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レーシックのメジャー化

医療法人社団 稜歩会 神戸クリニック
 



吉田圭介 理事長

 医療法人社団 稜歩会は、神戸クリニック三宮、神戸クリニック小倉、神戸クリニック広尾などレーシック専門の視力矯正クリニックを経営している。
レーシックとはエキシマレーザーを使用し、角膜の中央部を削り、そのカーブを変形に伴って屈折率を変化させ、視力を回復させる方法である。術中、術後の痛みもなく、入院も不要で、早い視力回復が可能である。アメリカでは年間130万件以上の屈折矯正手術が行われ、日本でも2000年に当時の厚生省がエキシマレーザーによる矯正手術を認可し、その安全性が確認されている。しかしながら日本では年間4万件ほどと、その件数には彼我の差はいまだ大きい。
また、稜歩会ではレーシック認定医研修プログラムを完備し、その「認定医証」はクリニックの指針の柱である「完璧な技術」の提供への礎ともなっている。
今回は稜歩会を率いる吉田圭介理事長にインタビュー形式でお話を伺った。

 吉田圭介理事長 プロフィール
1966年 大阪府東大阪市出身。1991年に金沢医科大学卒業後、兵庫医科大学に入局する。1992年に神戸市で吉田眼科を開設する。2003年には神戸クリニック三宮を開業し、医療法人社団稜歩会を設立する。その後、小倉クリニック(2004年にレーシック設備を導入したのを機に神戸クリニック小倉に改称)、なんばクリニック(2005年に神戸クリニックなんばに改称)、神戸クリニック広尾、神戸クリニック梅田を開院する。

 
 ■卒後2年目で開業

―まず、医師を目指したきっかけをお話しください。

 小学生のときにスーパーカーブームがありました。そのときに親に「どうしたらスーパーカーに乗れるのか?」と聞きましたら「医者になったら乗れる」と言われたことがきっかけでしょうか(笑)。いまだにスーパーカーには乗っておらず、28万円で買った国産の中古車に乗っています。今だったらフェラーリにも乗れるとは思うんですが、そうなったらスタッフが働かなくなってしまいます。「先生、そんな車に乗って・・私達が買ってあげます」とスタッフから言ってもらえるような強固な組織を作りたいものです。

―最初は内科を専攻されたそうですが、この理由は何故ですか。

 せっかく医者になったのだから医者らしいことをしてみたかったんですね。大学は金沢でしたが、寒いところは嫌でしたし(笑)、自宅から通える兵庫医科大学の循環器内科医局に入局しました。一般的な内科の疾患は治療期間が長くなりますが、心筋梗塞など勝負が早くつく疾患が多いことに惹かれ、循環器を選びました。

―その後、眼科へ専攻を変更されたのは、どうしてですか。

 父は眼鏡やコンタクトレンズの販売会社をしていまして、父からの勧めがありました。大学病院の勤務は過酷で、収入も低く、親からの援助を受けなければ生活が成り立っていきませんでした。そこで眼科に入局し直し、卒後2年目で吉田眼科を開業しました。開業地を神戸にしたのは、当時コンタクトの安売りの店が東京や大阪の梅田にはあったのですが、神戸にはなかったからです。 開業にあたっては大阪で開業していた姉のクリニックで研修をしました。開業の申請がなかなか通らず、それに半年を要しました。この申請が当時一番苦労したことですね。

―開業当初は患者数も少なかったそうですね。

 1日10人もいらっしゃいませんでしたね。商売をしていくことにも興味がなかったので、11時から夜の7時までクリニックにいて、その後はパチンコに行ったり、飲みに出掛けたりで、その日1日が過ぎればいいやという日々でした。週1回はもちろんのこと、正月や盆も休んでいました。

 

―どのように増患対策を行ったのですか?

 コンタクトの折込チラシを行ったことが大きいですね。当時、コンタクトは両目で5万円近くしていたのですが、その半額以下だったので、チラシで安売りを浸透させていったら、徐々に効果が表れ始めました。
ただクリニックの経営に関しては姉の手法しか知らなかったので、どうしても患者さんにとって不便なことが出始めるようになりました。そこで、より患者さんに満足してもらえるよう、自分自身でシステムを整えていきました。競合もありませんでしたから、やればやるほど面白くなり、医療よりも商売に興味が出てきました。

