「医師として」メインタイトル
80歳 信念を持ち続け医師人生を歩む先生の転職活動とは?
 

第三十六話
80歳 医師の仕事はライフワーク(前)

 一、難航を極める勤務地探し
難航を極める勤務地探し
  私とT先生との出会いは、T先生から直接頂いたお電話がきっかけでした。

 80歳の内科医師。すでに退職をされており、ご自宅の近くでゆとりを持って患者様と向き合える療養病院での勤務をご希望でした。お電話でご希望を伺った後、早速T先生のご希望に合った求人の選定に入りましたが、やはり年齢面でひっかかってしまい、前向きに検討して頂ける病院は全くなく、やっと見つけても勤務内容が合わないなど、難航を極めました。
 二、方向性を変えて老健施設のご提案を
方向性を変えて老健施設のご提案を
 このままでは、具体的なご提案が一切出来ないまま時間だけが過ぎてしまうと思い、少々方向性を変えて老健施設のご提案をさせて頂くことを考え、T先生の希望エリアの老健施設を1つ1つ確認していきました。
しかし、どこも間に合っているや、高齢の医師はお断りの繰り返しで、求人を見つけるのは容易ではありませんでしたが、少しずつエリアを広げることでようやく1件のオファーを頂くことが出来ました。

 T先生とのご面談時に、ご希望の求人を探させて頂いたが年齢面の問題で検討頂ける医療機関が見つからなかった旨を正直に伝えたところ、想定内だったのか笑顔で一言「年だから仕方ないね」と仰り、私のことを労って下さいました。
そして、療養病院ではないですが、唯一オファーを頂けた老健施設があったことを説明させて頂くと、「私を求めてくれる患者さんがいるなら、病院じゃなくても応えてあげないとね」と、面接のご希望を頂きました。
 三、医師としての矜持を垣間見る
医師としての矜持を垣間見る
 その後、T先生は今迄のご経歴や医師として大切にされてきた事をお話下さいました。
目の前の患者を必ず元気にする!という信念を持って今まで医師をやってきたこと、これからもその信念を持ち続けて医師人生を全うしたいと考えておられること、また、医師の仕事はライフワークである為、元気で自身を求めてくれる患者さんがいるうちはとにかく続けたいと思っていることなど、当に医師としての矜持を垣間見せて頂きました。

 柔らかく優しい表情のT先生の口から語られた言葉は、非常に力強く、私の心に深く刺さり、「必ず先生がご活躍出来る場を私が見つけお連れ致します!」と反射的に宣言しておりました。それ程、T先生の言葉には強い気持ちがこもっていました。
 四、内定を頂くが事態は急変
内定を頂くが事態は急変
 翌週、老健施設の面接に臨み、先方の理事長、事務長からも好印象で、その場で内定を頂くことができ、T先生からも「お世話になりますので入職の手続きをお願いします」と仰って頂け、双方円満で話を進めることとなりました。

 ところが、思いもよらぬことで事態は急変することになったのです。
 
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