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完全自由診療の美容外科で開業

吉田美容形成クリニック



院長 吉田 太 氏

大阪府堺市に2004年11月に開業したばかりの吉田美容形成クリニックの吉田太院長をお訪ねした。吉田院長は佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)を卒業後、昭和大学形成外科・美容外科学教室に入局し、以後その関連病院で研鑽を積まれた。1990年には日本形成外科学会の専門医を取得されている。1992年に出身地である大阪府堺市に戻られ、清恵会病院で形成外科部長として重責を担われた。その後、開業に至る経緯などをお伺いした。



 ■開業前後

 国立大学の独立行政法人化に伴い、佐賀医科大学は佐賀大学医学部として新たなスタートを切ったが、吉田院長はその旧佐賀医科大学の一期生であったという。
「父は堺市で不動産などの事業をしていまして、現在は兄が後を継いでいます。私は次男でしたので、父から手に職をつけるように言われていました。それで医師を志したわけですが、佐賀医大を選んだのは親元を離れてみたかったのとレベルが見合っていたということぐらいしか思いつきませんね(笑)。一期生で先輩方もいないので、クラブなどは全部私たちで作りました。卓球部、柔道部のあとテニス部に移り、楽しい学生生活でしたよ」
大学5年生のときに解剖実習の選択科目で「手の外科」に出会う。吉田院長はそこで必要とされる「細かい手術」に強い興味を持ち、専攻を形成外科に決める。大学卒業後は佐賀医大の先生から紹介された昭和大学形成外科・美容外科入局する。同時に佐賀医大の耳鼻科で外科系研修を始めた。そこでは扁桃炎や副鼻腔炎の手術などを担当していたという。
3年後に昭和大学でいよいよ形成外科・美容外科の勉強を始めた。山形県庄内市、福岡県北九州市、久留米市の関連病院に勤務後、昭和大学に戻り、専門医を取得する。そして千葉県習志野市の習志野第一病院で医長研修を2年間行った。



クリニック外観

  1992年にやはり関連病院の一つであった大阪府堺市の清恵会病院へ形成外科部長として移る。1人の部下とともに2人体制で治療にあたっていた。ところが大学の医局人事の関係で1人減員となってしまい、吉田院長にかかる負担は増大した。
「忙しいのはもちろんでしたが、急患をとることができなくなったので患者さんのバリエーションが少なくなり、仕事の面白みがなくなっていきました。それで開業へと心が傾いていきました」
開業することを睨み、2003年春からは清恵会病院の勤務と並行して、週に1回ほど和歌山市内にある大手美容外科クリニックに勤務することになった。大学病院で美容外科についても十分に勉強していたが、さらにレーザー治療、光治療などを中心に実地で学びながら、開業に備えた。
技術的な準備を進める一方で、もともと「e-doctor」の存在を知っていたことからリンクスタッフの開業支援コンサルタントにコンタクトを取った。
「まずは、アルバイト先の和歌山市のクリニックを継承すべきか、新規に開業すべきかということをコンサルタントに尋ねてみたのです。そうしましたら継承では自分のやりたい医療が十分にできないと指摘され、地元堺での新規開業を勧められたので物件を探していくことにしました」



待合室

 吉田院長は開業希望地として堺市の三国ヶ丘駅前か中百舌鳥(なかもず)の駅前の2つに絞った。三国ヶ丘は12年勤務した清恵会病院の所在地であり、JR阪和線、南海高野線が止まる駅であるが、駅前には手ごろな物件は見当たらなかった。一方、中百舌鳥は南海高野線、泉北高速鉄道、大阪市営地下鉄御堂筋線の3ウェイアクセスがあるだけでなく、マンションの建設ラッシュとなっていた。折りしも駅前に「駅前クリニックセンター」がオープンし、5軒のクリニックが入居していた。その隣にもビルが新築され、4階以上はワンルームマンションであるが、3階にはクリニックの入居が期待されていた。吉田院長は迷わずそのビルへの入居を決意する。
「基本的な設計図は頭の中にできていました。廊下は意外に面積をとってしまうので、なるべく作らないようにするなど無駄なスペースを省いたのが拘りでしょうか。患者さんが入りやすいように、スタッフの出入り口は別に設けました」
新聞の折込広告や、堺東駅、三国ヶ丘駅、中百舌鳥駅へ看板を出して開業を告知し、ホームページも開設したが、吉田院長は「少し遅かったかな」と悔やむ。しかし実質3ヶ月の準備で開業に漕ぎ着けた。

>開業担当者の視点

吉田院長からリンクスタッフへ開業の相談があったのが、2004年4月末だ。前述のとおり吉田院長は当時勤務していた大手美容外科を継承するか、または自分で美容外科を開業するかを迷っていたのだが、結果的には7月末に開業を決断する。吉田院長は一度決断すると、前向きかつ楽観的にご自身の考えを実現していった。