 ■ レーシックとの出会い

―吉田眼科も順調に成長を遂げていたときに、レーシックと出会ったわけですね。

 父の会社の一部門としてコンタクトを扱う吉田眼科を開業したわけですが、その母体である会社が大きくなりすぎたんですね。資金調達のために上場もしました。組織が大きくなると、なかなか意見も通らず、フットワークが軽くなりません。企業ですから、当然黒字のときも赤字のときもあります。上場すれば株主の存在も大きくなり、何のために会社があるのだろうと悩んでいたころに、レーシックと出会いました。
出会ったのはロサンゼルスに、たまたま遊びに行っていたときです。そこで「レーシックって知ってるか?」と友人に教えてもらいました。その友人はレーシックを受けたばかりだったんです。その話を聞いて「すごい」と思いましたね。これまでレーシックについては知ってはいましたが、コンタクトに特化したクリニックを経営することに疑問もなかったので、私とは無縁だと考えていたわけです。しかし、実際に目の当たりにして、近視が多い日本人にはふさわしい治療だと思いました。

―お父様は猛反対なさったとか。

 これまでコンタクト一筋でやってきたので、第三の視力矯正方法であるレーシックは当然認められないという意見でした。私は「やりたい」という意志を貫きたかったので、そこで勘当同然となり、自分自身で新しいクリニックを立ち上げました。  やはり大変だったのは資金調達ですね。ほとんどの銀行に断られましたが、唯一融資してくれる銀行があり、ロサンゼルスでレーシックの話を聞いてから半年でクリニックを設立することができました。

―その銀行からは、ビジネスモデルとして高い評価を得たそうですね。

 無担保でしたが、吉田眼科での6年間の実績と、その決算書の内容がよかったそうで融資につながったようです。決算書の内容にしては夢が大きいと言われましたが、新しい医療の可能性と夢を実現しようとする意欲を買ってくれました。

―レーシックの一番最初の患者さんは先生ご自身だったんでしょう。

私は開業して1年はレーシックをやらず、レーシックができるドクターに来てもらったんです。お金を出せば良い人材もすぐに集まります。そこで私は患者第一号になったんです。第一号になれば、説得力が出ますから。手術は1時間かかりましたが、視力は0.02から1.2まで回復しました。

―新規開業から3年で、分院も小倉、なんば、東京、梅田と展開し、順調に成長していますが、成功の理由はどのようなことにあると思いますか。



神戸クリニックの
ホームページ

 商売は一人ではできません。ウェブの会社を設立したり、チームを組んだりして、組織は人あってのものだという認識を強く持っています。人、もの、情報全て大事ですが、私は人に一番お金をかけてきました。  そして説明会を趣向を凝らして開催したり、ホームページを充実させたりということで、情報をしっかり伝えられるようにしました。ホームページはテレビのコマーシャルのように「話す」わけではないので、その分、見やすい設計にしています。「値段が高くても、ここに来たい」と思ってもらえるようにサイト全体に「安心感」を打ち出しています。そのうちに有名な方がレーシックを受けに来られたりして、徐々に認知されていきましたね。 レーシックというのは1回の手術で終わりです。その1回を満足させ、感動させることができれば、口コミで何人もに広がっていきます。満足の中味には受付スタッフの愛想の良さや、待ち時間の短縮、医師からの優しい言葉掛けなど様々な要素があるかと思います。手術すれば視力が回復するのは当たり前なんです。それに付加価値をつけなければ意味がありません。よりいいものを目指して、今も走りながら考え、考えながら走っている最中です。
 日本では、この市場は2000万人が対象と言われていますが、今のところ20万人しか手術を受けていません。市場としては莫大なものですが、日本人みなに浸透したら事業拡大は終わりですね。

―新しい技術としてフェイキックIOLがありますね。

 全ての患者さんに、諦めず何とかしてあげたいと思っていますので、フェイキックIOLも取り入れました。これは白内障治療で使われるレンズと同じ素材で作成された人工レンズを目の中に挿入し、近視、遠視、乱視を矯正する治療法です。強度近視の方でも大幅に視力を回復することが可能です。この患者第一号は私の妻でした。30分ほどかかりましたが、今では10分で終わりますよ。

―今年6月にはエピレーシックを導入されるそうですが、これはどういう方法ですか。

 角膜上皮をエピケラトームという新しい機器で、安全に剥離し、レーシックと同じようなフラップを形成します。このためレーシックより薄いフラップを作成できるようになりました。フラップ作成後に残る角膜も多くなるため、術後の痛みの軽減にもつながっていますし、視力回復もより早くなります。ただ、角膜の強度を補強するために保護用のコンタクトレンズを装着します。その交換や取り外しのために通院が必要です。レーシックでは角膜の厚みが不足している方や、格闘技など目に強い衝撃が加わるスポーツをされている方が主な対象になります。

