ドクター転職ショートストーリー

仲良し夫婦の転職(下)

2012年4月1日 コンサルタントT

面接当日、老健H側の理事長と事務長に迎えて頂き、内容はもう入職が決まったかのような雰囲気で進められた。そして施設内も案内して頂き、面接は無事終了した。面接終了後にK先生の心境を伺うと、非常に前向きなお考えだった。しかしご希望の年俸が確実に出るのかどうか、そして現職先の退職時期について心配されていた。退職時期については早急に確認して頂けるようお願いし「勤務条件については我々にお任せください」と約束した。

後日、K先生が心配されていた事が、現実に起きてしまった。老健Hからの入職日の希望は、約2ヶ月後の来年1月。K先生は「たしか退職の申請は1ヶ月前となっているので、1月入職で大丈夫でしょう」と面接の場で話されていた。しかし実際、K先生が退職申請を行った際、現職先より「K先生は年間契約を結んでいるから3月末までは居てもらわないと困る」と、強く引きとめられたとの事だった。慌ててK先生の元へ向かい、K先生が現勤務先と交わした契約書を拝見させてもらった。そこには1年毎に契約更新・及び契約中における自己都合による退職は、違約金が発生すると記されていた。K先生は「4月入職まで、老健Hは待ってくれないですよね・・・」と諦めかけていた。実は先生の元へ伺う前に、老健Hへ先に連絡を入れ「入職時期を延ばせるかどうか」を確認していた。しかし老健Hの回答は、もう一人の候補者が1月入職を希望されている為、難しいとのことだった。私は諦めかけているK先生へ、労働基準法に沿って今までにも退職について悩まれた先生方の経験談を説明した。「K先生が意思を強く持ってくだされば、大丈夫です。現職先も分かって頂けるはずです。諦めないでください」と何度も説得した。

翌々日の夜、K先生の奥様よりお電話を頂いた。「聞いて、聞いて!12月末退職で正式に受理されたんですって!」と、とても嬉しそうな声で話され、そしてK先生に代わり「お騒がせしました。無事12月末で正式に受理され、引越しの日程等も決まりました。老健Hへお伝え頂けますか?」と、安堵の口調で次から次へと決定した予定を教えてくださった。そこで私はK先生に、老健Hが既に宿舎を探していた旨を伝えた。

実は、老健HはK先生にご勤務して頂きたいという気持ちが強く、駅前付近のマンションが良いか、施設になるべく近い方が良いかなど、K先生から返事があったら、すぐに手配できるように準備をされていたのだった。老健Hの対応にK先生は驚き、何度も感謝の言葉を口にされた。 K先生との契約書に押印を頂く為、K先生のご自宅に訪問した。雇用契約書には、土日祝日休みの週5日勤務、年俸1,500万円と記載されており、K先生の希望通りの内容となった。無事契約書に押印を頂き、話題は宿舎へ移った。

K先生が選んだ宿舎は駅と老健の中間地点に近く、老健までは徒歩20分程のマンションだった。その物件を選ばれた理由として、奥様は専業主婦をされている為、普段はあまり外に出ることがなく、運動不足になるのを気にされていた。そこで現勤務先のN県へ来られてからは毎日K先生が出勤される際、一緒に車に乗って勤務先までついて行き、奥様は歩いて帰る。退勤の際も同じく、歩いて勤務先まで迎えに行き、一緒に車で帰宅されていた。もちろん今後も続ける為に、老健まで徒歩20分程のマンションに決定されたとの事だった。

K先生は「本当にお世話になりました」とおっしゃった後、同じように転職を検討している知り合いの先生をご紹介してくださった。既にその先生にはリンクスタッフの事を伝えており「その内、先生から連絡があると思うから、僕と同じ様によろしくね」と最高の笑顔で見送って下さった。

先生へ初めて電話をしてから、約1ヶ月という短さでの転職決定。この背景には、K先生及び老健H、両者の迅速な対応のおかげである、併せてご夫婦の仲良さが、話を更に加速してくれた。迅速な対応の裏には「相手への誠意」が込められている。これからも色々な先生の力になれるよう、私も負けないくらいの誠意を持って取り組んでいきたい。

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