「医師として」メインタイトル
今回は、4年前に胃を全摘し、半年前に脳梗塞を患いながらも
医療人として現場復帰にこだわった
消化器内科医とコンサルタントの実話。
 

第5話
意志の強さは何事にも勝る
(前編)

 一 60歳代後半 元消化器内科医
四年ぶりのコンタクト
これからご紹介するF先生との出会いは、介護老人保健施設の求人をご登録いただいているDrへ案内するところから始まります。
基本的に、新規の求人が出た際には、ご登録時に記載頂いたメールアドレスに求人をお送りすることが多いのですが、この先生はメールアドレスを登録時に頂いておらず、ご自宅の電話番号しか登録されていなかった為、メールでのご案内が漏れていました。
F先生が弊社に初めてご登録を頂いたのは、今よりゆうに10年以上も前のことでもあり、メールでのやりとりがさほど頻繁に行われていなかった時代でもあったからだと思います。
F先生とのやりとりの履歴を確認したところ、4年前から弊社のコンサルタントからは誰もコンタクトを取っていない状況でした。

私の心理としては、連絡先がご自宅の電話番号しかなく、4年もの間、弊社よりコンタクトを取っていないという状況を踏まえると、なかなか電話をし辛い感覚を持ちました。
ところが、電話をしてみると普通に電話に出られ、特に変わった様子もなく真面目そうな言葉づかいで、私の話に耳を傾けていらっしゃいました。
新たな求人が出たため、ご検討頂ければという主旨を伝え、F先生の反応を待つと先生はご自身の身の上話を切り出されました。
 二 医師として、医療の現場で
強い意志
現在60歳代後半、元々ご専門は消化器内科、4年前に大病をされ胃を全摘された経緯があり、体力には自信がなく、さらに不運なことに半年前に脳梗塞を患い、会話や動作が鈍くなっているとのことでした。
しかし、今年の4月から、病気になる前まで内科常勤医として勤務していた病院に併設の介護老人保健施設にて、週1回、自身のリハビリを兼ねて非常勤勤務をしだしたとのことでした。
但し、F先生としては、医師として、医療の現場で復職したいという強い意志をお持ちでした。私は老健施設の求人を提案するが為に、F先生にお電話をしたことを謝罪し、医療施設にご勤務するに当たってのご希望をヒアリングしました。
F先生のご希望は、ごく一般的なものながら、脳梗塞の後遺症として疲れやすい体質であることを考え、「療養型病院、週4日勤務、当直・オンコールなし」というご希望以外は、私で役に立てるのであれば贅沢は言いませんと非常に謙虚なものでした。
F先生には、ご面談のご依頼をさせて頂き、その際に厳選した求人のご提案をさせて頂きたい旨ご説明し、快諾頂きました。

後日、F先生とのご面談に際し、私が一番気になっていたことをまず確認致しました。脳梗塞の後遺症として、身体の麻痺や記憶障害があるか否かということです。私の不安はすぐに解消されました。手書きで文字を書かれる際の筆圧の強さ、この面談に至るまでの私との会話の記憶、全てにおいて何ら後遺症は残っていないことを確信しました。
唯一、ご自身で不満げにおっしゃられたことは、病気後、歩きづらくなったということです。
そう言われてみれば、歩く際に右足を多少引きずられているように見える程度でした。
ご面談の際に提案した求人については、先生が電話越しでおっしゃられた「疲れやすい」というキーワードから、通勤にあまりストレスを感じない立地の良さを中心にピックアップしました。
 
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