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良質な医療を提供し、信頼される病院に。
プロフィール
川崎病院
兵庫県神戸市兵庫区は奈良時代から港町として栄えてきた。平安時代末期には平清盛が港を整備したことでも知られている。明治以降は川崎重工業などの大企業が進出してきたが、神戸空港開港後もさらに発展が進み、人口増加が続いている。
医療法人川崎病院は、川崎重工業の前身である川崎造船所の企業立病院として1936年に開設された。1950年に医療法人に改組してからは、市民にも開かれた地域の基幹病院となった。現在は地域医療支援病院として、救急医療のみならず、病診連携、病病連携および介護事業者との連携を通して地域医療に積極的に取り組んでいる。
今月は医療法人川崎病院の中村正(ただし)院長にお話を伺った。
中村 正(ただし)院長 プロフィール
1954年に兵庫県で生まれる。1981年に日本医科大学を卒業後、大阪大学医学部第二内科に入局する。社会保険紀南病院(現 紀南病院)内科、国立呉病院(現 呉医療センター中国がんセンター)循環器科に勤務を経て、1993年に大阪大学医学部第二内科助手に就任する。1996年に大学院大学への変更に伴い、大阪大学大学院分子制御内科学助手に就任する。2002年に大阪大学大学院分子制御内科学医局長を兼任する。2005年に診療科再編による講座名変更で、大阪大学大学院内分泌・代謝内科学講師に就任する。2009年に医療法人川崎病院に副院長として着任し、診療部長、予防医学部部長を兼任する。また大阪大学大学院内分泌・代謝内科学非常勤特任講師に就任する。2012年に医療法人川崎病院院長に就任する。
日本内科学会認定医・指導医、日本肥満学会肥満症専門医・指導医、日本動脈硬化学会動脈硬化専門医・指導医、日本医師会認定産業医など。
日本肥満学会常務理事・評議員、日本動脈硬化学会評議員、日本臨床分子医学会評議員、日本糖尿病学会近畿支部評議員など。
病院の沿革
- 1936年
- 川崎グループ(川崎重工業、川崎製鉄、川崎汽船)の企業病院として開設される。
- 1950年
- 医療法人として独立する。
- 1998年
- 南館(現 東館)が完成する。
- 2008年
- 財団法人日本医療機能評価機構から一般病院種別Bの認定を受ける。
- 2011年
- 新棟建設工事を着工する。
- 2012年
- 新棟が完成する。
- 2014年
- 財団法人日本医療機能評価機構から一般病院2の認定を受ける。
- 2017年
- 総合診療科を開設する。
中村院長に病院設立にまつわるエピソードを伺った。
「川崎病院は2018年に82歳を迎えました。川崎重工業の前身となる川崎造船所の企業立病院ということで、川崎造船所職員の健康管理を目的に設立されました。創設したのは川崎造船所の第3代社長である平生釟三郎さんです。戦争による影響を受けながらも、なんとか終戦を迎えることができました。医療法人に改組した1950年以降も川崎重工業の社員の方は健診などで当院を利用していただいていますが、受診される患者さんの大半は地域にお住まい方ですね。
循環器内科は昭和51年に心臓病センターを設置し、カテーテル治療(PCI)を神戸市内で2番目に開始しました。今でもPCI件数は神戸市内でも屈指の件数です。」
医療法人川崎病院は順調に成長していった。
「1986年に北館を、1998年には南館(現東館)を増築し、2012年の末には新棟(現西館)を建築しました(2013年に旧本館を解体)。旧本館は有名な建築家がデザインした由緒正しい建築物だったのですが、老朽化が進んできていたので、最新の医療に対応できるよう解体し西館を新築しました。西館には救急室を設置していますが、当院は救急医療にかなり重点を置いた診療を行っていますので、救急車で運ばれてきた患者さんを短い経路で迅速に治療できるような構造になっています。加えて、内視鏡室や透析室、糖尿病センターを併設していますので、様々な疾患に対応することができます。」
医療法人川崎病院では総合診療科を開設している。
「超高齢社会の中で、神戸市の高齢化率は30%に迫る勢いで増加していますが、特に当院の主な診療圏である兵庫区、長田区の高齢化率は31.6%(2018年2月)となっております。高齢化が進むにつれ、合併症を含め、様々な疾患を持った高齢者の方が増えてきましたので、単一の臓器だけに特化した診療が難しくなっています。そこで、様々な病態に対応できるよう、2017年に総合診療科を開設しました。年々ニーズも高まっていますので、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を見据え、総合診療科をさらに強化していきたいと思っています。」