苛酷な環境からの脱出
2003年12月15日 コンサルタントO
20代後半のF先生は卒後医局に属さず民間病院グループに入職、内科医師として順調にステップアップされてきた。年俸は950万。非常に多忙な日々をおくられ、各種検査・症例数なども卒後5年目としては高いスキルを持っている。しかし代償に失ったものも大きかった。体力的にも限界を感じ、帰宅途中の運転中の記憶が無い事が度々起こるようになった。勤務においても、患者さんにさける時間は減少、ドクター1人当たりの負担の倍増など、苛酷な勤務体制。病院の掲げる理念とは逆行している内情に疑問を感じるようになり、このままでは自身が勤務中に事故を起こしてしまう危険すら感じるようになってきた。また上司も理解の無い方だったようで、温厚なF先生に負担を多く掛けていた様である。
私の提案は、まず通勤時間が短くなる事、当直を含めて勤務体制がしっかりしている事、今後の事を考えて専門外も指導してもらえる体制が整っている事。条件を満たしていると思われる病院にて幾つか面談。どの病院も先生の実績人柄を認めて大歓迎の姿勢で迎えたが、有る病院にあっさりと決定した。年棒、勤務条件等の細かい点を詰める前である。医師の独自採用が初めてのその病院は、院長以下、各科部長医長を揃えて院内を案内。F先生は若輩(先生自身の弁)の自分をこれだけ暖かく歓迎してくれる姿勢に打たれたとの事。
結局の所「人と人」である、細かい事よりも気持ちよく勤務できるかどうか、そこが決めてだったようだ。勿論病院側はF先生の希望以上の条件を提示してきた。年俸は350万アップの1300万となった。希望の条件が適い、且つ良い人に恵まれる、F先生自身の生活環境が大きく改善された良い転職だったと自負している。
完