ドクター転職ショートストーリー

寄り添うということ(上)

2016年6月15日 コンサルタントK

私がコンサルタントとして初めて担当しましたY先生は、40歳半ば、消化器内科の先生で、寡黙ながら、医療に対しご自身の信念をお持ちの方でした。

先生がご転職を検討された理由は、当時の勤務先であったクリニックにて、外来人数が多く、医師もコメディカルも手一杯の毎日。スタッフ同士、ギスギスした雰囲気の職場環境のなかで、Y先生が信念とする「患者さんと向き合い丁寧な診療をする」ことができないことに苛立ちを覚えつつも、激務を慌ただしくこなさなければいけない毎日に疲弊されていらっしゃいました。
また、通勤時間が1時間以上もかかり、こちらもストレスの要因となっているとのことでした。

Y先生は以前から「e-doctor」にご登録いただいておりましたが、当社からの転職実績はございませんでした。近況をお伺いさせていただくために架電をしたことがきっかけで、面談の機会を頂きました。
Y先生は、寡黙な方で、こちらから質問したことに対しての回答以外、余計なお話はされない方でした。
しかしながら、現状の環境から少しでも早く抜け出したいという気持ちが強く、前述のお悩みを聞かせていただくことができました。
初めてコンサルティングを行う私は、「医師人生を左右する大役を自分に担えるのか」と不安を抱えておりましたが、Y先生の医療に対する信念と現状から早く抜け出したいというお気持ちを受けたことを機に、不安が使命感へと変わりました。
「Y先生にご自身が持つ信念の医療に従事いただきたい」そんな想いを胸に、私は、先生の気持ちを理解すべく、より掘り下げたご要望をお伺いしました。

先生のご要望は大きく分けて3つ。
・患者さんと向き合いしっかりと診療できる医療機関(クリニック)で働きたい。
・内視鏡のスキルの維持及び向上を図りたい。
・ONとOFFを明確にし、お子様と接する時間を確保したい。

実は、先生には小さなお子様がいらっしゃいますが、平日は多忙で、土曜日も仕事だった為、まともにお子さまとの時間も持てない状態でした。

先生のご要望を叶えるためには、勤務条件を明確にする必要があります。そこで私は、先生に対し、以下の勤務条件を提案しました。
・患者目線で診療する体制のクリニック(経営者と会って話をする)。
・スキルの維持及び向上を図る為、内視鏡検査機器(オリンパス製)が整備されていること。
・お子さまとの時間を確保するため、超過勤務が少なく、土曜日、日曜日、祝祭日が休みであること。
・現勤務先よりも近く、アクセスがよいところ。
・年俸が現状維持以上。

これらの勤務条件に的を絞り、Y先生のご要望を叶えるクリニックを探したところ、いくつか候補を挙げることができました。そのなかには、私が特におすすめしたいクリニックもあり、きっとご満足いただけると自負していました。

後日、ピックアップした求人をご提案するため、先生と二度目の面談のお時間を頂戴しました。
しかし、私が期待した先生の反応は真逆で、提案した求人は全て断られてしまったのです。

次へ続く

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