―社会貢献も積極的に行っていらっしゃいますね。。

 ホリエモンが稼いだとされるお金は誰かがどこかで損したお金です。私どもでは手術のために器械を購入しますが、これにより器械メーカーがハッピーになりますし、患者さんもハッピーになります。もちろん私どももハッピーで、皆がハッピーとなるわけです。このようにして得た収入から年間1000万円を盲導犬協会に寄付しています。これでも盲導犬の育成にはまだ不十分です。もっと資金力をつけて、社会貢献につなげていきたいですね。

 ■ 今後の展望

―今後、取り入れたい治療方法はありますか。

 これまでとは全く異なる方法で老眼を治すCKという治療法を始めたいと思っています。これはFDA(米国食品医薬局)では既に認められています。目が見えないと、遊ぼうという気が起きません。これから団塊の世代が仕事から徐々にリタイアしていきますが、あの世代は、いいものにはお金を出しますし、もっと遊んで頂きたいですね。

―実現させたい夢についてお聞かせください。

 眼科の総合病院の建設です。そこでは24時間外来で、待ち時間なしにします。受付に来てから、病院を出るまで30分しかかからないのが理想ですね。診察室も10診まであって、そのうちのいくつかを「おじいちゃん、おばあちゃん外来」と称し、ひたすら話を聞くだけにします。もちろん手術や入院などの設備も完備し、病院食も美味しいものにと考えています。現在、神戸市内で1000坪ぐらいの土地を探しているところです。

 ■ メッセージ

―厚生労働省をはじめとする、日本の政策についてはどう思っていらっしゃいますか。

 今回の診療報酬の改定といい、介護保険や医療保険の問題など納得いかないことばかりですね。老人が増えている以上、医療費が増えるのは当たり前のことなので、老人に働いてもらうようなシステムが必要でしょう。働いたお年寄りには年金でなく報酬を出すのです。そして、そのお金で遊んでもらうわけです。それは病気にならせない社会の構築でもあります。例えば企業戦士にがんにならせないような社会といえばいいでしょうか。皆が元気になれば、犯罪も減りますよ。
栃木県警の杜撰な対応があったリンチ事件や川崎市であったマンションから子どもを突き落とすような事件は30年前からは考えられません。日本を変えていくためには政治家の力が必要です。私も最終的には政治の道を考えています。日本がいい国になれば、日本人の持つ技術力や人情がもっと見直されてくるでしょう。

―医師会については、いかがでしょう。

 私は医師会には入っていません。入会金も高いし、休日診療など変な圧力もありますしね。医師会員の中には素晴らしいドクターもいらっしゃいますが、そうでない人たちもいます。サラリーマンの患者さんは日曜日こそ通院したいのです。休みの日に診察しないで、いつするんですか。患者さんを見下すような、そういう考え方には相容れません。

―若い医師へメッセージをお願いします。

 熱い人間が少なすぎますね。私が医者になった理由を尋ねたら、皆が「患者さんの役に立ちたかったから」と言います。嘘言うなと思います。「お金が儲かるから」と正直に言ってほしい。患者さんにサービスしたり、技術を持っていることは医者として当たり前です。金を稼ぎたかったら、患者さんの奴隷にならなくてはいけません。私は今でも院内の床を清掃していますし、カルテの整理も自分でやっています。天職だからではありません。100億円持っていたら、誰も医者をやっていませんよ。

 ■ プライベート

―ご家族や趣味についてお聞かせください。

 家族は妻と小学2年生の長男です。趣味は旅行と読書ですね。旅行は世界遺産を全部見たいと思っています。先日はブラジルに行って、リオのカーニバルやイグアスの滝を見ました。読書量は本当に多いですよ。作家の中では高杉良さんが好きですね。経営の本はほとんど読みませんが、経営者の中ではワタミの渡邉美樹社長に憧れます。言行一致のところがかっこいいですね。

先生タイムスケジュール


クリニック平面図



神戸クリニック(三宮)
理事長 吉田 圭介氏
院長 大川原 潤氏
住所 〒650-0021
神戸市中央区三宮町1丁目9-1
神戸センタープラザビル東館地下1F
医療設備 ・ウエーブフロントアナライザー
(ウェブライト社<ドイツ>)
・ERI-K(モリア社)
・マイクロケラトーム・イントラレース
・EC-5000CXII(NIDEK社)
・アレグレット EYE-Q
(エキシマレーザーウェブライト社製)
・ウェーブフロントアナライザー等
物件形態 ビル診
HP http://www.kobeclinic.com/
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(終わり)
2006.05.01掲載 (C)LinkStaff

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