そんな折、キョウデングループを率いる実業家・橋本浩氏と出会い、開業の目処がたつ。平成12年、医療のIT化を推進するベンチャー企業のイーホープの設立と同時にクリニックの開業準備を始め、平成14年にはこれまでメディカル・ブレインで培ってきたノウハウを活用して、開業医向け電子カルテシステム「あんしんチャート」を発売した。そのシステムを導入したモデルクリニックが「練馬桜台クリニック」だ。
「自分の満足する医療を行うクリニックを開くには、莫大な開業資金が必要だと悩んでいたとき、厚生省からカルテの電子保存の通達がでて、『これだ!』と思いました。私は全国約15万件の医療機関データベースを構築し、『あんしんドクター情報』というNHK情報ネットワークと提携したインターネットによる医療機関検索サービス事業を始めたところでした。そこで電子カルテの事業計画を立案して、あちこちに相談に行きましたが、なかなか相手にしてもらえなくて・・・。そんなとき橋本会長にプレゼンテーションをするチャンスがあり、幸運にも将来性を認められて、すぐさま開業準備に入るように言われました」
開業資金の目処がたった永野氏は東京都内で透析施設の少ない練馬区の土地を探し始めた。しかし有床クリニックということで、一定の施設基準を満たす土地を探すとなると、マンション建設業者と競合して大変だった。土地の買収価格競争で、販売利益がすぐにでるマンション業者に勝てなかったからだ。そこで永野氏は視点を変え、日影規制(※)の関係で大きなマンションが建てにくい、大きな道路の北側に面した土地を探したところ、条件に合った更地が見つかり、平成13年8月に取得。翌14年正月に起工式を行い、約10ヶ月で完成する。 |