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平日勤務医、週末開業というスタイルのクリニック
BEC美容外科研究会 三浦クリニック
三浦 一秀 院長  今回は佐賀県鳥栖市に平成16年10月に開業された、BEC美容外科研究会 三浦クリニックの三浦一秀院長をお訪ねした。
 鳥栖市は博多まで車で30分、久留米市へは10分と北部九州の主要都市に隣接している上、九州高速道鳥栖ジャンクションやJR鹿児島本線、長崎線の分岐点でもあり、北部九州の交通の要所。
 三浦クリニックは、JR鳥栖駅より歩いて3分程の駅前の商店街にある2階建ての建物で1階はアロマテラピーの専門店を併設している。
三浦 一秀(みうら かずひで) 院長プロフィール

院長は、昭和63年久留米大学を卒業後、同大学医局の小児外科・第一外科、麻酔科に 10年間在籍。大学の出張先病院などへの勤務を経て後、平成12年に大手、美容外科に勤務し美容外科医としての研鑽を積まれた。
その後、平成16年10月1日開業する。
日本外科学会認定医、麻酔科標榜医、日本美容外科学会会員、日本抗加齢学会会員、医学博士
日本ホリスティック医学会理事
■ 開業前後
三浦院長は、久留米大学医局に小児外科・第一外科に入局した後、大学の関連病院などでも、外科、小児外科の専門領域に研鑽されてきた。その後同大学麻酔科兼務となり麻酔科標榜医を習得する傍ら美容外科の勉強を行っていました。
 開業の理由としては、現在の保険診療をとりまく情勢から自由診療への興味が常にあったからという。
 「個人的には、外科系全般のホームドクターが私の<医師>イメージなんです。昔でいうと何でも診る町のお医者さん、あるいは離島の医師。いわゆる漫画<ブラックジャック>を創刊から読んでいた世代です。(笑)ですから自分にとって医師になるという事は、開業医になるという方が自然だったと思います。ただ普通のやり方はしたくない。しかし当然の事ながら開業するにあたっては、その形態や開業時期や場所など経営する上での様々なリスクがある、すぐには難しいだろうと。今後の社会情勢から見て患者さんの自己負担が5割になった時点で、自由診療で開業しようと考えていました。自由診療の一つの形態が美容形成外科だったという事です。」

 三浦院長は10年以上在籍した久留米大学の医局から、平成12年に美容形成外科へ入職する。
 大手の美容形成外科の勤務医として数多くの臨床を積まれながら、また自由診療への経営見識も深めていったという。



 「美容形成外科へ入職後の平成14年、新臨床研修制度でスーパーローテーションが始まるタイミングで中堅クラス医師の不足となったんですよ。その後の開業ラッシュは予測されましたので、私は半分勤務医、半分開業医というスタイルの週末開業をベースに開業の計画を立てました。」

 福岡県飯塚市のご出身の三浦院長。実家は自動車販売業、親や親戚が病院を開業してたわけでも無く、経営的にも経済的にも基盤はなかったが、大学病院当時より、出張麻酔などでの、医局、関連病院の人脈を通して開業へのアイディアが生まれ、その後の経営形態へのヒントとして練られていった。
 「私は元来、色々な方々と話をするのが好きなんです。自由診療への方向性もあって、医療関係者はもちろん異業種交流会などに参加もしています。その機会からも、たくさんのヒントを得て経営に活かそうとしています。失敗も多々ありますが、実践することによって又多くの方と出会える事を大切に思います。」

ひとつの例として、ハーブ・アロマテラピーで国内でも有名な、「株式会社 生活の木」宇田川常務との出会いがある。宇田川常務は日本アロマ環境協会理事でもあり、環境省や外務省が取り組む海外ODAへのアドバイザーも勤められている。その繋がりで、出身大学であり、師事していた久留米大学免疫学の横山教授が実は日本アロマテラピー協会の会長である事も知った。益々心と体の統合医療に強く関心を持った三浦院長は、「生活の木」の直営ショップを、ほぼそのまま開業時に導入したのである。

