夢では無く“現実”です(下)
2016年09月01日 コンサルタントN
面談から面接までの1週間、毎日の様に先生と連絡を取りました。勤務内容に対しては病院の実績からも心配はしていませんでしたが『医局の事』、『紹介会社を使っての転職の事』『49歳で転職をする事に対する先方への印象の事』など、先生は常識のある方故に、ご自身の置かれている立場に不安を募らせている事が大変伝わって参りました。私はそう言った先生の『想い』『人柄』を包み隠さず病院へ伝えました。結果、病院にも先生の『実直』な性格を直ぐに掴んで頂き、感じ取って頂く事が出来ました。
面接当日、先生は院長を前に張り詰めていた糸が切れたかの如く、一心不乱にご自身の経歴、転職理由などについて話されました。そして最後に『49歳になって紹介会社を使って転職する事』に対し深々と頭を下げられました。その先生の話し方、人柄、実直さが改めて院長に伝わり、その後院長より病院の現状などについてお話しを頂きました。院長のお話しに対し先生は随所に質問され、初対面ではありますが意見交換含め、コミュニケーションをしっかりと取って頂き、非常に良い雰囲気で面接は進みました。
面接も終盤に差し掛かった頃、院長より驚きの提案がありました。それは先生に「是非『副院長』として来て頂きたい」と言うものでした。院長は、「面接にて先生の人柄を直に感じ、医療に対する考え方を聞き是非お願いしたいと思いました!」との事でした。さらに院長より先生が不安に思われていた『医局のしがらみ』に対し、①「そう言ったものは無いが付き合いのある医局には事前に話しを通す事」②「病院内でも事前に議題に出し周知する事」をお約束して下さり「安心して入職して下さい」と告げられました。
その院長のお言葉に恐縮し、戸惑い気味のご様子の先生でしたが、院長の度重なる『説得』に感激された先生は「是非お世話になります!」と進言されました。同時に「いつから勤務をさせて頂ければよろしいでしょうか?」と院長に問われました。院長からは「早ければ早いほど助かりますが・・・そこは現勤務先様と話し合いをして頂き、円満に退職して下さい」とお伝えになられました。
さて面接終了の翌日からは時間との勝負となりました。それは先生が現勤務先様に退職の意志を告げられ『家庭の事情』にて早期退職の承諾を頂く事が出来た為です。先生からは「院長からの申し出の通り、少しでも早く入職する事が出来そうです。」「有給消化も含めて1か月後には退職する事が決まりました!」「スムーズに入職出来る様に進めて頂きたい」とのお申し出を頂きました。併せて「もう後戻りは出来ないが本当に副院長として入職できるのか?私はそこに拘りは無いので院長に無理だけはしないで欲しいと伝えて下さい」とも仰せつかりました。
現勤務先の退職が決定したのは、先生との面談から12日後の事でした。
この早期のご決断は先生のご家族への想いが強い事を物語っており、その想いを実現するにあたりこの度の病院が先生にとって非常に魅力的であった事と、院長と先生が初対面で意気投合した事、そして何より院長からは力強いお言葉を多々頂けた事、この全てが揃ったが故に実現した事だと思います。
先生から退職が決まったとの連絡を受け、病院の事務方とは入職に向けて雇用契約書の締結を行う為の詳細の詰めを行う日々が始まりました。期限が決まっていた為、先生にも都度報告し、相談し、承諾を頂き、10日後に契約の締結が完了しました。
丁度契約締結と同時期に事務方より、「院長が付き合いのある医局に対し事前に話しを通され、病院内でも周知が完了した」との連絡が入り、先生は大変安堵されました。
先生からは「始めて紹介会社を使うので、当初はどこまで信頼し、お任せすべきか分かりませんでした。そんな心配をしり目に、話しがどんどん進み、細部に渡り調整して頂きましたが、契約書を交わすまでは常に疑心暗鬼の念を抱いておりました。失礼な発言も多々あったと思いますが、こんな短期間で最高の転職が叶った事に心から感謝致します」とのお言葉を頂きました。
紹介会社を使う事に非常に不安な気持ちでいた事は当初から伝わっていましたが、改めて言葉にしておっしゃられた事で、単に求人のご提案だけで無く、不安を如何に解消する事が出来るか。先生のお気持ちを察し、代弁し、求めている方向へ導く事が出来るか。その全てが必要だと言う事を再認識しました。
先生のお言葉にも『疑心暗鬼の念』との発言がありましたが、恐らく『こんな美味しい話には必ず裏がある!?』との思いにもなられていた事と思います。
『裏』と言う事は一切なく、4年ぶりのご家族揃っての団欒も現実であり、その現実を大いに満喫し、新天地において大変ご活躍されている事と思います。
完