ドクター転職ショートストーリー

『ワーク・ライフ・バランス!』

2008年02月29日 コンサルタントK

 『女医』 この言葉にどのようなイメージを持たれるでしょうか?

 今多くの女性医師が第一線でご活躍されていらっしゃいます。
私が、今回都内でお会いしたT先生も、最初はそのような現場でバリバリ仕事をされていらっしゃる方だと想像して、ご指定の面談場所へ向かいました。
 T先生は私立大学を卒業された40歳。小学生のお子様もいらっしゃる勤務医です。お会いした当時は、消化器科を担当されている医師の一人で、その時勤務されていた病院の中で唯一の女性医師でした。
 今回の転職の理由を伺っていくと「病院の業務には何の不満も無いのですが、女医が一人なので・・」とのこと。
 詳しく伺うと、そもそもは子育ての理由から「日勤のみ」という条件で入職されていたとのことで、勤務年数を重ねていくうちに、「医局内に女医を特別扱いしているのではという雰囲気を感じるようになって、居づらくなってきたんです・・本当は違うのかもしれませんけど・・」と、切実に話されました。
 続けて、「女性医師は親切という思いからか、同じ処置を施しても男性医師よりも評価が得にくいんです。」と、思いを伝えてくれました。

今回の新たな勤務先の条件として、
(1)女医を意識しない職場
(2)収入の維持
(3)内視鏡の専門医を取得しているので技術レベルの維持
(4)日勤
と、優先順位をつけてもらいました。

 この全てを満たすことは困難であることを伝えつつ、都内の病院を中心にアタックしていきましたが、希望に叶う求人は無く月日は過ぎました。

 とある日、私は病院では無理だ!と判断し、都内の診療所へダイレクトメールを発送することにしました。すると、発送して三日も経たないうちに反響の電話がありました。それは、T先生の探されていた条件にほぼマッチする求人で、内視鏡担当の先生が開業のため退職するので、代わりの先生を紹介してほしいというHクリニックからの電話でした。
 早速、T先生に打診。すぐに面接の運びとなりました。

 Hクリニックの求人は、T先生の条件(1)、(3)、(4)は満たしていましたが、(2)は満たしていませんでした。年収が、1200万円から1000万円にダウンするのです。そうこう話をしている中、院長先生より「内視鏡検査の基本人数を決めて、それを超えた分は歩合で払いましょう。収入は頑張り次第です。」
 これで、優先順位で唯一残っていた収入の問題も、クリアできたのです。T先生の気持ちは決まりました。

 入職して半年ほど経ったころに、私はHクリニックを訪問しました。
 久しぶりにお会いしたT先生は、「周りを気にすることなく医師としての仕事に集中できるので気持ちが楽です。自分の時間も大切に、女性医師としてバランス良く働きがんばっていきます」と、満面の笑みで語っていただけました。

 『女医』 仕事も大切にしたいけれども、暮らしも大切だから時間も必要になる。
 『バランスを取る』ということは、医師という職業に限らず働く女性の理想ではないでしょうか。簡単そうで難しい今回の転職のお手伝いをさせて頂けた事が本当に光栄で、T先生の満面の笑みは今でも忘れられません。これからのT先生の、『女医』としてのご活躍を祈念するばかりです。

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