ドクター転職ショートストーリー

使命感と家族とのはざまで

2005年06月15日 コンサルタントK

 F先生は、大学に入学したのをきっかけに故郷を離れ、卒業後もそのまま出身大学の外科医局に残り、医師として多忙な日々を送られていました。30代も半ばになり、医局内の位置づけも高まっていく中で、先生自身も「中堅として若干でも期待されている」と感じることもあったようです。
しかし、手術に関しては、なかなかメインで執刀させてもらえることが無く、このまま経験を積まずに年を取っていくのか、という不満を感じ始めました。そしてその小さな不満は、日を追うごとに大きな不安に変わっていったのです。
またプライベートでも、遠く離れた実家の両親が高齢になり、そろそろ長男として面倒を見なければならない時期に来ているという大きな問題を抱えていました。医師としての使命感と家族への気遣いとのはざまで、F先生はかなり苦んでいる様子でした。
問題解決のきっかけは、一通の相談メールでした。そこから半年以上に渡りメールや電話のやり取りをする中で、F先生は現在の勤務を離れ、故郷に戻って転職するという解決策を選択されました。

 結果的にF先生は、地域の中核病院にご勤務することになりました。年収は、1000万円から1500万円に上がり、その上、病院側の配慮で実家近くに住環境の良い広々とした住まいも用意されました。F先生はもとより、ご家族もご両親も満足されているようです。また不満の原因だった手術に関しても、指導いただける先生とともに精力的に執刀される毎日を過ごせるようになりました。
ただ、退職の申し出をされた際は、医局員の減少問題もあり、なかなか申し出を受理されず、つらい立場でご勤務を続ける時期があったことも事実です。しかし、これは全国どこの医局・病院にも共通することでしょう。F先生は、長年勤務した病院を去るというのは、思いのほかパワーが必要であると痛感しながらも、粘り強くご自身の意思を貫かれました。F先生の強い意志は、お世話になった方々や恩師にも通じ、今でもよい関係を続けられていらっしゃるとのことです。
F先生とは今も親交があります。元気なお声を聞く度にコンサルタントとして充実感を感じることができ、F先生との出会いに私が感謝する次第です。

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