新たな婦人科モデルのために
2006年01月15日 コンサルタントK
B先生は40歳代前半の産婦人科医。これまで医局に所属し、大病院で勤務していた。
開業する年齢としては決して若くないうえに、近年の開業ラッシュによる競争激化もある。先生の同級生にも開業医が数人いるが、全てのクリニックが順調なわけではない。
それでもあくまで開業を考えるB先生。転職の要望は、美容皮膚科への転科であった。つまり婦人科で開業するに当たり、美容皮膚科の自由診療を取り入れることで、他院との差別化を図るという発想である。
そこで私は美容皮膚科のクリニックを探し始めた。しかし先生の年齢、転科という条件からは、あまり待遇の良い転職先は見つからない。何より問題になるのは年収である。B先生の場合、ご家族の生活費・ご自宅のローンの他に開業資金を貯蓄しなければならない。正直、「転科はお勧めできない」というのがコンサルタントの本音であった。
そんな中、1つの思いがけない案件が舞い込んできた。
全国に5店舗以上を展開する美容皮膚科クリニックが、首都圏にレディースクリニックを開業するという。彼らは院長(管理者)を募集していた。
この案件を早速B先生に話すと「婦人科院長としての傍ら、美容皮膚科の勉強ができるのであれば話を進めて欲しい」という回答だった。
先生にはこれ以上ないほどピッタリな求人で、私はお勧めできたことがとても嬉しかった。十分な年収が保障されるのに加え、週1,2回は他のクリニックで美容皮膚科の勉強ができる。また院長として新規クリニックの経営を経験することは、ご自身の開業の際には必ず役に立つに違いない。開業前にクリニックの運営にまで関わる先生は、ごく稀であろう。
B先生はレディースクリニックの院長として勤務する決断をした。全く新規のクリニックを立ち上げる以上、多くの難関が待ち受けていると思われる。だがそれらを乗り越えていくことが、先生自身の開業の際に大きな力となるはずだ。「婦人科&美容皮膚科」のビジネスモデル―――B先生に是非とも確立して頂きたい。
完