ドクター転職ショートストーリー

内科医としての使命(上)

2007年01月15日 コンサルタントO

 今から3年前に当社にエントリーをされた51歳の内科医H先生がいた。H先生は東京の私立大学を卒業され、大学病院、医局より派遣された民間病院勤務を経て、実家である九州に帰省されたのち、大学の先輩の紹介で内科医として年棒1,200万円で民間病院へ転職された。この病院でのご勤務は外来患者がメインであったが、一日の外来数も平均5名程度だった事、検査もほとんどなかった事で、先生としてはやりがいを感じられない日々を送られていた。私は先生にお会いして先生の持論『内科医としての使命』を聞く機会に恵まれた。内科医は初めての患者を診ることが多く『いい加減な検査をしたり、検査で症状を見落とした結果、大事に至る事になる。風邪をひいて来院した患者に薬だけを渡して、それで診察が終わったと思っている医者でありたくない』と医者は患者第一に考えるべきだと訴えるような顔で言われた。また、先生は九州の大学を卒業されていないために九州での転職で学閥・派閥で苦労されており、学閥にしばられていない病院を希望された。

 私は今まで先生が磨かれたスキルを十分に把握し、先生がご納得いただける病院を紹介させて頂く事、先生の希望を実現できる病院を紹介する事がコンサルタントの仕事ですと伝えると、先生は今日初めて会った私に長々と話しを聞かせた事、聞いてもらった事に感謝してますと言われた。転職の相談と言うよりも内科医にかける意気込みを感じさせられた1日であった。いよいよH先生の転職支援を開始する。私はまず、先生のご希望に沿った病院を頭にイメージした。外来が多い病院、クリニック院長職等初期診断を中心にスキルを活かせる病医院、院長・常勤医師が地元の大学出身者に集中していない病院、にポイントを置き、先生に提案する病医院を3つに絞った。また先生に紹介する前に候補としてあげた病医院を徹底して訪問し、何故募集をしているのか、どのようなスキルをお持ちの先生を希望されているのか、常勤・非常勤医師の状況等を再確認した。そして先生に報告をすると、是非、3病院とも面接に案内して頂きたいとのご返事であった。

次へ続く

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