「医師として」メインタイトル
病気療養でブランクのある50代後半の医師、
改めて精神科医として挑戦する医師の転職活動とは?
 

第二十七話
体はまだやれると言っている(後)

 四 いやな予感
いやな予感
 面接が金曜日の夕方だったこともあり、週明けの午後くらいに合否の確認をしようと思っていたところ午前中に先方から着信が入りました。
 この時、すでにいやな予感がしたのを覚えています。今までの経験上、先方からの遅い返答と早い連絡はあまり良い結果ではないことが多かったからです。
 五 体調に不安があるのではないか
体調に不安があるのではないか
 返答は、「先週は〇〇先生のご紹介ありがとうございました。院内の検討したのですが今回は見送ろうという結果になりました。面接時と施設見学時に先生の手が少し震えているように感じてご体調に不安があるのではないかというのが理由です。」言葉を失いました。
 六 「薬の副作用かもしれないな」
「薬の副作用かもしれないな」
 体調の事をいち早く確認したい気持ちもあり、先生にはすぐに連絡して結果をお伝えしました。その際、手の震えの件も聞いたところ、「肝臓の病気は既に正常値に戻っていて、以前から高血圧の薬を服用しているのでその副作用かもしれないな。」とのことでした。私が事前に気づいて事情を把握し面接前に先方に伝えていれば結果は違ったんではないか?と自責の念にかられました。
 七 体はまだまだ動ける
体はまだまだ動ける
 そのとき、先生は「体はまだまだ動けると思っているし、老け込む年ではないと思う。今までやってきた精神科の分野で仕事を紹介してくれないだろうか?」とおっしゃいました。
 私の思い込みで負担の少ない求人をご紹介していましたが、先生のやりたいことや志は全く違ったのです。
 八 病気をしても強い気持ちで
病気をしても強い気持ちで
 必死になって精神科求人を探しました。県内で4件しかない精神科単科病院の中で1件だけ募集を見つけることができました。面接前にしっかりと先生のお身体の状態を伝え、誤解のないようにしたうえで満を持して面接に臨みました。
 人柄も認められて、結果は採用となりました。病気をしても気持ちは弱くならず医師として自分ができることを精一杯、求めていく姿勢に私は尊敬の念を抱きました。
 また一つ大きな経験をしたように感じました。
 
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