ドクター転職ショートストーリー

若きイケメン医師の選択(下)

2017年01月01日 コンサルタントY

B病院の担当者が言うには、院長とも相談したが、あまりにも年齢が若すぎるとのことで、今後、常勤体制は1名にとどまらず、2名体制にしていきたい意向も有り、もう少し経験のあるドクターが希望ですという理由で、お断りを受けてしまったのです。
私は、電話を切ったままその場でしばらく呆然としてしまいました。万策尽き、本当に終わったと膝から崩れ落ちそうな気持を堪え、その日はそのまま帰路についたことを鮮明に覚えています。

翌日、諦めの悪い私が、ある説得材料を用意し面接結果がダメだった旨をA先生にお伝えしました。加えて、他の紹介会社からの提案状況や面接状況をお伺いすると、理由は様々でしたが、これという決め手となる求人はないとの返答でした。

それであればと、「ある説得材料」として用意をしていたK病院の話題を切り出し、「A先生に以前にご提案してお断りを受けたK病院について、再考頂けないでしょうか?確かにご希望の年俸からは300万円ほど低くなりますが、公益法人で経営も安定しており、安心して長くご勤務が可能です。しかも福利厚生が充実しており、ご家族の診療や入院も家族割り引きで利用ができます。目に見える条件で判断するのではなく、安心して勤続できる体制と環境といった視点で、K病院を見学だけでもしてみては如何でしょうか」。正直、ダメもとの提案でした。

しかし、A先生からは「取りあえず見学だけでも行ってみます。」とテンションは低めなものの意外な反応が返ってきました。

早速、面接の設定に取り掛かり、面談当日、和やかで雰囲気よく話が進み無事に終了。A先生からは事前に抱いていたイメージより思いのほか良かったですとお言葉を頂き、前向きに検討するということでその日は終わりました。

その日を境に、約2週間、K病院にA先生を招聘するに当たり、面接時に開示頂いた情報以外のキャリアパスやその他の福利厚生面など、K病院に入職するメリットをヒアリングし、得た情報は即A先生へ報告という取り組みをしました。加えて、第一線で麻酔科TOPとして働けるとういうことをご提案し続け、頃合いを見計らった上で「C病院でお決めになられては如何でしょうか」と一番言いたい言葉、反面断られたらどうしようという不安を抱きながら、A先生に一言投げかけました。 

結果は、「C病院でお世話になりたい!」
その瞬間、今までの様々な場面が走馬灯のように頭に浮かびました。思い起こすと初面談の際にご結婚の予定がある事を聞いていたのです。「新たに家族の一員になる人のために長く安定した職場につきたい。」決め手はこれだと感じました。

喜びも束の間、まだ問題がひとつ残っていました。前回痛い目にあったB病院のように医療機関から断られる可能性です。前回のことで、私自身がややトラウマになっている中、恐る恐る病院担当者に架電。「A先生が貴院に貢献したいとおしゃっています。」なぜか前回と打って変わって無意識に言葉を変え、冷静に伝える自分がいました。
K病院からは、「ありがとうございます。当院としましてもぜひA先生をお迎えしたいと思います」。 

今回の提案は100%ドクターの当初の希望に沿える条件ではありませんでした。しかしながら、転職希望のドクター本人ですら、将来のためにどうしたいかということが明確になっていない方も多くいらっしゃいます。今回のコンサルティングは、かなり遠回りをしてしまいましたが、結果的にA先生が今後ご家族と共に歩んで行かれる人生の中で、安定した職場環境をご提供できたのではないかと思います。

ただし、本当に良いご提案になったかどうかは、A先生にしか分りません。ご入職された後も全力でサポートし、A先生が末永くご勤務頂けるよう精一杯サポートをして参ります。

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