受け継がれる思い(上)
2014年02月15日 コンサルタントS
クリニックの開業医の多くが、後継者について何らかの事情を持っていると思います。
将来的にお子さんが継ぐ事を前提として開業する先生、後継者がいなく継承を考える先生、継承も難しく閉院せざるを得ない先生など、その事情も様々です。今回は、急遽後継者問題に直面したクリニックのお話です。
整形外科のAクリニックは、都心から1時間のベットタウンに立地しており、開業から約20年を常勤医は院長お一人で診療されているクリニックです。当社でも定期非常勤やスポットでの取引を普段から頂いておりました。昨年春から常勤医の募集案件をご相談頂いておりましたが、8月には募集内容が、院長募集へと変化しておりました。そして10月に一本のお電話を頂きました。
法人理事を務める奥様からのお電話で、私は先方とお話をするのは初めてでした。
院長先生は50代でしたが、8月に急逝されており、後任の院長を急募されている非常にお困りの状況にありました。詳しいお話をお聞きする為に、翌日先方へ伺いました。
Aクリニックでは8月院長急逝後、一旦は古くからアルバイト勤務していた先生に管理医師をお引き受け頂いておりました。しかしながら、その先生も出身医局の関係で来春からは大学関係の勤務が始まる為、年末までの約束でご勤務されている状況でした。
院長職募集は、来年1月に勤務開始と、10月時点では非常に厳しい内容でした。
先方には、医大生の御嬢さんが1人おりました。
院長ご健在の時から将来は、女性なので皮膚科、耳鼻科、眼科等の科目に進むつもりで、親子共考えていたそうです。その為、院長がお亡くなりになる時に、奥様はAクリニックは閉めようとお考えになっていたそうです。しかし、御嬢さんからはその時に、『将来は自分が継ぎたい』との申し出が有ったそうです。父が、長年地域に密着して築き上げて来たAクリニックを引き継ぐ為に、自分は整形外科医になるとの決断をされたそうです。