むらやま泌尿器科クリニックは村山院長の専門性を全面に出し、泌尿器科を標榜し、その相乗効果で増患対策を図っている。
泌尿器科では、尿路感染症での外来が多く、内科的治療で回復に向かわせる。最近では、前立腺肥大症や膀胱腫瘍の患者さんも多くなり、内視鏡的治療法である経尿道的切除術(TUR)で対応している。
「私一人でやっていますので、クリニックでできる外科的治療はTURが限界です。」
また透析室を設けており、開業時からのパートナーである透析専門医が対応している。現在は福岡大学病院の紹介患者を約40人受け入れる。
「スタッフの教育も非常に熱心に行っている。最小のスタッフで、患者さんに最大の満足を与えるためには、一人一人の「気づき」が必要だと説く。
「常に高いアンテナを張り、患者さんが何を欲しがっているのかを感じ取り、それを行動に移すことが一番大事であると、口を酸っぱくして言っています。」
前回の診療報酬改定で、人工腎臓への各種治療の包括化が進み、透析食、腎性貧血治療薬のエリスロポエチン、長時間透析などは従来は出来高払いであったが、ことごとく包括化された。夜間の休日加算点数も引き下げられ、若干の影響が出たという。
病院からの紹介ももちろんあるのですが、スタッフの態度が患者さんの共感を呼んだようで、患者さんからの紹介が増えてきたことが嬉しいですね。最近では多少の余裕もできました。」
今度の展望
院長が今後力を入れようとしているのが在宅診療である。厚生労働省は医療改革の目玉にしているが、従来の内科系の医師でなく、泌尿器科医の在宅診療は成り立つものだろうか。
泌尿器科医が診察する患者さんは少ないと思います。しかしながら在宅の場合ですと、高齢者の尿失禁や排尿困難などの排尿管理は非常に重大な問題であり、そこに我々の役割も出てくるのではないでしょうか。」
村山院長は現在、老健施設で在宅診療を行っている。ただ、クリニックも開設して3年弱であり、まずは外来患者を獲得することが優先されるため、在宅診療を本格的に行う体制は取れていない。
TURなど、クリニックでの外科的治療は少なくなることが予想されるので、病診連携を充実させ、透析患者の受け入れを増やしたいですね。そういった中期的なビジョンの中で一つのテーマとして在宅診療を考えていきたいと思っています。」
開業に向けてのメッセージ
まず初期投資を極力抑えるべきです。さらに自分が思い描いている建物の大きさ、導入予定の医療設備機器を、実際は少し抑えて下さい。計画段階では「何とかなるだろう」という気持ちがどうしても出てしまいがちですが、あとで大変な苦労をすることになります。
二番目は医者にもそれぞれタイプがあります。例えば大学病院に残って力を発揮するタイプ、また市中病院で力を発揮するタイプ、そして開業医で力を発揮するタイプなどがあると思います。自分自身を冷静に分析して、方向を決めるべきです。今からは淘汰の時代です。したがって安易に開業を考えるのは危険です。 |