ドクター転職ショートストーリー

長男として・・

2006年01月01日 コンサルタントA

 「今の病院に全く不満は無いのですが…」転職の動機を尋ねる私に、A先生は意外な言葉を返された。A先生は国立大卒40代後半の消化器内科医である。とにかく自分自身の技術の向上を図りたいと、各種検査、特に内視鏡検査の分野で症例が特に多いB病院に勤務し6年になる。消化器内科の医長を務めており、年収は1400万円。医局を離れて以来、自分の考えていた理想を追いかけ続け、忙しいながらも充実した日々を送っていたのである。
そんな折、地元に残してきたお父様が要介護状態となった。A先生は診療ばかりか役職に伴う業務で多忙を極めていた。お母様も病気がちで病院に通う毎日。A先生は色々考えた上で、長男である自分が地元に戻る決意を固めた。
幸い、A先生の実家から車で30分程の所に200床程の中規模で、これから消化器に力を注いでいこうというC病院があった。A先生に紹介したところ、専門性や症例数を考えれば今の病院には劣るものの、学閥も無く入っていきやすい。また、PETの導入を検討したり、新しい事に積極的に取り組んだりする姿勢があり、今までにA先生が積み重ねた専門的な手技にも理解が得られるのではと、面接を設定させて頂く事になる。

 当日、C病院の院長先生から「A先生の今までのやり方で、当院で治療して頂いてかまいません。足りない機材も症例数が増えるのなら即購入します」と、理解のあるお言葉を思いがけずA先生は頂いた。また、院長先生の人柄と医療に対する真摯な姿勢に大変感銘を受けたという。年収については、これまでの経験を高く評価頂き、1700万円の提示を受けることができた。A先生は迷わず即決され、「ありがとうございました。コンサルタントさんに間に入って頂いて、本当に良かったです。」と、非常にありがたい言葉も頂けた。私はこの瞬間の為に仕事をしているのだ。今回は本当に充実感のある転職のお手伝いになった。
  医師に限った話ではないが、「家族の問題」、「地元へ帰ること」は転職はおろか人生においても大きな岐路ではないだろうか。今回のような、医療機関にも先生にも双方満足頂ける提案や紹介を今後もしていきたい。

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