ドクター転職ショートストーリー

1年越しの転職(下)

2014年09月01日 コンサルタントH

12月に入り、患者様は増え、T先生はさらに疲れ切っていた。年俸の条件を下げてもいいので探してほしいと。

そこで渋谷にある療養型の病院を紹介することになった。T先生の自宅から30分ほどの距離の綺麗な病院でした。

面接は滞りなく終わったが、先生としてはやはり踏ん切りがつかなかった。

というのも学長より、クリニックでの勤務を紹介されたとのこと。無下に断ることも出来ず、同時に話を進めていたところ、先生としても判断が出来なくなっていたのだ。

T先生はこのまま転職しないのではないかという考えが自分の頭に浮かんでくるようになった。

もう一度、T先生の方向性を確認する為に会って話をする必要があると思い、T先生に時間を作ってもらうことにした。

新宿のルノアールで夜の21時。

開業をすることも含めてクリニックでの勤務を検討したいという、想定していなかった言葉が先生の口から出てきた。

更にT先生に話を伺うと、とある医療法人が継承物件を買収する予定があり、そこの院長として勤務しないか?という内容の話があるということ。だが買収が思うように進んでおらず、当初の話とは異なる部分が多く出てきてしまい、その医療法人のことを信用が出来なくなってしまったということなのだ。

そこで、私も方向転換し、先生のご自宅からも近く、新規で内科のクリニックの分院を開業する医療法人をT先生に紹介することにした。

提示した年俸や時間帯など、T先生が想像していた以上に勤務条件が良かったということもあり、T先生は半信半疑で話を聞かれていたようだ。

どちらにしても一度訪問するしかない。

T先生の背中を押し一緒にクリニックに訪問することになった。

理事長先生はT先生と同学年で、診療方針なども話し合った結果すぐに意気投合した。
ただ、入職してもすぐに辞めてしまう。新規クリニックの院長ということもあり、それだけは避けたいということで念のため一度勤務をしていただくことになった。

トライアル勤務が終わりその日のうちに理事長の携帯電話に荷電した。「素晴らしい先生を紹介してくれてありがとう」私の心がふわっと軽くなるのを感じました。

そこでT先生にすぐさま電話した。

「お疲れ様です。今日はどうでした?理事長がT先生の診療が素晴らしいのでT先生が勤務されるのを心待ちにされていますよ。もうここで決めましょう」と。

T先生も「普通にしてただけなんだけどな。わかりました。お世話になると伝えてください。」

と快くこの新規クリニックへの入職を決定して頂いた。

週4.5日で年俸2000万円。

呼吸器内科としての専門性は維持するために、新規クリニックでは専門外来も持たせてもらえることになった。

外勤することで幅広い知識も身に着けることが出来るという理事長の考えもあり、今まで勤務していた非常勤先も継続できるように日数の配慮もしていただくことが出来た。

実際にT先生にアプローチをしてから1年と2ヶ月。

今までの急性期病院からクリニック勤務への転身だが、T先生はご自身の新たな出発を晴れやかな顔で迎えられている。

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