今回の診療報酬改定は、特に整形外科の診療報酬への影響が大きいとされている。 医院経営は厳しい状況に立たされたといっていいかもしれません。
単刀直入にその点を質問すると、影嶋和幸院長は、
「確かに、整形外科だけでは厳しいでしょう。医療機関の中には、倒産する場合もあるでしょう。けれど、“患者さんに、良くなっ
てもらいたい”という考えを柱に、特色やプラスアルファの技術をを持っているならば、むしろチャンスになるかもしれません」 と、穏やかな自信を持って語り始めた。
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かげしま整形外科は、横浜駅東口より、平沼橋方向に進み、新横浜通りに面した店舗住居共用ビルの2階にあるクリニックモールにある。15人ほどがゆったりと座ることのできる待合室からは、ガラス越しに漢方の生薬棚が見え、受付カウンターでは星状神経節ブロ
ック療法のパンフレットが目を引く。 |
東京慈恵医科大学在学中に、ペインクリニックに興味を持ち、
「ペインクリニックといえば、第一人者である若杉文吉教授(現・武蔵野病院名誉病院長)のもとで学びたいと思っていました。そして約15年前から若杉教授の下で、一日約40人前後の患者さんに対し、
星状神経節ブロック療法の治療を続けました。 高度な技術を学べ、非常に勉強になり、また痛みや不定愁訴で困っている患者さんの多さに驚き、また、是非この技術を治療に生かしたいと、強く思いました」。
「当時、若杉教授は、星状神経節ブロック療法の適用を広げようと、非常に力強く努力なさっていらっしゃいました。 ペインクリニックといえば、《痛みの治療》だけと思われがちですが、この治療法には体質改善を促す効果もあり、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚
炎、また自律神経失調症にも効果がある、ということを教授の横で実感しました。 教授は 日頃より、 『同じ効果の薬ができたら、ノーベル賞ものだよ』
とおっしゃる通り、万病に効く治療法だと思います。
そして、この体質改善(予防医学)という考えから、漢方の勉強 への、遠因となっていくのです」。 |
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そして、痛みの根本を治療していくことを考え、整形外科を学び、さらに開業を意識し
始めた三十代、あるクリニックの院長として勤めたときのこと、
「そのクリニックの前任の院長が漢方薬を使っていました。漢方薬は安心して、長く飲んでも副作用が少なく、結果 として全体的に患者さんが飲む薬の量を減らすことにつながっていきます。漢方薬に興味のある患者さんは多いですし、薬の量を減らしたいと考えている患者さんもたくさんいらっしゃいます。ですから、漢方薬の良さを知った患者さんは、定着していきます。
しかし、どんなにしっかりとした治療計画を立てても、途中で患者さん自身がやめてしまっては意味がありません」。
また、漢方は奥が深いので、日本東洋医学会の重鎮である寺師睦宗先生(日本東洋医学会 元会長・銀座玄和堂診療所院長)のもとに通い、東洋医学を臨床から学び始めた。
「臨床は、体全体を診るので、総合的な勉強になります。ここで学べたことは、本当に大きく、今の土台になっています。
常に、前向きに整形外科を中心に、星状神経節ブロック療法、漢方薬、はり治療など、“患者さんに、良くなっていただくこと”を、まず念頭に、
多方面からの治療に取り組んでいます」。 |
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現在の場所での開業は、横浜駅に近いという地の利で決断した。
「ここなら、交通の便も良く、患者さんも通院しやすい。自分の考えている診療を実践できるのではないか、と思えたのです」。
開業は、昨年の4月16日。初日は39人が来院した。しばらくは右肩上がりに患者数も 伸びたが、半年ほど経ち、一日平均100人を超えたあたりで伸び悩み傾向になった。
「患者さんは正直ですから、良くなっているという実感がないと、来院しなくなりますし、 痛みがなくなると、行く必要がないと考える。しかし、一番の苦労はスタッフ同士のトラ
ブルが仕事に影響することです」。
来院者数の伸びは緩やかだが、はり治療や漢方、星状神経節ブロック療法など、かげしま整形外科のプラスアルファを求めて、訪れる患者さんは増加・定着する傾向にある。診察室のカレンダーには、はり治療の予約がびっしりと書き込まれている。
「口コミと、ホームページの力が大きいですね。本当に具合が悪く、困っている人は、新しい治療法や医療機関に関する情報を、必死で探しています。インターネットの影響力は、
これからもっと大きくなると思います」。 |
現在では、高い技術を持った者を中心に、新しい技術を学ぶ熱意がある者、また患者さ
んとコミュニケーションをしっかり取ることができるスタッフが揃った。
治療効果の高い機械を揃えるとともに、マッサージなどで患者さんが喜び、良くなっていく姿を見るのがうれしいという性格は、影嶋院長の持ち味だろう。
さらに、スタッフが腕を磨くためにミーティングを、自分自身のレベルを上げるためには、学会での発表をと、 学び続ける姿勢を崩さない。寺師先生に勧められ、執り始めた漢方の臨床ノートは、さら
に厚く詳細にと、貴重な財産となり診療の糧となっている。
「慈恵会医科大学の創立者、高木兼寛先生は、こうおっしゃっています。『病気を診ずして、 病人を診よ』と。患者さんの立場に立った医療を目指していきたい。敷居は低く、懐は深
くしてやっていきたいですね」
と、診療に対する前向きな姿勢が感じ取れた。 |
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かげしま整形外科 |
住所 |
〒220-0023
神奈川県横浜市西区平沼1-2-20 甘糟ビル2F |
標榜科目 |
整形外科、リハビリテーション科、ペインクリニック科、漢方、はり治療 |
医療設備 |
レントゲン、心電図、牽引器、キセノン波、アクアラックス |
延べ床面積 |
70坪 |
物件形態 |
ビル診 |
スタッフ数 |
常勤医師: |
1名 |
看護師
(非常勤): |
2名 |
受付事務: |
常勤2名、非常勤1名 |
マ ッサージ師: |
常勤3名、非常勤2名 |
リハビリ助手: |
常勤1名 |
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※のべ12名 |
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開業資金 |
6,000万円 |
ホームページアドレス |
http://www.kageshima-clinic.com/index.htm |
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