ドクター転職ショートストーリー

1年越しの転職活動(下)

2016年12月01日 コンサルタントH

A先生は、入院中もご家族の生活のことを考えて、次の就職先を探しておいてほしいと依頼がありました。
しかし、いつ退院できるのかはっきりしない状況で探すことは至難の業と覚悟しておりました。
入院期間が長かったことを考え、私は、先生にリハビリを兼ねて、少し違う目線で「介護老人保健施設」でのご勤務をご提案致しました。
A先生も社会復帰をするにしても、従来と同様の動きは出来ないことを感じられていたご様子でしたので、私からの申し出に同調頂きました。
私は早速、常日頃好意にして頂いていた社会福祉法人の理事長にA先生の状況を説明すると「会ってみたい」と即面接の機会を頂けました。

面接時、A先生はもう次はないというお気持ちからか、いつもより増して、明朗快活にご対応され、こちらの施設でも即採用となりした。

ひと安心したのも束の間、ご入職後2週間が過ぎたころ、A先生から「理事長との考えが合わないので辞めたい」と連絡が入りました。
「なぜ?」という大きな衝撃を受けました。

早期退職希望の理由は、施設の入所者の急変憎悪の対応時の考え方の違いでした。
施設としてはリスク回避のため、急変時は病院へ搬送するというルールとなっていましたが、A先生は内科医として出来る限りを尽くしたいという考えが衝突した結果でした。その後も同様の事があり、施設側の対応を先生が受け入れることができず、施設関係者との溝が深くなっていくばかりで、A先生もこのまま勤務を続けることには耐えられないというものでした。

面接時はあれほどに意気投合していたにも関わらず、2週間でこのように一変するとは思いもよりませんでした。
そして三度、A先生の転職先を探すこととなりました。

前述のとおり、A先生は、内科医として今後も医療機関での勤務が向いていることを痛感致しました。

弱気になりそうな気持を引き締め、新たな医療機関探しをしていると、愛知県にあるB病院の事務長より内科医師の急募について、弊社に連絡が入りました。
私は、渡りに船で、このチャンスを逃すまいとすぐさまA先生の今までの経緯をB病院に説明し、A先生に会って頂ければ、必ず気に入って頂ける旨を熱弁し、面接の設定を行いました。

B病院は、愛知県内の山間の病院で医師招聘に苦戦されていた病院でした。
A先生のこれまでの経緯をお話しすると理事長から「分りました。医療に対する熱い思いを当院で発揮して頂きましょう。その上で、末永く当院で落ち着いてもらいましょう」と仰って頂けました。
この時、理事長は、今までの経緯を鑑み、A先生は療養型の病院が一番性に合っていると洞察されたのだと思います。

A先生は、B病院の施設見学時に他の常勤の先生方とお話をされ、ご納得されたご様子で、満面の笑みでした。
私はその表情をみて、晴れやかな気持ちになりました。

入職後、A先生に近況伺いで連絡を入れた際に「てこずらせたけれどやっと落ち着けたよ。いろいろあったけどあなたに転職のお願いをして正解だった。また転職するときがあれば必ずあなたを指名するよ。同僚が転職するときは紹介するから。」とお言葉を頂けたことは感無量でした。

コンサルタントとしての当然の職務とは言え、誰かのために必死になっていれば、困難があったとしても必ず道は開け、救いの手を招き入れることができるのだと感じました。

約1年という期間をかけてA先生と共に転職活動をしていますと、かなり年上ですが昔からの親友のように思え、B病院の入職書類の締結を終え、A先生と別れるときに、今後頻繁に連絡を入れることがなくなると思うとこみ上げてくるものがありました。

コンサルタントとして医療知識も必要ですが、先生の立場になり、親身にお手伝いをさせていただく事が私自身の成長の糧となっていることを確信しております。

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