我のため、開業前のご挨拶にも伺えませんでした。板橋区医師会では若手医師が持ち回りで支部長を務めるのですが、私も平成24年度に担当しました。今は看護学校の講師を務めています。
◆ 開業当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
看護師が常勤で1人、非常勤で1人です。そのほかは全て常勤で、放射線技師1人、リハビリ助手2人、事務スタッフ2人でした。
◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
透視機能付きデジタルレントゲン、迅速血液検査、DXA法による骨密度測定、骨折治療器、頚椎牽引、腰椎牽引、中周波治療器、SSP治療器、キセノン治療器、ホットパック、超音波治療器、メドマー、ウォーターベッドなどを導入しました。5年前に超音波を新しく入れたのですが、見え方が全く違いますね。現在は2台あります。
◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
2つの診察室を作ったのですが、今は3つに増やしています。診察室が多い方がやり取りしやすいです。患者さんも看護師や看護助手とゆっくり話せますしね。また、車椅子やベビーカーがそのまま入れるバリアフリー、車椅子や松葉杖の完備、アロマを炊くことなどもこだわっています。
クリニックについて
◆ 診療内容をお聞かせください。
一般的な整形外科のほか、小児整形外科、スポーツ整形外科、関節リウマチが主な診療内容です。一般的な整形外科では骨・関節疾患、脊椎疾患、神経・筋疾患を診ています。小児整形外科は先天性筋性斜頸、先天性股関節脱臼などですね。スポーツ整形外科はスポーツで生じた外傷や障害に対しての治療やリハビリ、トレーニング指導などで、中高生の患者さんが多いです。
◆ 脊椎の専門外来もなさっていますね。
完全予約制で、不定期の土曜日に山根淳一医師が脊椎疾患を診ています。山根医師は豊富な手術経験がありますので、首や腰の痛み、手足の痺れなどでお困りの患者さんに手術を勧めてくれたり、専門性の高い診療を行っています。
◆ どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
幼稚園、保育園に行っている子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が来ますが、40代から50代が一番多いです。
◆ 患者さんの層はいかがですか。
1歳から100歳までいらっしゃいます(笑)。1歳でも骨折や脱臼、とげ抜きといったこともあります。高齢の方は痛みやロコモティブシンドロームなど、本当に幅広い年齢層ですね。
◆ どのような検診を行っていらっしゃいますか。
行っていません。骨粗鬆症の検診だと手で行うのですが、私どもではより精度の高いDXA法を用いた精密検査を行っています。
◆ 病診連携については、いかがですか。
患者さんのご要望を聞きつつ、「膝ならこの病院のこの先生」のようにご紹介しています。慶應義塾大学病院、日本大学医学部附属板橋病院、帝京大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、埼玉メディカルセンター、東京都健康長寿医療センター、国立病院機構埼玉病院、豊島病院、板橋中央総合病院、常盤台外科病院、練馬総合病院、大久保病院などと連携しています。また、MRIやCTの撮影に関しては池袋のメディカルスキャニング、常盤台外科病院、金子病院、東京メディカルクリニック、滝野川メディカルクリニックと提携しています。滝野川メディカルクリニックはご希望の方には私どもまでの送迎もお願いしています。
◆ 経営理念をお教えください。
お蔭様でスタッフの仲が良いので、私も一緒に仕事をさせてもらっているという感覚でいます。そのため、ブラックな経営にならないよう、公明正大を心がけ、正しいことを行うようにしています。
◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
毎日、朝礼を行い、一人ずつスピーチをしています。同じテーマで全員が済ませたら、また新しいテーマを決めます。司会者も持ち回りです。私はスピーチにコメントをつけています。教育に関しては看護師やリハビリスタッフなど、各部署にリーダーがいますので、部署ごとに進めています。
◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
ホームページのほか、近隣の電柱10本程度に広告を出しています。しかし、来院の動機になるものは看板ではなく、口コミですね。私どもも開業直後は1日の売上が5000円という日もありましたが、口コミによって増患していったように思います。
開業に向けてのアドバイス
勤務医から院長になるというのは別人になるようなものです。単に年齢を重ねただけかもしれませんが、経験値が全く変わりましたね。勤務医時代は尖っていたり、正義の刀を振りかざしていても問題ありませんでしたが、開業後はスタッフとのやり取りにしても、私どもには20人ほどのスタッフがいますので難しさがあります。しかし、開業は得難い経験です。医師の世界は狭いので、一生のうち1回は開業してもいいと思います。
プライベートの過ごし方(開業後)
趣味として、中学生の息子と一緒にテニスを始めたところ、妻や娘もスクールに通うようになり、家族で楽しんでいました。「2テニス」と言って、1日に2回やったりしていたのですが、私だけテニス肘になって、脱落したところです(笑)。最近のプライベートタイムはこのマンションの理事会の仕事があったり、看護学校の授業で使うスライド作りなどで過ごしています。
タイムスケジュール
クリニック平面図
常盤台らいおん整形外科 | ||
院長 | 小﨑 直人 | |
住所 | 〒174-0071 東京都板橋区常盤台1-44-1BELISTA常盤台 1階 |
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医療設備 | 透視機能付きデジタルレントゲン、超音波、迅速血液検査、DXA法による骨密度測定、骨折治療器、頚椎牽引、腰椎牽引、中周波治療器、SSP治療器、キセノン治療器、ホットパック、超音波治療器、メドマー、ウォーターベッド、電子カルテなど。 | |
スタッフ | 23人(院長、非常勤医師1人、常勤看護師4人、非常勤看護師1人、常勤理学療法士3人、常勤放射線技師1人、常勤柔道整復師2人、常勤診療・リハビリ助手4人、非常勤診療・リハビリ助手1人、常勤事務4人、非常勤事務1人) | |
物件形態 | ビル診 | |
延べ面積 | 約210m² | |
敷地面積 | 約210m² | |
開業資金 | 2,000万円 | |
外来患者/日の変遷 | 当初10人 → 3カ月後30人 → 6カ月後80人 → 現在200人 | |
URL | http://www.lion-seikei.com/ |