なりたい医師像へのお手伝い
2004年01月15日 コンサルタントS
A先生は出身大学(国立)の医局に在籍しており、キャリアは8年。専門は呼吸器科で、医局から派遣された総合病院に勤務している。A先生が医療の道を目指したのは、幼少時からお世話になっているご近所の「お医者さん」の影響であった。
派遣先の病院に不満はなかった。しかし、毎日溢れるような仕事をこなしているだけの毎日に、「あせり」が生じてきた。自分がなりたい医師像に近付いているのか…、もうすぐ10年になるというのに、開業準備資金の蓄えもなく、専門以外の症例には自信が持てない。このままではいけない…。
私どもはA先生からの相談を受け、2つの点に留意して転職先を探すこととなった。1点目は、プライマリが勉強できる「地方の」クリニック。地域に一つしかない診療所では様々な患者が訪れ、いやがおうにも勉強できる。2点目は、将来の開業するための年収アップ。大学病院でのA先生の年収は、1200万円であった。
そこで、A先生の希望勤務地から少し離れた場所にある診療所を紹介することにした。この診療所は、A先生と年齢の近い院長が1人で経営している、地域唯一の医療機関である。過疎地域のため医師があつまりにくい状況であるにもかかわらず、患者が増え続けていた。そのため、院長1人での診療体制に限界が来ていたのである。
面接は診療時間の合間に行ない、お互いの診療に対する姿勢や条件を確認しあった。年収に関しては、今より大幅アップの1700万円の提示を受けた。A先生にとっては幼少時に憧れていた「お医者さん」に、一歩近付いたという実感が湧いたようである。現在、A先生は専門以外の診療は言うまでもなく、地域住民との交流など開業医に不可欠なものを勉強していると話す。
私どもは先生の入職を見届けて、少しでも「なりたい医師像」に近づけるようなお手伝いをしたいとの思いを強くしたのである。
完