クリニックの窓教えて、開業医のホント

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- 江口クリニック -
大阪府羽曳野市
 
近鉄南大阪線で20分。古市駅から徒歩にして30秒足らずで目指す江口クリニックに着いた。旧国道170号線沿い、白鳥交差点の角地に建つビル診である。車の往来は多く、その流れは止まることを知らない。ドライバーを始め、歩行者も江口クリニックを常に目にすることになる。患者となって診察を受けに、自然とクリニックへと足が向けられるのではないだろうか。
道路に面したドアのすぐ横に受付カウンターがあり、縦長のクリニック内に診察室、処置室、リハビリテーション室を配している。内装も整然としており、外の喧騒を忘れさせる。午前の診療を終え、静けさを取り戻した同クリニックで、江口隆彦院長にお話をうかがった。
開業は平成12年4月とまだ日が浅い。お訪ねしたのが11月下旬であるから7ヵ月 経っている。まず1日の患者数の推移からうかがうと「開業した月は平均40人ぐらい。現在は120人ですね」との返事。開業前に思い描いていた通りだという。

 江口院長は昭和59年に奈良県立医科大学を卒業後、同大学附属病院第二外科に入局。その後、大阪警察病院、町立大淀病院を経て国立大阪南病院で7年間勤務し、主に頸椎・腰椎、ペインクリニック、脳血管障害の診療にあたった。勤務医から開業医へと志した思いについて江口院長は「組織にいて偉くなると、毎日会議ばかりで一線で診療というわけにいかなくなります」と臨床を中心にしたいという考えからの開業とのこと。勤務医時代と比べても「やっていることは、あまり変わりがないし、変えていません」と屈託なく語る。「経営理念といえるようなものはないが、患者さんの痛みを早急に取ることを常に心がけています。これは神経痛やストレスも含めてですね」。江口院長はそのスタンスをペインクリニック主体と考えている。愁訴をいかに早く取り去るかを念頭に置き、診療する。「理念はない」と言うが、これも立派な理念ではないだろうか。
勤務医時代とは違い、検査一つとっても状況は違う。だが「ただの検査官になるつもりはない」との考えから、MRIは導入していない。もちろんスペース、コスト面からも考慮しての判断で、病診連携が機能していることもあり、臨床に専念する方針だ。

    


現在、1日120人の患者数。今後の増患対策について「とってつけたような増患対策は基本的にしていませんし、奇をてらったこともしていない」と、自身の診療スタイルを変えないことが逆に患者数の増加につながるものと考えている。駅前、幹線道路沿い、角地という立地の良さもあり、案内看板も設置していない。また2階に内科のクリニックがあることも相乗効果を見込むことができるだろう。
ほとんどの患者は口コミによるものだという。待合室の壁には江口院長の携帯電話番号が記してある。急なことへの配慮だが、大抵は会話で事足りる。患者へ安心感を提供するという意味で効果的だ。勤務医時代からの患者の通院も多い。「北は吹田市、南は岡山市。堺や奈良からも来ていただいています」。今後、在宅を行う可能性について、余裕があればチャレンジしてみたいとのこと。
開業してからの苦労としては、やはりすべて自分で行わねばならないことに尽きる。労務関係を始め、薬の選定、医療機器の価格交渉などを一人でこなさねばならず、どうしても時間を奪う。経理を担う奥さんとしばらくは二人三脚が続く。最後に、開業してから不便になったことは? との質問をしてみると「勤務医の頃は、飲みに行く機会があったが、今はちょっと」と笑って答えてくれた。

江口クリニック
住所 〒583-0853
大阪府羽曳野市栄町4-10
標榜科目 脳神経外科・整形外科・神経内科
医療設備 X線、超音波診断装置等
延べ床面積 130㎡
物件形態 ビル診
スタッフ数 常勤医:3名、看護師パート:6名
開業資金 4,000万円

 

2001.2.1掲載 (C)LinkStaff


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