「医師として」 - 元クリニック院長の新たな挑戦！(後)

それから、ちょうど1週間後にO先生のご自宅から徒歩とバスで40分程度の場所に「特別養護老人ホームの併設診療所」があり、その診療所の管理医師として入居者の健康管理に従事して頂けないでしょうかとご提案させて頂きました。
O先生からは全く初めて聞く勤務内容の為、イメージがわかないとのことだったので、実際に施設見学にご一緒させて頂いた上で、先方の施設長や看護師などから一日の流れについて詳しく説明してもらいました。

施設見学を行ったことで、ご自身がかかわることになる入居者がどのような疾患を持っているのか、認知症の方にはどのように接するのか、また、どのような境遇にある方なのかなどを理解することができた様で、見学前の不安な表情とは一変し、帰り際にはやる気に満ちた溌剌とした表情で、「初めてのことばかりだけど、僕を必要としてくれる人がいることがわかったので、自分なりに一から勉強して、役に立てる様頑張ります」と力強いお言葉を頂戴し、その日のうちにご入職が決定致しました。

施設長からも、ご年配ではあるけれども人の気持ちを汲んで対応して下さる心の温かい先生を紹介して頂き、本当にありがとうと大変喜んで頂くことができました。
また、業務についてはスタッフ全員でフォローしますので一切心配は無用ですし、一日も長く元気にご勤務頂ける様、O先生の居心地の良い環境を整えていきますねと、大歓迎頂き紹介者の私自身も双方に喜んで頂くことができ、感謝の念でいっぱいになりました。

今回、O先生の担当をさせて頂いたことで、改めて「人柄」というものがいかに大切であるのかを考えさせられ、一日一日を丁寧かつ真剣に生き抜いてこられたO先生だからこそ、本物の温かみのある人柄が自然とにじみ出るのであって、付け焼き刃的な偽りの人柄は見透かされるのであろうと再認識させて頂きました。
人として生きる上で、大切な多くの事を学ばせて頂いたO先生との出会いに心から感謝申し上げます。