クリニックの窓教えて、開業医のホント

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- みながクリニック -
和歌山県和歌山市
 
みながクリニックは、徳川家8代将軍吉宗を送り出した城下町で有名な和歌山市街の中心部にある。JR和歌山駅前より徒歩3分の所に位置し、繁華街に面した人通りの多い比較的恵まれた4階建てのビルで開業している。開業形態は、前医院からの継承によるもので、一般的に一戸建ての継承物件が多いといわれている中、ビル診での継承は珍しく、1階と2階のフロアーを借りている。築後22年経っているが、見た目の古さは感じられない。 中を伺うと、左手に患者さん用のソファーがあり右手には薬局と受付が並びその奥が診察室になっている。医療器械は前医院からのものを一部譲り受けた他に、最新式の医療器械を別途購入している。1階は20坪で、当然のように診察室・受付・薬局・待合室・医療器械等があり、2階を院長室・応接室・スタッフルーム等の構成にしている。

 院長の見永武芳先生は、京都府立医科大学の出身で、大学病院時代は、所属教授が教育方針として、若い医師に対して「専門分野しか知らず市中病院での総合臨床には問題のある医師の育成」に警鐘をならされていた関係で、幅広い分野での臨床経験をつまれました。この経験が開業し地域医療に転進した今となっては強い支えとなったそうです。 研修医時代は血液のグループに所属し白血病等の診断・治療を経験し、出張病院(滋賀県・近江八幡市民病院)では、一般内科を実践する傍ら、人口透析施設を自力で開設されました。大学へ戻った後は、循環器・心臓代謝のグループに移りこの分野の研究を開始し、この研究を通して渡米されました。帰国後は、大学病院でラパロスコープの担当医となり、肝臓外来を経験するといった具合で、将来、地域医療に身を投ずる訓練としては、理想的な医療実践を経験されました。 大学病院時代、二度にわたりトータル6年余、米国カリフォルニア大学、サンフランシスコ校、心臓血管研究所に招聘され、その帰結として「内科医に不可欠な治療薬」に特に興味を持たれ、このため、後に外資系製薬メーカーから応援を頼まれたのを契機に「薬の研究開発」の指揮をとるという実践までつまれ、やっと地域医療というゴールにたどり着かれたという特異な経歴の持ち主で、一味違った地域医療を目指されています。 前医院の院長は高脂血症を専門にされていた為、「循環器科・内科」を標榜された経緯もあったようですが、継承前にカルテで確認されたところ、「生活習慣病に根をおろした循環器患者が多く、敢えて標榜を変える必然性も見出せなかった」そうで、前医の出身大学での指導教授は見永先生も個人的に懇意にされていた先生でもあり、縁とはこんなものかと人生の不思議な巡り合わせに驚かされたという。

    


開業日が本年1月4日で、現在では外来患者数も月のべ1000人を超えているという。それも新規開業に比べると継承開業の有利性が見て取れるが、何よりも院長の人柄が地域に根ざした結果といえるのではないか。 今後の方針として院長は、「通院患者の高齢化を視野に入れ、外来の通院出来なくなった“寝たきり老人”の在宅医療対策を真剣に考え、地域医療としての使命を果たしたい」と考えていらっしゃいます。また、堪能な語学を生かし、外国人への診療も積極的に行いたいという。

医療法人 殿最会 みながクリニック
住所 〒640-8342
和歌山県和歌山市友田町4-18
標榜科目 循環器科・内科
医療設備 X線、超音波診断装置、解析機能付心電計等
延べ床面積 1F:20坪 2F:20坪
物件形態 ビル診
スタッフ数 看護師常勤2人、事務2人
開業資金 自己資金7,500万円(但し、6,000万円は医療法人の余剰金として継承)


2000.11.1掲載 (C)LinkStaff


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