医師として、母として(下)
2012年7月1日 コンサルタントT
R先生に話を伺うと、まだ阪神間の病院には最終返事をしていたわけではなかったが、私が受け取った印象では、半ば強引に諦めたように感じとれた。というのも、R先生と面談した時に、消化器内科医として専門性がある勤務を望まれていたことは十分に伝わっていたし、外科胃腸科A病院はまさにR先生の希望通りの病院だった。
そこで、R先生に決め手となったポイントについて伺ったところ「リンクスタッフさんが紹介してくれた外科胃腸科A病院は、経鼻内視鏡の他に、超音波やバルーン内視鏡まであったし、Narrow band image(NBI)や拡大観察ができるスコープが付いていたりして設備が充実していましたよね。問題は託児所だけです」という答えが返ってきた。
やはり、R先生は健診をメインとした内視鏡検査を希望されているのではなく、母として院内託児所がある健診メインの医療機関を選択せざる得ない状況だと解った。
その後私は、R先生に託児所を探す為2日程時間を貰い、早速A病院の周辺の託児所に一件ずつ電話を入れた。しかし、4月という時期もあり、全て順番待ちの状態だった。
託児所の空きがなく困りはてていたら、隣の席の女性社員が「ベビーシッターサービスはどうですか」とアドバイスをくれた。当社ではベビーシッターサービスを専門としている「ママMATE」という企業と提携しているので、R先生にご案内した。
翌日、R先生から電話があり「メール見ました。自分の子供はできるだけ他の子供達と接する機会の多い託児所に預けるのが理想だけど、リンクスタッフさん経由でこの会社に頼めば割引もあるし、3ヶ月くらいはベビーシッターサービスを利用しようと思います。そして、その間に良い託児所を探すことができますし。それから、リンクスタッフさんが紹介してくれた外科胃腸科A病院に決めました」との回答だった。
最終的な労働条件は、週4日勤務で、年俸は当初の希望より100万円アップの1,300万円、外来と内視鏡検査がメインの勤務内容となった。
今回、R先生を担当させて頂くに当たり、現在の日本の医師不足(偏在化も含めて)の原因と言われている女性医師の増加について、子供を持つ女性医師をバックアップする色々な支援が必要であると痛感したと同時に、医師としての医療に対する良い意味での拘りを感じた出会いだった。
完