 三浦クリニックの1階フロアにはアロマテラピーの本格的専門ショップ「Green Air」を併設している。店内に入ると西日本一の品揃えを誇る。90種類以上の精油の小瓶、ハーブティーなどのグッズが並んでおり、石鹸や化粧品の製造許可の認可も受けている、ギルドも設置しています。その心地良い香りと共に、癒しの空間を演出している。又麻酔科の保険医という事も関係していたという。
 「麻酔科は保険診療域が狭く、開業した場合、自院ではペインクリニックを行い、よそで麻酔をかける。僕の形態に近い。これからは、医師も美容形成だけでなくアロマテラピーやカイロプラクティックなど全人的な統合医療に明るくなるべきだと考えています。」

 開業場所は、自宅マンションに近く、又前記にもあるように交通のアクセスが大変良いことなどから鳥栖のJR駅前に決めた。もうひとつの理由に潜在的なターゲットでもある高校が3つあったという事。
 開業資金は4500万円、自己資金はゼロで全額銀行からの融資。週の3日は麻酔科医として出張麻酔を行っている事で安定収入があること等から、スムーズに融資を受ける事が出来た。採用に関しても求人誌などから良い人材を採用できた。
 増患対策としては口コミやホームページからの来院も多いが、出張麻酔での人脈を通じて紹介で来られる方も少なくないとの事。現在1日あたり平均6~8名の外来(予約)がある。
■ クリニックの経営方針・運営内容
※週末開業の美容形成クリニック
 三浦クリニックは二重、豊胸手術を初め、多汗症、ボトックス、ヒアルロン酸による若返り手術、金の糸施術からスキンケア、毛髪ミネラル検査なども行っている。

 「クリニックは始め週末のみの開業でしたが現在はその割合は広がってきています。電話での完全予約制スタイルをとっていますので時間のやりくりはできます。ですから一人ひとりをゆっくりと診療することが出来ます。アクセスが良く気軽に治療やカウンセリングが無料で受けられます。それもあって、ホームページなどを見られた方が福岡まではという、近隣だけではなく九州各地から来て頂いています。
 又、当医院では、大都市の形成外科にはできない相談しやすさを考えています。特に料金の説明、手術後のメリット、デメリットを十分に説明し、患者さんに一番あった方法を患者さんとみつける事を診療の第一としています。ですから、流行にまどわされず、安全性のはっきりしない料金がかかるだけの必要のない手術はお薦めしていません。」

■ 開業にむけてのアドバイス
 「私は開業時のリスクをいかに配分するかという事を考えました。ですから、すぐに儲けようと考えず堅実に続けていける形態(週末開業)を選んでいます。また運転資金をしっかりと確保する事が大事だと思います。半分自由診療の開業医そして保険医という立場にあり、混合診療について、行政や他の開業医の先生、色々な方と意見を求められる事が多くあります。積極的な情報交換を通して人脈を大切にする事も大事だと思います。今までの医院とこれからの医院では、その経営スタンスが全く違ってきている時期にあると思います。そこの認識が出来るかが重要に感じます。」
■ プライベートのすごし方
 開業前はヨットや乗馬などをやっていましたが、開業して以降十分な時間は無いですね。唯一の楽しみはスパー銭湯くらいでしょうか。最近は殆ど異業種交流会などを通し知り合った方と会ったりしています。
先生タイムスケジュール
美容外科医   麻酔科医時代
6:00 起床 6:00 起床
10:00 出勤 7:00 出勤
10:00~ 院内業務 9:00-20:00 手術
10:00-20:00 外来:手術 22:00 昼食
20:00 帰宅 22:00 帰宅
24:00 就寝 24:00 就寝
BEC美容外科研究会 三浦クリニック
院長 三浦 一秀 氏
住所 〒831-0013 佐賀県鳥栖市本町1-813-1
医療設備 脱毛レーザー、フォトフェイシャル、スマートリポ、エレクトロポレーション
延べ床面積 30坪×2
物件形態 ビル診
スタッフ数 院長、受付・看護師2人、エステシャン2人
開業資金 4500万円
HP http://bec-miura.fte.jp/

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(終わり)
2008.4.01.掲載 (C)LinkStaff

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