神津 仁 院長

神津 仁 院長
1999年
世田谷区医師会副会長就任
2000年
世田谷区医師会内科医会会長就任
2003年
日本臨床内科医会理事就任
2004年
日本医師会代議員就任
2006年
NPO法人全国在宅医療推進協会理事長就任
2009年
昭和大学客員教授就任
2017年
世田谷区医師会高齢医学医会会長
2018年
世田谷区医師会内科医会名誉会長
1950年
長野県生まれ、幼少より世田谷区在住。
1977年
日本大学医学部卒(学生時代はヨット部主将、運動部主将会議議長、学生会会長)
第一内科入局後、1980年神経学教室へ。
医局長・病棟医長・教育医長を長年勤める。
1988年
米国留学(ハーネマン大学:フェロー、ルイジアナ州立大学:インストラクター)
1991年
特定医療法人 佐々木病院内科部長就任。
1993年
神津内科クリニック開業。
10月号
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東京オリンビック・バラリンピック2020 (その3)

7月23日(金曜)
   今日は「隔離室」の勤務を命じられていたので、それはどこにあるのか、というところから私の会場での仕事は始まった。スタッフに「この建物の裏にありますよ」といわれて行ってみた。6月27日(日曜)に会場別研修があって、ハーバーの中に入って医務室は見ていたが、隔離室はなかった。行ってみると、室外のコンクリートの上に大きめのテントが設置されていて、その中にベッドが1台置かれていた。炎天下で外はとてつもなく暑いのだが、大型のクーラーが19℃に設定してあり、肌寒く感じるほど冷えていた。





   隔離室では、発熱患者が出た場合にPPEを着て医師と看護師がここで医療処置を行うことになる。しかし、今のところここには医療器具は何もないし、誰も入って来る様子はない。

室内でエアコンにあたってまったりしていると、始めは海上に出ない補助艇の乗組員、海上自衛隊の操縦士や衛生兵が涼を求めてやって来て、他では聞けない自衛隊にまつわるいろいろな話をしてくれた。世田谷には自衛隊中央病院があるが、そちらに受診することはあるのかと尋ねると、彼らは自衛隊横須賀病院が担当で、実習で行ったことはあるが、自衛隊中央病院は主として陸上自衛隊が担当しているとのこと。彼らは今回の任務のために武山基地から高速艇で来てくれていた。





   Wikipediaによると、海上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院として「自衛隊横須賀病院 - 横須賀基地(神奈川県横須賀市)、自衛隊呉病院 - 呉基地(広島県呉市)」が載っている。自衛隊大湊病院 - 大湊基地(青森県むつ市)自衛隊舞鶴病院 - 舞鶴基地(京都府舞鶴市)自衛隊佐世保病院 - 佐世保基地(長崎県佐世保市)はいずれも2021年度廃止・診療所化が予定されている。ちなみに、陸上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院としては「自衛隊札幌病院「札病」 - 真駒内駐屯地(北海道札幌市南区)、自衛隊仙台病院「仙病」 - 仙台駐屯地(宮城県仙台市宮城野区)、自衛隊富士病院「富病」 - 富士駐屯地(静岡県駿東郡小山町)、自衛隊阪神病院「阪病」 - 川西駐屯地(兵庫県川西市)、自衛隊福岡病院 - 春日駐屯地(福岡県春日市)、自衛隊熊本病院 - 熊本駐屯地(熊本県熊本市東区)」があり、航空自衛隊に関しては、自衛隊那覇病院は陸上自衛隊に移管、自衛隊三沢病院 - 三沢基地(青森県三沢市)、自衛隊岐阜病院 - 岐阜基地(岐阜県各務原市)は2021年度廃止・診療所化が予定されており、自衛隊入間病院(仮称)-入間基地(埼玉県入間市)が2021年度開設予定となっている。以前、私のヨット部一年上の松下先生が外科医として自衛隊中央病院に入職した時に、九州まで自衛隊機で送ってもらったことがある、といっていたが、その話をすると、「海上自衛隊のジェットも早いですよ。三沢基地から東京まで10分で来ますよ」と。へえ、音速を超えてマッハで飛ぶんですね、それじゃ九州は?というと「30分で行きます。でも先生方じゃ大変だと思いますよ、Gが凄くかかるから」と笑った。こんな話は滅多に聞けない。

   そうこうするうちに、ランチタイムが近づく。「ここのランチは5種類でローテーションしています。ハンバーグが当たりです」との自衛官の話で、早速Field Cast check in centerと同じテントの右にある食事会場にと足を運ぶ。食事券をボランティアに手渡し、冷蔵保存して山積みになった弁当を1個取り出す。今日は自衛官がいっていた「なんちゃってチキン南蛮」だ。おむすびが2個付くが、私は1個にしておく。ベンディングマシンは無料で、水やコーラ、コーヒーやカフェラテ、ジュースや麦茶などが1本自由に選べる。それにデザートのアイスクリームが付く。




   このバニラアイスのスーパーカップは人気で、すぐ売り切れるらしい。あとはバーのアイスクリームやアイスキャンディーになる。今日はやや早めのランチにしたので運良くゲットできた。午後はまた隔離室に戻って、来ない患者を待ち続ける。これは結構つらい。 仕事が終わってまた小田急線に乗って帰る。片瀬江ノ島から17:49の快速急行(新宿行)で下北沢に18:50に着く。1時間で帰れるのは助かる。



