ある心臓血管外科医の決断(上)
2012年12月15日 コンサルタントT
A先生は46歳、近畿圏の国立大学をご卒業後、医局人事により総合病院で心臓血管外科医として、急性期医療の最先端でお仕事をされておりました。お忙しい合間にインターネットをご覧になった際に弊社のe-doctorがお目にとまり、エントリーをして頂きました。早速、A先生に電話を入れ、ご面談の機会を与えて頂くことになりました。非常にお忙しい方でしたが、ご勤務先の近所の喫茶店で夜の8時頃にお会いすることができました。
昨日、冠動脈バイパス手術を行われたこともあり、かなりお疲れのようでした。先生のお話によると、この手術を施した患者さんが数パーセントの確率の脳合併症を起こしたとのことでした。幸いにも先生の適切な対応で大事に至らなかったようでした。
A先生は、「もちろん、最初から合併症を起こすような手技で手術することはなく、今まで培ってきた自分自身の経験、知識をすべて投入し、最善を尽くして手術をするんだけど、それでもこんなことが起こるんだよね。」
「僕も心臓外科医になって約20年が過ぎたが、やりがいのある仕事であったことは事実だ。ただ、手術以外に救急患者の対応などもあって、家族と過ごす時間が殆ど無い状況だった。先週の日曜日は休みで、久しぶりに中学生と高校生の息子たちと話したら、自分の知らないうちに子供は大きくなってるんだよね。 体力的なこともあるが、子供たちと一緒に過ごせる時間が取れる環境で仕事がしたいね。」と本音を吐露されました。
私は、以前にも心臓外科医をお1人転科させた経験があり、その際の経験を基に、美容外科の求人を提案しました。また、脳神経外科医の先生で眼科に転科された先生のお話もさせて頂いた。
A先生のご反応は、「確かに僕の知り合いで、医局を飛び出して美容外科のクリニックの院長をしている者もいるが、あまり関心は無いね。眼科は白内障や緑内障の手術には関心があるが、どこの病院で手術の研修をしてもらうか問題だね。私が通える範囲の眼科の専門病院は同じ出身大学の関連だから気が進まないね。他に求人案件は無いの? 無いのだったら、僕も疲れているんでもう帰るわ。」という感じで、A先生との初面談は不本意な結果に終わりました。
先生との面談が終了後、ご面談のお礼と、透析専門病院の求人案件をご案内する旨のメールを先生に送信しました。またピントのずれた案件をご案内してしまったかなと思っていましたが、直ぐにA先生から届いた返信メールの内容は意外なものでした。