ドクター転職ショートストーリー

本業回帰(下)

2007年05月01日 コンサルタントN

 ケアミックス型の中規模病院であるM病院の面接日は2月半ばだった。 F先生のご勤務後に病院を訪問するという設定だったが、院長先生は外科医で日中はとても忙しいので、そのほうが助かると快く承諾された。夜九時を過ぎての面接だったが施設内も丁寧にご説明頂いた上で、F先生は現状を素直に話され、4年も現場を離れているので自分に出来るか不安であることを告げられた。

F先生のプロフィールに話しが及ぶと、院長先生と同年齢であること、院長先生も小学校低学年時代にF先生のご自宅近くに住んでいらっしゃったことがわかり、さらに小学校が同じだったことが判った。生徒数が多かった為記憶には残っていなかったが、それからの話しはスムーズになった。院長先生は「慣れるまでは外来も調整しながら健診や病棟管理中心でも構わないし、また一から覚えていけば、まだまだ20年は現役ですよ。」と心強く言われた。

 また病院経営の現状についても話され、療養型病床の縮小で淘汰される病院の多くは外来が少ない病院であること、医師の中でも療養型病院の病棟管理とか老健施設の管理医師では勤務医として成り立たない時代が来るのでは・・・とはっきりと言われた。コンタクト販売店併設クリニックのご勤務で1,800万円も年俸を貰っていらっしゃることにも驚かれ、「年俸が下がることは確かですが、長い目でみれば先生の選択が間違っていなかったことは保証します。この病院でいっしょに頑張りましょう。」と励ましの言葉を頂いた。 

 それから何度かのやりとりを経て、やっと暖かくなった3月末に契約までこぎつけた。コンタクト販売店併設クリニックの契約が満了する5月1日入職で、当初の年俸は下がるものの、半年後の昇給をオプションに加えた契約だった。

 時代に応じて人気・不人気の科目があり、例えば小児科医や産婦人科医が足りないという昨今には、その理由があるからだろう。しかし医師には「定年」がなく、70代、80代になっても現役でご活躍の先生がいらっしゃることを考えると、本業に帰られたF先生の選択は正しいと言えるのではないだろうか。これからのF先生のご活躍をお祈りします。

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