7月24日(土曜)   土曜の外来が終わってから、すぐに下北沢に送ってもらい、18:17の小田急線快速急行(片瀬江ノ島行)に乗る。今日は湘南台の相鉄フレッサイン藤沢湘南台に泊まることになっている。これからオリンピック期間中、7月28日、29日、8月2日、3日、4日と5日間泊まることになる。
 湘南台は前回宿泊した茅ヶ崎よりは都会のようだ。ホテルのすぐ横にはセブンイレブンがあって、近くに寿司屋や定食屋、中華料理やオリジン弁当がある。少し足を伸ばすと、いきなりステーキ、大阪王将、モスバーガーなど馴染みの店があった。これなら夕食に不便はなさそうだ。



   7月25日(日曜)
23日の18:19に組織委員会のMさんからメールが来ていた。入場口が大変混雑するので、午前8時30分より前にPSA(Pedestrian Screening Area=歩行者用入場口)に到着するようにとの指示だ。朝早めに起きて電車に乗り。8時10分頃PSAに到着。ボランティアスタッフが「赤のカードをお持ちの方はこちらへどうぞ!」と呼びかけていて、どうやら我々も多少の優先権を与えられたようだ。今回はスムーズに入れた。医務室に行くと、友人のK先生が出務していて笑顔で迎えてくれた。久しぶりに会えて嬉しい。





   今日もうだるような暑さが朝から続く。以前は4日に一回とされていたPCRテスト(唾液)が、毎日提出するというルールに変わった。他の会場で、選手や大会関係者にCOVID-19陽性者が出たと報道されたことと関係がありそうだ。しかし、この暑さでは唾液も枯れて出にくい。ネットから梅干しの写真を出して、唾液腺マッサージをしながら試験管に1.5mlの唾液を溜めて提出する。24時間以内の検体なら良いとのことで、事前に試験管に溜めたものを出勤してから提出するスタッフもいる。この検体検査は木下グループが管理運営しているもので、バーコードを付けたシールを自分で貼って、その番号を本人のaccreditation numberで登録し一元管理している。毎日何千という検体を処理するのは大変なことと思う。結果のfeedbackについては不明な部分も多いようだが。





7月26日(月曜)
   お早う、今日は晴れ。外の気温は朝7時で27℃。昨夜は今日の外来勤務のために江の島からとんぼ返りで帰って来た。クリニックが28日から夏休みに入るので、午前の外来はとてもとても混んでいる。コロナワクチン接種は1回目と2回目の予約が入っていて、昼の休みもほとんどなく個別接種をする。ここのところ、江の島と東京の環境の差がありすぎて身体が浮腫んでいる。五苓散を服用して体調を整える。



7月28日(水曜)
   今日からクリニックは夏休み。昨日はスタッフを送り出して、明日からの2連泊に備えて持っていくものを整えた。午前中はゆっくりと休んで、午後は4時過ぎに湘南台のホテルに入った。夜は早めに散策していて見つけた「いまがわ食堂」でしめ鯖の炙り、肉厚アジフライ、葉山牛コロッケを食べた。全部で1,050円は世田谷より安いかもしれない。





7月29日(木曜)
   朝は昨夜セブンイレブンで買っておいたシーザーサラダとコールスロー、R1ヨーグルト、それに塩昆布茶を溶いて飲む。今回江の島に来て、野菜類がほとんど摂れていないことに気付いたための自分なりのメニュー構成だ。慌ただしく身支度をして7時43分の小田急江ノ島線急行(藤沢行)に乗る。藤沢で向かい側に停車している小田急江ノ島線(片瀬江ノ島行)に乗り換える。こちらの電車は平日ということもあって空いている。パラパラといる乗客の中にオリンピックのユニフォームを着ている人がいて、なんとなく嬉しい。





   いつものようにPSAで金属探知機、トランクのレントゲン検査を自衛隊員から受けて荷物をゴロゴロさせながらField Cast check in centerへ行きcheck in。今回は出務3回目ということで、マスコットのメダルを頂く。5日目は銀のメダル、7日目の最終日には金メダルがもらえる、と年配の受付係の方が教えてくれた。今日もまた食事券、アクエリアス、クーリングボディシートをもらう。

9時には朝のmeetingが始まる。事前に大会委員会がオーガナイズしたレース海面が発表され、通常はEnoshima, Kamakura, Fujisawa, Zushi, Hayama, Sagamiのうち、競技艇の特性に合わせ、しかもハーバーに近い4海面が使われる。





   医療ボートもそれに従って4艇が配備され、医師4名が各艇に配艇される。選手用医務室、観客用医務室の管理者、組織委員会、看護部、PT部、海上自衛隊、それに藤沢消防隊の隊員達が、皆でチーム一丸となって今日1日頑張ろう、という朝礼だ。VIPの訪問も時にあるらしく、知事、市長、議員、組織委員会幹部、外国賓客の対応について伝達されることもある。「コードネーム『クミコさん』が〇〇時に会場に見えます。この方は結構動き回る方で神出鬼没という話です。警察官が多く立ち入ることがあると思いますが、事件ではありませんので安心してください」などというアナウンスがあって、IOCバッハ会長が来たこともあった。





   私は医務室勤務。ボートに乗る日大医学部OBで後輩の関先生とツーショットを撮って送り出し、各国の選手がレース艇に乗り降りするスロープへ見学に出た。ハーバーは次第にオリンピック、国際大会の雰囲気が増して来た。 

<資料>

1) 1.自衛隊病院:
https://bit.ly/3F5vrlt
1) 2.海上自衛隊 特別機動船デモンストレーション:
https://bit.ly/2ZBKbbl

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