プロフィール
東京天使病院
東京都八王子市は東京都下の市町村では最大である58万人の人口を有し、2015年には東京都で初めての中核市に移行する街である。1960年代から大学の移転が進み、現在は留学生を含む11万人の学生が住む、全国有数の学園都市となっている。市の西部には高尾山や陣馬山が位置し、ハイキングコースを楽しむ人も多い。
東京天使病院はその陣馬山から伸びる陣馬街道の近く、北浅川を望む風光明媚な場所に1960年に設立された病院である。現在は一般病床122床(一般病棟10:1 39床、回復期リハビリテーション病棟47床 地域包括ケア病棟36床)を有し、一般内科、消化器内科、呼吸器内科、一般外科、脳神経外科、整形外科を標榜する。
今回は東京天使病院の玉谷青史理事長と別役徹生病院長にお話を伺った。
玉谷青史 理事長 プロフィール
北海道札幌市出身、慶応義塾大学卒業後、慶應義塾大学病院、立川市にあった米国空軍病院 で研修を行う。1976年に慶応義塾大学大学院を終了後、東海大学医学部付属病院に勤務。その間、呼吸器科に7年、救命救急科に2年、又2年間ニューヨーク州立大学バッファロー校に留学し潜水医学の研究に従事する。また、1970年代は海洋科学技術センターで海洋開発に係る。帰国後、東海大学医学部救命救急科講師を経て、1988年に医療法人社団 玉栄会 東京天使病院理事長に就任。
別役徹生 病院長 プロフィール
北海道札幌市出身。北海道大学卒業後、循環器内科学教室に入局、1993年に北海道大学大学院を修了。1997年4月から2000年9月まで米国ワシントン大学内科学循環器部門に研究員として留学(1997年7月から1999年6月までミズーリ州のAHAポストドクトラルフェローシップをする)2001年に北海道医療センター(旧国立療養所西札幌病院)に勤務。2006年循環器科医長に就任。2010年6月に治験管理室副室長を併任(日本で登録件数1番の治験が3つ)。2011年4月に、臨床教育研修副部長を併任。2013年4月に東京天使病院に病院長として着任。専門分野は、不整脈、睡眠時無呼吸症候群等。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定内科医趣味は、テニス、メジャーリーグ セントルイス カージナルスの大ファン。
病院の沿革
病院の沿革については、玉谷理事長にお話を伺った。
東京天使病院は1960年、医療法人社団玉栄会東京天使病院として発足した。当時は精神科単科の病院だった。
「精神衛生法が整備された当時、八王子市内には2軒しか精神科の病院はなかったのです。その後、ブームのように精神科病院が誕生し、21軒まで増え、病床数も6500床ほどになりました。私は精神科医ではありませんが、東京天使病院のことは知っていました。私が1988年に着任したときには平均在院日数は10年ぐらいで、1年に30人程度しか入退院のない病院でしたよ。病院というよりは療養所のような雰囲気でした。」
その後、東京天使病院は一般内科を中心にした病院へと生まれ変わる。
「精神科の患者さんが300人いらっしゃいましたから、他院に移っていただくための時間が10年ぐらいかかりましたね。1病床ずつ、内科に移行していきました。
1993年に新病棟を建設し、旧附属クリニックで外来を行うこととなる。そして、地域にとって悲願の救急を開始した。東京天使病院は現在も八王子市西部地区では唯一の救急病院である。
「私は東海大学医学部付属病院の救命救急科にいましたから、東京天使病院に着任するときには救急を行うことを期待されていました。私としても当院が救急を行うことで、地域医療の核となる存在でありたいと思いましたね。しかし、当時のこの地域では東京天使病院は精神科の病院であるというイメージが強かったため、救急病院として生まれ変わったことがなかなか浸透しませんでした。」
救急病院としてのスタートには苦労があったが、新しい住民が増えていったことなどで、東京天使病院へ搬送する救急車の数も増えていった。
「毎日、5、6人ずつのペースで、救急車が来るようになりました。朝、目覚めた患者さんから『ここは昔、精神科の病院だったのですか』と尋ねられる機会も増えましたし、新しい患者さんたちは当院の以前の姿をご存知ない方がほとんどですね。」
1994年には介護老人保健施設エンジェルコートを開設する。介護保険制度の開始に先駆ける形で、東京都では13番目に早い開設となった。
「日本の病院はアメニティが良くないですから、エンジェルコートはアメニティにこだわっています。介護保険制度の前でしたし、制度がどうなっていくのかよく分からなかったのですが、病院と在宅の中間のような施設にしようと考えていました。」
東京天使病院では脳ドックの開始も1993年9月と早く、それが人間ドックへと拡充されていった。
「病院を作り替えるときに、医師を呼ぶ目玉が欲しかったのです。聴診器一本での診断よりも詰めて診断するためには道具が必要ですからね。救急を始めて以来、多かった症例がくも膜下出血でしたので、MRAを導入することにしました。当時、東海大学医学部付属八王子病院はまだなかったんです。東京医科大学八王子医療センターは既に開院していましたが、MRAはなかったので、八王子市内では当院が初めての施設です。その後はMRIに変えましたが、今も大きな需要がありますね。人間ドックは脳ドックを始めて1年後に開始しました。」
1999年に在宅介護支援センター、2000年に指定居宅介護支援事業所を開設するなど、介護保険制度のもとでのサービスも開始した。
2002年にはリハビリテーション棟を新築する。
「回復期リハビリテーション病床区分が新設されたのと同時です。それまでは入院が長期になりがちでしたが、リハビリして、喜んで退院していただくことができるようになりました。リハビリにあたっては、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのスタッフが必要ですが、若いスタッフが多く入職してくれたので、病院の雰囲気がとても明るくなりましたよ(笑)。お蔭様で、現在はリハビリに強い病院としての評価をいただいています。その後、東海大学医学部付属八王子病院ができましたので、脳神経外科や神経内科との連携を行っています。」
東京天使病院は「心と身体のトータルケア」を理念とし、東京天使病院のみならず、東京天使病院附属駅前クリニックや介護老人保健施設エンジェルコートの専門性を活かして、地域のニーズに応えている。
「病気を治す治療だけでなく、ご家族を含めた患者さんには癒やしも感じていただけるよう、暖かな心のこもった医療や介護を提供できる施設でありたいと願っています。高度医療機関とも協力し合い、24時間体制で地域の皆様のお役に立てるように努めていきます。」