開業担当者曰く、「開業という大変な事業を成功裏に立ち上げ、またその後軌道に乗せていけるかどうかはその先生の人間的な魅力にかかっている部分が大きいのですが、吉田院長はそんな人間的魅力ある先生です。開業準備をしている当時、開業場所としてなかもず駅前のクリニックビルに賃貸申込をしようとしたことがあったのですが、そのクリニックビルの入居者に、美容外科の先生はこのビルのにふさわしくないとのことで反対されました。仕方なく吉田院長にその話をすると、笑顔で即座に『それでは隣のビルに申し込みましょう』との返事。落胆している暇はないのですと言わんばかりでした。逆に元気付けられたのを覚えています。そんな活力ある吉田院長なら、必ず今後の事業は成功すると、そのとき確信しました」



 ■内容

 クリニックに入ると、ベージュを基調としながらもグリーンが効果的に配されたデザインの待合室があり、癒しの空間を演出している。大阪で歯科医院を何軒も手掛けた東京のデザイナーによるものだという。
開業して4ヶ月余りではあるが、来院患者数は徐々に増えてきている。吉田院長も「最初にしてはこんなものかなと思っています」とあくまで楽観的である。
現在の主な施術はしみ治療、ニキビ治療である。さらにカーボメッドを希望する患者さんも多い。これは炭酸ガス脂肪分解法で、皮下に炭酸ガスを注入してセルライトを砕き、脂肪を分解する方法である。全身麻酔が不必要であるのが特徴で、一般的な脂肪吸引法に比べると施術後のダウンタイムがかなり少ないとされている。
「検索エンジンを使って『カーボメッド 大阪』で検索すると当院が上位にくるので、インターネットを情報源に来院する患者さんが多いですね。もちろん検索対策としてSEM(検索エンジンマーケティング)を利用しています」
このように美容外科の施術を受けようとする患者さんはインターネットを貴重な情報源として認識している。患者さんの豊富な知識に吉田院長も驚くことが多いと話す。



レーザールーム
Gentle LASE )


スキンケアルーム
 「脂肪吸引での医療事故のことなど、よく調べていらっしゃいますね。しかし自由診療ではそれなりの料金を頂戴しているわけですから、きちんとした結果を出さなくてはいけないと思っています」
このほか専任のエステティシャンによるメディカルエステも好評である。従来のケミカルピーリングに加えて、シルクピール、イオンソニック、レーザーフェイシャルを導入している。また、脂肪吸引術のほかに二重まぶた整形(埋没法)、隆鼻術(プロテーゼ)、APTOS、豊胸術を行えるような手術室を完備している。手術の際には麻酔科専門医の助力を仰いで、厚い医療体制を取る予定である。さらに入院が必要な患者さんには堺市の馬場記念病院を紹介し、病診連携の手はずを整える。
吉田院長に開業後の苦労談をお聞きした。
「やはり人を使うこと、でしょうか。機械は思い通りに動いてくれますが、人になるとそういうわけにはいきません。スタッフとのコミュニケーションは今後も大事にしていきたいと思っています」

 増患対策については、リンクスタッフの経営支援サービスを受けながら次々と広告を展開しているところである。駅の看板だけでなくフリーペーパーにも積極的に出稿する。今年春からはタウンページにも広告を掲載する予定である。
「美容外科の広告ではよく患者さんの写真を目にします。私としてはプライバシー尊重の観点から絶対に患者さんの写真を使わず、イラストなどを使用することにしています。いくら患者さんが了解済みであっても抵抗がありますね。またモニターでの施術も行っておりません」
吉田院長の開業にあたっての理念は「患者さん第一、患者さん本位の治療を」ということであり、決して無理な治療を勧めないという。そのためにカウンセリングを重要視し、「できること」「できないこと」をはっきりさせたうえで、施術の内容説明、起こりうる合併症や副作用、治療費の明示を心掛けている。
今後はレーザー機器を増やして、たるみ取りなどに力を入れていきたいという。
最後に、余暇の過ごし方をお尋ねした。
「趣味は色々ありますよ。大学のときからのテニスをはじめ、海釣り、それからパチンコですね(笑)」



 ■開業に向けてのアドバイス

 私どもではホームページの開設が遅れて、開院と同時になってしまいました。できれば早めにページを作って、反応を見ていったほうがいいですね。予算の割り振りを考えやすくするためにも最低半年前から計画を立てて準備にあたると余裕が持てます。患者さんは最初からたくさんいらっしゃるわけではないので、早め早めの増患対策が必要です。



レーザールーム
(Vビーム)




先生タイムスケジュール


クリニック平面図


吉田美容整形クリニック
院長 院長 吉田 太 氏
住所 〒591-8023
大阪府堺市中百舌鳥町2-40-1VAなかもずビル3F
医療設備 レーザー(Gentle LASE、Vビーム)、カーボメット、
シルクピール、吸引器、ロボスキンライザー、電子カルテ
延べ床面積 47坪
物件形態 ビル診
スタッフ数 院長、看護師3人、エステティシャン1人、受付2人
開業資金 1億円
HP http://www.y-biyo.com



開業支援・経営支援に関するお問い合わせはこちら
TEL:03-3401-8907(リンク医療総合研究所まで) 
FAX:03-3401-8884
e-mail:ke@linkstaff.co.jp
URL:http://www.linksouken.jp/




(終わり)
2005.4.1掲載 (C)LinkStaff

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