ドクタープロフィール
ドクター神津
神津院長は昭和52年に日本大学医学部を卒業後、同大学第一内科に入局され、その後、神経学教室が新設されると同時に同教室へ移られました。医局長、病棟医長、教育医長を長年勤められ、昭和63年、アメリカのハーネマン大学およびルイジアナ州立大学へ留学。帰国後、特定医療法人佐々木病院(内科部長)を経て、平成5年に神津内科クリニックを開業された。神津院長の活動は多岐にわたり、その動向は常に注目されている。
2006年9月号  再び韓国へ
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  再び韓国へ

 夏休みに韓国へ行った。家内がペ・ヨンジュン氏のファンで、もう10回以上も韓国 に行っていて、私もそれに時々付き添って5、6回目の韓国旅行になる。Westin Hotel Chosunに毎回宿泊するので、コンシェルジェのお嬢さんとも家内は顔なじみになって いて、いろいろな便宜を図ってもらえるようになったようだ。

 今回もマイレッジを貯めて飛行機代はタダらしい。最近利用するようになった Executive floorには、軽食や飲み物が無料の特別ラウンジがあり、ホテルの冷蔵庫 を使うことなく、飲食代も節約できるのでお得なのだ。海外でも同じところに何回も 行っていると、一元さんの旅行者とは違った展開があるから面白い。

 ソウルはミョンドンの地下街にある「ラブメガネ」という行きつけの眼鏡屋さんも その一つだ。ソウルに行くと必ず寄って、眼鏡を3、4本作ってもらう。韓国では中間 マージンを取る業者や商社の介在が少ないのか、日本製でもイタリア製でもフランス 製でもかなり安い。たぶん安く使える職人さんがたくさんいるのだろうと思うが、レ ンズの研磨も早いので、簡単なものなら一日で仕上がる。私の家族のものは近視と乱 視が混ざっていて多少時間がかかるが、それでも2日もあれば出来上がる。日本語が 流暢で、愛想もサービス精神もなかなかのものだから、駆け引きをしながらまけても らう楽しさも味わえる。昨年行った時には、街の食堂でサムゲタン(鶏一羽のお腹の 中に朝鮮人参や薬草、木の実などを入れて一釜ずつ煮たもの。これを夏の暑い時期に 食べると体力・精力がついて疲労回復に良いとされる有名な料理)を食べていたら、 眼鏡屋の社長がお昼を食べにきていて、帰りに支払いをしようとしたら奢ってくれ た。こんなことは日本の眼鏡屋では絶対にない。

 家内は友人とも一緒に韓国に買い物に来るので、大体半年に一回は眼鏡を買ってい ることになる。店員からは「次はいつ来ますか?」と尋ねられるほどだ。店のほうも 「旅行者だから」、といいかげんな商売をするわけにはいかない。その信頼関係がう まく働いて、実に良い買い物が出来るわけだ。おかげで、我が家の眼鏡はほとんど韓 国で買ったものになってしまった。

 さて今回は、ペ・ヨンジュン氏がカンナムに作ったという「Gorilla in the Kitchen」というレストランで夕食をすることが目的の一つだった。日本から、ホテ ルのコンシェルジェ嬢に電話をして(もちろん日本語が出来る)、このレストランの予 約をしてもらったというのだから、家内の韓国旅行術の腕前はハイクラスになってい る。ついでに言えば、もう一つの目的であるプサンへの国内旅行の際に乗るKTX(日本 で言えば新幹線。300km/h以上のスピードが出る)の乗車券まで事前に買ってもらって いたというからさすがだ。国は違っても女性の考えること、生活の知恵は似たような もので、女性同士の気心が知れるといろいろなコラボレーションが可能なのだ。これ には男は脱帽するしかない。

 そのレストランだが、日本で言えば代官山か青山にあるような洒落た店で、出され る料理はイタリア料理に近いものだ。いわゆる韓国料理というイメージは全くなく、 味も日本で食べるのとほぼ同じようなものだった。さすがにペ・ヨンジュン氏がプロ デュースしたものらしく、鶏肉が主体でそれぞれのメニューには摂取カロリーが書い てある。驚いたことに店内には体脂肪計を計測してヘルスチェックが出来るブースも あって、家内は記念にと料理が出てくる前に体力測定をしてもらったが、体脂肪が多 い、血圧が高い、といわれてショックを受けたようだった。料理はなかなか美味しく て、店員の応対も良かった。お店の客層も良く、若い女性がワイングラスを傾けた り、洒落た格好のカップルがシャンパンを飲んでいたりして、ここがソウルだという ことを忘れるほどだった。

 ソウル五輪、サッカーワールドカップ、冬ソナブームと、韓国社会が世界の人々を 受け入れて、さらに生活の質を高めていっていることが、この2、3年の訪韓によって 肌で感じるようになってきた。物価が高くなって、ベンツ、BMW、フォルクスワーゲ ン、ボルボ、ホンダ、レクサス、インフィニティなどの高級外車の姿を見掛けること も多くなった。韓国ウォンも、2、3年前までは10000ウォンが1000円で、街で日本の 1000円札を出しても買い物が出来た。しかし、今では1000円で8400ウォンにしかなら ない。安くなった日本円を使うのがためらわれるので、結局ホテルでややレートの高 いウォンに換金して使うことになる。数年すれば、韓国に安いものを買いに行く、と いうことは出来なくなるかもしれない。それが、社会の成熟のあり方なのだと思う。

 そのうち、日本がかつてそうであったように、街並みも再開発で変わってしまうこ とだろう。韓国の人々は、どのように自分たちの文化を残しながら次の世代が築く新 しい社会のあり方を決めていくのだろうか。他国を見ながら日本を見ると、またその 見方も変わってくる。

 そういえば、30年位前には羽田空港に降りると空気が「醤油臭い」のに驚いたこと があった。今回、ソウルキンポ空港から羽田空港に着いて、そのことに注目して空気 の匂いを嗅いでみたが、そんな感覚はなかった。恐らく、日本人の食生活も大分変 わってきたからだろう。韓国でも、あまり辛い物は食べなくなっているようである し、世界から非難されている食文化である狗肉(食用犬)もそのうち食べなくなるだろ う。ソウルキンポ空港で匂った空気の「キムチ臭さ」が、いつ無くなるのか、今後は そんな変化にも目を向けてみよう。



Gorilla in the Kitchenのエントランスで日本語の
ぺらぺらなフロアチーフと記念写真


Gorilla in the Kitchenのヘルスチェックブース

 


プサン行きのKTXの乗車口


Executive floorのラウンジで韓国宮廷料理を
食べに 行く前に喉を潤す。CASSは韓国のビール

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