限界への挑戦(下)
2013年12月01日 コンサルタントS
A先生からご連絡を頂く前の今年6月上旬、私は老健施設Bの事務長より、施設長を募集しているので、ご紹介頂きたいとのお電話を頂きました。内容は、『今の施設長が79歳と高齢の為に、75歳位までの先生と入れ替えを希望する』ご依頼でした。募集条件は、平日週5日で年俸1,200万円、老健施設Bは最寄り駅からも遠く、グループ本体の病院からも遠い畑の中という立地環境の為に、事務長も短期間では後任の先生は見つからないとのご認識をお持ちでした。
その後、具体的な候補の先生が現れないまま、8月の下旬となり、再度、老健施設Bの事務長よりお電話を頂きました。
入れ替えを検討していた79歳の施設長が、前回お電話を頂いた直後の6月下旬に急逝されて、施設長の募集は急募となったとの内容です。施設長が管理医師の為、年俸の増額も検討するので、何とかして先生をご紹介頂きたいとのご依頼でした。
私はA先生からお電話を頂いた9月3日に、老健施設Bの事務長へご相談のお電話を致しました。「老健施設でのご勤務をご希望の先生からご連絡を頂き、明日ご面談頂く予定です。当社でも初めてご連絡を頂いた先生ですので、詳細は不明ですが、直ぐご勤務可能で、ご年齢は84歳です」
施設長急募とはいえご年齢的な不安はありましたが、事務長からは「先生のご健康面など、明日お会いするSさんが問題ないとご判断するなら検討可能です」とのお返事を頂いておりました。
A先生ご面談時に、老健施設Bの事務長へご報告の電話をしました。
私は「糖尿病の為、インスリンの皮下注射をしている以外はご健康面に不安は無く、会ってご判断頂きたい」とお伝えして、翌日の9月5日に老健施設へA先生をお連れしました。
事務長からも、A先生のご面談時のご対応と、施設内見学時のご対応から『84歳とは思えない』とのご判断を頂き、ご入職が決まりました。A先生は、老健施設Bの管理医師不在の状況にもご配慮頂き、自宅から1時間強で通勤可能な立地でもあった為、ご勤務開始は翌日の9月6日となりました。
日増しに寒さが身にしみる季節となりましたが、A先生は『自分が医師として必要とされ、働ける限りは、一生働きたい』との熱い思いで、今日もご自身の限界に挑戦されております。
完