還暦を迎えての決断・・(上)
2006年09月01日 コンサルタントA
現在週2回、クリニックにて非常勤としてお勤めになっている60歳のK先生。東海地方の国立大学をご卒業され、内科医として医療に携わって35年。ご自身で開業された経験もお持ちである。
K先生には、患者の疾患を診ながら永年悩んでいたことがあった。
様々な不調を訴える患者の中には、精神的ストレスなどが起因となっている患者もおり、そのケースは意外と多いということだ。
過去には、神経症を患って入院した患者もいた。「自分は医師でありながら、苦しんでいる患者を前にして何もできない。これでよいのだろうか。」と悩んだ末、 K先生は精神科への転科という選択をされたのである。
年齢のことも考え、当初は精神科・内科を標榜しているクリニックで日勤のみの非常勤勤務、不定期で精神病院での日当直勤務をされていた。
しかし、1年ほど経ち、勉強を重ね、様々な症例を診る中で、『精神保健指定医』の資格取得という新たな目標ができた。
だが、現在の勤務体系では指定医の条件である症例数には届かない。そこで今回転職先についてご相談頂くことになった。
K先生のご希望は、資格取得の為の症例が豊富な病院である、という点が最大のポイントであった。
これまでは、内科のご経験をかわれ老人患者を診ることが多かったので、児童思春期精神障害以外のケースレポートについては概ね完成しているとのことであった。
しかし、全国的にも児童思春期の症例自体が少ない。更に、先生には措置入院を含む統合失調症のケースレポートも1例足りていなかった。そこで、東海地域の中核的な精神病院全てに各症例数の聞き込みをすることから始めることにした。 各病院の特長により得意とする症例に偏りがあったものの、児童思春期の症例については共通して少なく、なかなか芳しい返答を頂けなかった。
しかし、とある病院の事務長と話をした際、各症例ともに相当数をこなし、東海地方全域より患者を受け入れている300床クラスの精神病院の話を耳にした。
早速、その病院に電話を掛け症例数を確認してみると、確かにどの症例についても他の病院よりも圧倒的に多く、最大の問題点であった児童思春期の症例も充分な数を誇っていた。 求人の状況をお伺いすると、忙しくて手が足りていないので是非お願いしたいとの返答を頂いた。
そこで、即日K先生に報告し、日程調整後に面接という運びとなった。