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やさしく良質な医療を
医療法人社団 葵会 千葉・柏たなか病院
プロフィール
千葉・柏たなか病院
千葉県柏市の柏の葉キャンパスは「世界の未来像をつくる街」として、公民学連携による街づくりが進められている。柏の葉地区には千葉県立柏の葉公園、東京大学柏キャンパス、千葉大学環境健康フィールド科学センター、東葛テクノプラザなど、国や千葉県の各種機関や施設が集積する。柏の葉地区の東側には国道16号線が通り、常磐自動車道の柏インターチェンジが近いほか、圏央道が開通すれば成田空港へ直結する。つくばエクスプレスでは秋葉原から柏の葉キャンパス駅まで27分と、都心と筑波研究学園都市とのちょうど中間に位置する。
千葉・柏たなか病院は柏の葉キャンパス駅から徒歩5分、国道16号線に面するなど、アクセスに恵まれた病院である。2006年に田中農協病院から名称を変え、葵会グループの一員として生まれ変わった。現在は一般病棟109床、障害者施設等一般病棟57床の166床という規模で、内科、循環器科、神経内科、外科、整形外科、大腸・肛門科、形成外科、小児科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、婦人科、放射線科、麻酔科、歯科を標榜している。
今回は千葉・柏たなか病院の谷山新次院長にお話を伺った。
谷山新次 院長 プロフィール
1952年に北海道江別市で生まれる。1980年に千葉大学を卒業し、千葉大学第一外科(現 臓器制御外科)に入局する。千葉大学医学部附属病院での研修を経て、成田赤十字病院に勤務する。国立下志津病院(現 下志津病院)に勤務し、その間に長野県立阿南病院に出張を行う。国立柏病院(現 国立がん研究センター東病院、柏市立柏病院)を経て、国立がん研究センター東病院に勤務する。1997年に田中農協病院(現 千葉・柏たなか病院)に外科部長として着任する。2005年に田中農協病院院長に就任を経て、2006年に千葉・柏たなか病院院長に就任する。日本消化器外科学会専門医、日本外科学会専門医・指導医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医など。病院の沿革
千葉・柏たなか病院の前身は田中農協病院で、1972年に現在と同じ場所に設立された。設立母体の田中農業協同組合は全国でも有数の資金力を持つ農協だったという。
「設立にあたっては、日本医師会の会長でいらした武見太郎先生のお力があったようです。武見家は戦時中に柏市に疎開していて、農協の有力者と知り合いだったんですね。戦後、武見先生と農協の有力者が再会して意気投合し、病院設立に繋がったと聞いています。場所については色々と探した結果、この地に決まったそうです。」
一般的には農業協同組合立の病院は都道府県の厚生農業協同組合連合会に加盟するが、田中農業協同組合は豊富な資金力があったので、単協の病院としてスタートした珍しい例となった。当時は組合員を対象にした、余裕のある地域医療を行っていた。
谷山院長が外科部長として、田中農協病院に着任したのは1997年である。
「既に古かったですし、経営状態はあまり良くありませんでした。売却の話も出ていましたね。経営状況の悪化は田中農協という母体自体が体力を失っていたこと、バブルの崩壊、つくばエクスプレスの開設に伴う用地買収など、様々な要因がありました。職員も雨漏りするから建て直してくれと苦情を寄せていましたが、田中農協には資金がなかったんですね。ただ、手術件数は多かったですよ。私もかなりの手術を行っていました。」
経営悪化のため、新しい経営母体を模索した結果、葵会グループに決定した。
「葵会は近隣に医療施設を有しており、このあたりの開業医の先生方と新谷幸義理事長の面識があったんですね。開業医の先生方からの評判も良く、それまでの田中農協病院の理念を引き継ぐことができるグループだということが決め手になりました。」
葵会グループの傘下に入り、2007年6月1日に千葉・柏たなか病院が開院した。葵会グループの中での急性期病院という位置づけで、グループ内の医療施設での急性期患者さんを中心に、治療のみならず、予防にも積極的に取り組んでいる。
「葵会グループに入って以降は経営的に安定しています。病床稼働率も95%と高く、スタッフは忙しくしていますね。そして、新しい病院が建つという希望に燃えて、働いています。」
葵会は病院の新築のため、千葉県立柏北高校の跡地という広大な敷地を確保した。つくばエクスプレスの柏たなか駅から徒歩1分の場所で、2015年4月に完成予定である。この地域はつくばエクスプレスの開通に伴い、人口の増加が見込まれており、病院の需要が高まっていることも追い風になっている。
「スタッフが誇りと遣り甲斐を持てる職場作りにも取り組んでいます。これからも地域に開かれた病院として、患者さんやご家族の目線に合わせ、『千葉・柏たなか病院で良かった』と言われるような、明るく、温かい、安心の医療サービスを提供していきます。」