患者さんの自己決定権を重視した開業を目指して
向井整形外科 |
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院長 向井 宏先生 |
「地域医療に力を入れたかったのです。大きい病院では、患者さんと長い時間話すことがなかなかできません。特に、軽症の患者さんとはほとんどお話する機会がないです。開業して、患者さんとゆっくりコミュニケーションを取りたいという思いはありました」
今月紹介するクリニックは、昨年7月、神戸市西区にオープンした向井整形外科。同区は阪神大震災の後は仮設住宅が並んでいた地域であるが、最近は再開発されてマンションや団地が建ち並び、人口がさらに増加しつつある地域だ。『心身ともに「やすらぐ」ことの出来る医院』をめざす、院長の向井宏先生をインタビューした。 |
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■開業前後 |
院長の向井先生は1988年に神戸大学を卒業後、同大整形外科医局に入局した。その後、大学病院を始め、兵庫県立西宮病院や兵庫県リハビリセンター、姫路聖マリア病院などで経験を積んだ。遠いところでは、東広島市の西条中央病院で勤務したこともある。1995年から国立神戸病院(現独立行政法人神戸医療センター)に勤務、リハビリテーション科の医長として重責を果たしている。
ある日、医局で文献を読んでいたところ、MRIで開業支援担当のコンサルタントが訪ねてきて、開業を勧められた。勤務医となってから開業などは考えたことはなく、なかなか決心がつかなかったという。しかし、結局開業を選んだのは、「勤務医とは違った形態の新しいことをしたい」というチャレンジ精神によるものだった。
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医院が入っているビル。
1階はコンビニが入っており、人の往来が多い。 |
>開業担当者の視点
先生は自宅から通いやすい場所での開業を希望していたため、物件探しはそれにあわせて行った。
現在開業している神戸市西区の物件を紹介したのが、開業のちょうど1年前。本物件は自宅から車で30分足らずとアクセスは良く、先生の希望条件を難なくクリアしていた。また、新築4階建てビルの2階であるが、1階にはコンビニエンスストアと喫茶店、3階以上はワンルームマンションとなっている。さらに、ビルの近くには神戸学院大学があり、学生向けのワンルームマンション、ニューファミリー向けのマンションが林立しているという、集患が見込める環境にあった。
先生ばかりでなく患者にとっても都合の良い立地だ。医院のほぼ前にあるバス停には、JR明石駅や神戸市営地下鉄西神・山手線伊川谷駅、学園都市駅からのバスがとまる。また、クリニックレベルで整形外科の診療を受けるためには、須磨区まで行かなくてはならなかった。そのため、同区内での整形外科医院の開業が待たれていたのである。
本件の担当者は、「ご自宅から通いやすくて競合医院のない土地を探していたところ、非常にタイミング良く新築物件が出ました。なお、物件決定後は、商圏が広い地域なのでご挨拶廻りを丁寧に行いました」と、コメントしている。 |
広々と作られている待合室(上)と
受付カウンター(下)。 |
設計もMRI
が選定した業者が行っている。先生の希望にそってカルテの流れや動線に配慮しており、ゆったりとして贅沢な空間の使い方をしながらも、動きに無駄がないように設計した。
通路からリハビリの様子が見えるのが斬新だが、「このアイディアは器械の業者さんから伺ったんですよ。結果として、開放感があるだけでなく、患者さんへ目が行き届くというメリットがありますね」と、先生は満足そうだ。
待合室のトイレも広く、車椅子の患者さんに配慮した設計となっている。トイレと待合室とのパーテーションが深い青色だが、このほか待合室や診察室の椅子などにも青色が効果的に配されている。「清潔感もあり、なおかつ落ち着いた色目にしたかったので、青を選びました」
また、MRIの経営支援サービスも利用してスタッフ募集行ったところ、すぐに定員を超える応募があった。
「看護師1人、リハビリスタッフ2人、受付2人を募集しましたが、選ぶのに苦労しました。経験の有無に加えて人当たりを重要視しましたが、難しいものですね。でも、1人が都合で離れただけで、あとのスタッフはみな開業当時のスタッフですよ」
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こうして2003年7月、向井整形外科は無事にオープンした。道路脇の立て看板や電柱広告などで、その開院を地域住民に知らせた。
開業以来の平均外来患者数は、最初の1ヶ月で20人、3ヵ月後に40人、現在は60人弱と順調に推移している。現在行っている増患対策として、バスのアナウンスがある。また、ホームページも準備中だ。
開業して約1年が過ぎたが、先生は開業を振り返って言う。
「手術や当直がないので、体力的には楽になりました。午後の休みもありますし。ただ、開業してからは経営面などにも気を遣うようになったので、全てがラクになったという実感はないですね」 |
先生と開院当時よりも増えたスタッフ。 |
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■クリニックの内容 |
シンプルな作りの診察室。 |
地域に密着したスタイルを取るという開業当初の決意から、特に初診の患者さんにはじっくり時間をかけて接することを心掛けている。「この治療法でないといけない」という決定を避け、患者さんに全ての選択肢を示した上で、「どうしますか?」と投げかけるスタイル。
「やはり勤務医時代にできなかった患者さんの話をゆっくり聞くということが出来ますし、また、皆さんの話をよく聞こうとする努力もしなくてはいけないと思っています。満足してもらえる説明をしていきたいですね」
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患者の層としては、地域柄か、部活動で骨折や捻挫をした学生が目立つ。年配の患者は、腰痛や肩痛などの慢性疾患が中心のようだ。
また、調剤薬局が近所になかったために院内処方を行っている。薬品を保管するスペースの確保や管理が大変だが、患者さんからは「薬局に行く手間が省けていい」と好評だ。
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リハビリ室。通路から患者がリハビリに
励んでいる様子を見ることができる。 |
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■開業に向けてのアドバイス |
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「開業すると自分の専門以外に様々な疾患を対象としなければなりません。また、『地域医療』の色合いが強くなります。まずは、医療に限らず他のことにおいても地域の方の役に立てるよう努力することが大切だと思います。もちろん、周囲の医療機関との関係も大切です。現在、神戸医療センターや西神医療センターと病診連携をとっています」
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先生タイムスケジュール |
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クリニック平面図 |
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クリニック入り口。 |
向井整形外科 |
院長 |
向井 宏 |
住所 |
神戸市西区大津和3-6-4
イマユービル2階(セブンイレブン2階) |
医療設備 |
レントゲン、各種リハビリ器械、ウォーターベッド |
標榜科目 |
整形外科 |
延べ床面積 |
61坪 |
スタッフ数 |
10名 |
開業資金 |
7,000万円 |
HP |
準備中 |
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(終わり) |
2004.7.1掲載 (C)LinkStaff |