医師として、家族の一員として(下)
2006年06月01日 コンサルタントC
D先生は、外来の数をこなす事だけでは、患者さんを『物』として扱うことになり、患者さん一人一人の考え方・価値観に対応して医療の側もジックリ時間をとって丁寧に対応できる医療機関で働きたいとの事であった。もちろんコスト意識を持った上での考えである。また先生には時間的な猶予もあまりなかった。義母が介護疲れで体調不良を訴え始めているのだという。
私は先生の自宅になるべく近いところで、しらみつぶしに求人をだしている診療所を回った。特に時間的な条件で難航したが、ようやく10日ほどして2つのクリニックを提案した。
1つは自宅から25分と好立地であり、年俸のアップも見込めるAクリニック。もう1つは患者・スタッフのアットホームな環境が自慢のBクリニックである。私は早速両方との面接をセッティングした。
年俸に関してはどちらもアップが見込めるものの、Aクリニックの方が好条件である。しかしD先生が選んだのはBクリニックであった。
「最初、アットホームなクリニックと聞いた時は、あまり期待していませんでした。雰囲気も確かに大事ですが、医師としての哲学こそが必要だと思ったからです。でも院長先生のお話を聞くと、患者さん個々に十分に時間をとって、しっかり向き合っているのが判りました。ここなら患者さんに喜んでもらえる仕事ができると思ったのです」
こうしてD先生はBクリニックに就職。時間的にも融通を利かせてもらえるとのことで、家庭のサポートも心配が無くなった。結果的に年俸も週4日勤務で1,200万円から1,400万円にアップした。患者一人一人と真摯に向き合う医師として、また家族の一員としてD先生の新生活がスタートした。
完