ドクター転職ショートストーリー

ヘッドハンティング?(上)

2004年07月15日 コンサルタントS

O先生は出身大学の医局に属する40歳の消化器外科医。ご家族を福岡大牟田市に残し、約300キロ離れた行橋市にある病院で医長として勤務されている。収入は当直料込みの1500万で、これを忙しさに見合う真っ当な額だと思っておられたようだ。
 この病院は市の中核病院であり、三次救急まで担っている。そのため、休日も官舎での待機が求められ、家族の許へ帰るのは、月に1度あるかないか。こんな生活が3年も続き、3人のお子様とのコミュニケーションに支障をきたし始めていた。また、奥様に育児を任せ切りにしていることに対しても、強い自責の念を感じておられたようである。
 初めて先生とお会いしたとき、先生は開口一番、「家族の待つ行橋市内で勤務したい」。これが最大かつ唯一に近い条件で、その他の項目については、「常識の範囲内であれば、ほとんど受け入れられる」とのこと。正直なところ、複雑なオーダーが多い私どもの仕事から見れば、今回のご相談は簡単だと思った。

たしかに、市内の病院となるとその数は限られる。とはいえ、O先生は高いスキルを持ち、人柄も大変良い。きっと先生を必要とする病院があるはず…。しかし、そんなに甘い状況でないことがすぐにわかった。

次へ続く

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