クリニックの窓教えて、開業医のホント

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― 医療法人 ゆうの森 たんぽぽクリニック ―
理事長・院長 永井康徳
愛媛県松山市
 
 
医院長 永井理事長は、平成12年10月に在宅医療専門のたんぽぽクリニックを開業。現在医療法人化し、訪問看護ステーションコスモス、在宅介護支援事業所コスモスを開業。在宅医療界のさきがけとして現在も奮闘中。在宅専門で開業したきっかけは何だったのか。
「自分しかできないことはないのか』というのが出発点でした。」

と語る永井理事長。在宅専門で開業というのはかなり不安があったと推測される。
「確かに不安はありました。まったくの患者ゼロからのスタートでしたから。しかし現在、在宅医療は比較的軽度の患者様しか見られていないのがほとんどで、本当の意味で在宅医療の必要な重度の患者様は見られていない状態でした。そういった意味で『すみわけ』をすれば需要はあると確信していましたね。」

実は、永井理事長は愛媛県明浜町国保俵津診療所に勤務の経験があり、へき地診療所での体験が在宅医療の必要性を実感させ、根本はここでできたと言う。
 
外観 また、たんぽぽクリニックでは重度の患者、ターミナルケア患者が非常に多い。さらに24時間対応の在宅医療をしなければ重度の患者はみられない。
「24時間対応というのは開業当時は大変でした。私しか医師はいなかったですから。しかし患者様は悪いときこそ、普段から見てもらっている医師に見てもらいたいという意識は強くなるものです。また、私の考える在宅医療は、患者様とその御家族のわがままに応えることだと思っています。つまり、様々な地域の社会資源と連携して、患者様とその御家族が住み慣れた自宅で、より満足できる療養生活が送れるようにすることです。今は医師6名でやっていますので、ようやく釣りにもいけるようになりました(笑)」
 

従業員医療をサービスという位置付けを明確に実行している。
たんぽぽクリニックの診療方針

・ 疾患に罹患した患者様の生活背景を理解するように心がける。
(生活の中の医療)
・ 疾患ではなく一人の人間、生活、地域、人生をみる。
・ かかりつけ医として調整役、連携役を担う。
・ 地域の中のサービスとのネットワークを重視する。
・ 生きがいを重視。
・ 患者様のための医療を重視。(あくまで患者様が主人公)
・ 患者様が自分なりに生きるのを支援するのが在宅医療
(医療とは与えるものでなく支援するもの)
・ 地域に必要とされる医療を行う。

 
内観さらに実際に初診を行う前に木原事務長や事務の方が直接患者の自宅に出向き、どういったサービスを受けられ、どれくらいの費用がかかるのか、といったことを事前に説明し、納得していただいた上で診察を開始しているという。
「医療をサービスと位置づけたときに患者様が求めるものを提供していくことがサービスだと思うんです。たんぽぽクリニックでは事前に私たちのできるサービスを患者様に伝えることによって患者様が私たちを選ぶ、選ばないの選択をできるようにしています。また、初診1ヵ月後に補足説明や要望、あるいは実際に訪問診療を受けての感想を伺いにをいっています。そこへは医師ではなく事務方が行くんです。そうすると患者様も御家族の方も『こうしてほしい』『ああしてほしい』と本心をいっていただけます。さらにアンケートは半年に1回はしています。これからを診療にフィードバックしていく。これが顧客満足につながっていくと思っています。」
 

事務長事実、患者数は右肩上がりで今も増えている。
「開業当時はここまで反響があるとは思いませんでした。現在、定期で150人余の患者様がいます。松山市内には重度の患者様が300名ほどいると思われますので、まだ需要はあります。在宅医療を必要とされている方はまだまだいます。」

最後に、在宅医療に興味のある医師に向けて、たんぽぽクリニックは地域に関係なく医師の在宅医療開業の全面支援もしている。
「全国的に在宅医療をしている病院や在宅医療専門のクリニックは増えてきていますが、まだまだ足りる状況ではなく、また重度の患者様をみるところが足りない状況です。様々な地域で『こちらでも開業してくれ』とよく言われます。『ゆうの森』でもいいし、独立してもいいんです。2,3年たんぽぽクリニックで経験を積んでいただければどこの地域でも開業していただいて結構です。必要なノウハウも提供しますし、全面バックアップもします。」

(詳しくはe-doctorトップページ『医師募集』の『常勤医師』で参照)

 


2003.3.20掲載 (C)LinkStaff


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