クリニックの窓教えて、開業医のホント

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- 喜多整形外科 -
大阪府豊中市
 
阪急宝塚線庄内駅を降り、伊丹空港へ着陸態勢に入ったジャンボ機を眺めつつ商店街を歩くこと10分程の所に喜多整形外科はある。
玄関ドアを入ると、まず水槽が目に飛び込んでくる。よく手入れされており熱帯魚がゆっくりと泳いでいる。診察待ちの患者さんを飽きさせない配慮だ。クリニックの造りはT字型をしていて、待合室を抜けると左右に診察室と処置室を振り分けている。リハビリテーション室は2階にあり、広く、開放的な印象を受ける。

 喜多章介院長は川崎医科大学を昭和59年に卒業後、京都府立医科大学整形外科学教室に入局。松下記念病院等で勤務したのち、平成7年4月に開業した。1年前から準備をしていたが、開業を決めたきっかけは、近所に同じ標榜科目を掲げるクリニックの開業情報を得、「先を越されては」と考え踏み切ったという。当初こそ1日あたり30名の患者数だったが、月を追うごとに1日平均10名ずつ増加し、その年の12月には100名を越えた。
「もともと父のアパートだったのを改築して始めたのですが、隣の土地が手に入ったので平成10年10月に増改築を行いました」。結果、患者数も1日200名に倍増したとのこと。 増患対策をうかがうと、「話をよく聞くことは当然ですが、満足のいく説明をする・・・当たり前のことを実行できるか、できないかが大切。当然、独自の工夫は必要ですよ。How toものは通用しません」と、独自のノウハウを持っていればスタイルを崩す必要はないと語る。
勤務医当時、患者を最後まで診ることができないことにジレンマを感じていたという喜多院長。「痛みを抱えていながら病院に来られない患者さんを診てあげたい」という思いとリハビリの重要性を認識し、またPTをスタッフに迎えていたこともあり、訪問リハビリテーションを行うことに迷いはなかった。現在、それが大きな柱になっているという。その延長線上で、地域と密着した医療を行うため「一休さん」の名称で居宅介護支援・サービス事業も運営している。
「いずれ保険診療は医療と介護が五分五分になる気がします。その時を迎えるにあたっての準備を今から少しずつしています。急な対応では遅すぎるし、リスクが大きすぎます。医療にだけ頼っていては・・・いろいろ考えると夜も眠れません」と今後の医療に対して強い危機感を抱いている。

    


診察時間は8時半までと遅く、週1~2回は帰宅途中に数軒の往診にまわるといった毎日を送り、日曜は家族サービスにあてている。経営者としての立場もあり、旅先でも書類作りに追われ気が抜けない。「今は一番時間がほしいところですよ。せめて1日でも体が空けば在宅への時間にあてられる」とさらに介護に注力したい考えだ。多忙な毎日だが、そんな時に勤務医時代に開業に備えてアイデアを書きとめたノートが役立っているという。 最後に一言、開業医になると転機が必ずあるという。「その時どうするのか、普段からの備えと行動力が大切です」と締めくくった。

医療法人 啓明会 喜多整形外科
住所 〒561-0834
大阪府豊中市庄内栄町1丁目8番3号
標榜科目 整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科
医療設備 透視レントゲン、超音波断層装置等
延べ床面積 1F:30坪 2F:30坪
物件形態 一戸建て
スタッフ数 看護師常勤・パート:各1名、看護助手:4名、PT:6名、レントゲン技師1名、事務:6名
開業資金 自己資金4,700万円


2000.12.1掲載 (C)LinkStaff


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